SL 1.1 — Numbers in standard form(指数表記・標準形)
- 大きい数・小さい数を standard form(\(a \times 10^k\))で書ける。
- \(a\) が \(1 \leq a < 10\) の範囲に入っているかを確かめられる。
- standard form と普通の数を、両方向に書き直せる。
- standard form どうしの 掛け算・割り算・足し算・引き算ができる。
- 計算の答えを、正しい standard form に直せる。
- 電卓の表示(
5.2E30)を、答案用の書き方に直せる。
公式集の Topic 1 は SL 1.2 から始まります。 1.1 の欄はありません。
覚える公式がない項目なので、やり方そのものを身につけるだけです。
シラバスに、例まで挙げてはっきり書かれています。
Calculator or computer notation is not acceptable. For example, 5.2E30 is not acceptable and should be written as \(5.2 \times 10^{30}\).
5.2E30、5.2e30、5.2^30 のどれも ✗ です。必ず \(5.2 \times 10^{30}\) と書いてください。
この項目で一番よく落とすのが、ここです。 計算は合っているのに、書き方だけで点を失います。
The idea
なぜ standard form が要るのか
理科や社会の資料には、こういう数が出てきます。
\[ 150\,000\,000\,000 \ \text{m} \qquad (\text{地球から太陽までの距離}) \]
\[ 0.000\,000\,000\,1 \ \text{m} \qquad (\text{原子1個くらいの大きさ}) \]
\(0\) を数えるのが大変です。 書き写すときに1つ多かったり少なかったりすると、答えが10倍ずれてしまいます。
そこで、「だいたいの大きさ」と「\(0\) が何個ぶんか」を分けて書きます。 これが standard form(標準形、指数表記)です。
\[ 1.5 \times 10^{11} \ \text{m} \qquad\qquad 1 \times 10^{-10} \ \text{m} \]
\(0\) を数える必要がなくなりました。 大きさは指数を見れば一目で分かります。
書き方の決まり
standard form は、次の形に書きます。
\[ a \times 10^{k}, \qquad 1 \leq a < 10, \qquad k \text{ は整数} \tag{1}\]
シラバスの原文もこのとおりです。
Operations with numbers in the form \(a\times 10^k\) where \(1 \leq a < 10\) and \(k\) is an integer.
なぜ \(a\) は \(1\) 以上 \(10\) 未満なのか
書き方を1つに決めるためです。
同じ数 \(4\,500\,000\) は、いろいろに書けてしまいます。
\[ 45 \times 10^{5}, \qquad 4.5 \times 10^{6}, \qquad 0.45 \times 10^{7} \]
どれも値は同じですが、これでは比べるのが面倒です。そこで「\(a\) は \(1\) 以上 \(10\) 未満」と決めて、\(4.5 \times 10^{6}\) だけを正解にしています。
| 書き方 | \(a\) の値 | 判定 |
|---|---|---|
| \(45 \times 10^{5}\) | \(45\) | ✗(\(10\) 以上) |
| \(4.5 \times 10^{6}\) | \(4.5\) | ◎ |
| \(0.45 \times 10^{7}\) | \(0.45\) | ✗(\(1\) 未満) |
\(a\) は「小数点の左に数字が1個だけ」の形になります。\(4.5\)、\(1.496\)、\(8.0\) のように。
普通の数から standard form へ
小数点を動かして、\(a\) を \(1 \sim 10\) にします。 動かした回数が \(k\) です。
大きい数(小数点を左へ動かす → \(k\) は正)
\[ 4\,500\,000 = 4\underbrace{.500000}_{\text{6桁動かした}} \times 10^{6} = 4.5 \times 10^{6} \]
小さい数(小数点を右へ動かす → \(k\) は負)
\[ 0.000062 = 6.2 \times 10^{-5} \]
\(0.000062\) の小数点を右に \(5\) 桁動かすと \(6.2\) になります。だから \(k = -5\) です。
覚えるのはこれだけです。
- 元の数が \(1\) より大きい → \(k\) は 正
- 元の数が \(1\) より小さい → \(k\) は 負
\(0.000062\) は \(1\) より小さいので、\(k\) は負。\(6.2 \times 10^{5}\)(正)と書いてしまったら、\(1\) より小さい数のはずなのに巨大な数になっているので、すぐ気づけます。
答えを書いたあとに、1回だけ「元の数より大きい?小さい?」と確かめてください。
掛け算と割り算
まず、なぜ指数を足すのかを確かめておきます。\(10^{4}\) は \(10\) を \(4\) 回掛けたもの、\(10^{6}\) は \(10\) を \(6\) 回掛けたものです。この \(2\) つを掛け合わせると、\(10\) が全部で \(4 + 6 = 10\) 個並ぶので、\(10^{10}\) になります。「\(10\) が何個あるか」を数えているだけです。割り算なら、\(10\) が消し合う分だけ個数が減るので、指数を引きます。
\(10\) 以外の数でも同じことが成り立ちます。その一般の指数法則は SL 1.5 で学びます。
\(a\) どうし、\(10\) の指数どうしで分けて計算します。
\[ (3 \times 10^{4}) \times (2 \times 10^{6}) = \underbrace{(3 \times 2)}_{a} \times \underbrace{10^{4+6}}_{10\text{の部分}} = 6 \times 10^{10} \]
指数は足します。掛けません。\(10^4 \times 10^6 = 10^{10}\) です。
割り算なら指数を引きます。
\[ \frac{8 \times 10^{9}}{2 \times 10^{3}} = 4 \times 10^{6} \]
掛け算・割り算のあと、\(a\) が \(1 \sim 10\) からはみ出すことがよくあります。
\[ (3.5 \times 10^{7}) \times (4 \times 10^{5}) = 14 \times 10^{12} \]
\(a = 14\) で \(10\) 以上なので、これはまだ答えではありません。 \(14 = 1.4 \times 10\) なので
\[ 14 \times 10^{12} = 1.4 \times 10 \times 10^{12} = 1.4 \times 10^{13} . \]
\(a\) を \(10\) で割ったら、指数を \(1\) 増やす。 逆に \(a\) を \(10\) 倍したら、指数を \(1\) 減らします。
\[ 0.4 \times 10^{-5} = 4 \times 10^{-6} \]
\(a\) が \(10\) 倍になったので、指数が \(1\) 減りました。全体の値は変わっていません。
足し算と引き算
指数がそろっていないと足せません。
\[ 6.4 \times 10^{8} + 7.2 \times 10^{7} \]
\(10^8\) と \(10^7\) のままでは足せないので、大きいほうにそろえます。
\[ 7.2 \times 10^{7} = 0.72 \times 10^{8} \]
\[ 6.4 \times 10^{8} + 0.72 \times 10^{8} = 7.12 \times 10^{8} \]
AI では Paper 1 でも電卓が使えます。上の計算は、電卓にそのまま打ち込めば \(712000000\) と出ます。
そのあと自分で standard form に直すだけです。指数をそろえる作業を手でやる必要はありません。
ただし、なぜそろえる必要があるのかは分かっておいてください。 「掛け算は指数を足すのに、足し算はそろえる」という違いを混同すると、掛け算のほうも間違えます。
Why it works
ここでは、\(10^{k}\) が何を表しているのかだけを確認します。
\[ 10^{3} = 1000, \qquad 10^{2} = 100, \qquad 10^{1} = 10, \qquad 10^{0} = 1 \]
指数が \(1\) 減るたびに、値が \(\dfrac{1}{10}\) になっています。この規則をそのまま続けます。
\[ 10^{-1} = 0.1, \qquad 10^{-2} = 0.01, \qquad 10^{-3} = 0.001 \]
負の指数は「\(0\) が付く」のではなく、「\(\dfrac{1}{10}\) を何回かけるか」を表しています。\(10^{-3} = \dfrac{1}{10^{3}} = \dfrac{1}{1000}\) です。
ですから \(a \times 10^{k}\) は、
- \(k\) が正なら … \(a\) を \(10\) 倍することを \(k\) 回
- \(k\) が負なら … \(a\) を \(10\) で割ることを、マイナスを外した数だけ
という意味になります。
\(k\) が負のときの「回数」は、マイナスを外した数です。
| \(k\) | やること |
|---|---|
| \(k = 4\) | \(10\) 倍を \(4\) 回 |
| \(k = 1\) | \(10\) 倍を \(1\) 回 |
| \(k = -2\) | \(10\) で割ることを \(2\) 回 |
| \(k = -5\) | \(10\) で割ることを \(5\) 回 |
回数はいつも \(0\) 以上です。 「\(-5\) 回」ということはありません。\(k = -5\) のマイナスは「割るほう」だという印で、回数そのものは \(5\) です。
小数点を動かす操作は、\(10\) を掛けたり割ったりすることそのものです。
\[ a^{m} \times a^{n} = a^{m+n}, \qquad \frac{a^{m}}{a^{n}} = a^{m-n} \]
この項目で使うのは \(a = 10\) の場合だけです。一般の形は SL 1.5 で扱います。
Worked examples
問題文は英語です。意味が理解できなかったら、問題文の下の「日本語訳」を開いてください。解説は日本語です。
例題 1 (a) Write \(4\,500\,000\) in the form \(a \times 10^{k}\), where \(1 \leq a < 10\) and \(k \in \mathbb{Z}\).
(b) Write \(0.000062\) in the form \(a \times 10^{k}\), where \(1 \leq a < 10\) and \(k \in \mathbb{Z}\).
(c) Write \(3.07 \times 10^{4}\) as an ordinary number.
日本語訳
(a) \(4\,500\,000\) を \(a \times 10^{k}\)(\(1 \leq a < 10\)、\(k\) は整数)の形で書きなさい。
(b) \(0.000062\) を \(a \times 10^{k}\)(\(1 \leq a < 10\)、\(k\) は整数)の形で書きなさい。
(c) \(3.07 \times 10^{4}\) を普通の数として書きなさい。
(\(k \in \mathbb{Z}\) は「\(k\) は整数」という意味です。\(\mathbb{Z}\) が整数全体を表します。)
(a) \(a\) を \(1 \sim 10\) にするので \(4.5\) です。小数点を左に \(6\) 桁動かしました。
\[ 4\,500\,000 = 4.5 \times 10^{6} \]
検算。 元の数は \(1\) より大きいので、\(k\) は正。合っています。
(b) \(a\) を \(1 \sim 10\) にするので \(6.2\) です。小数点を右に \(5\) 桁動かしました。
\[ 0.000062 = 6.2 \times 10^{-5} \]
検算。 元の数は \(1\) より小さいので、\(k\) は負。合っています。
(c) 今度は逆です。\(10^{4}\) なので、小数点を右に \(4\) 桁動かします。
\[ 3.07 \times 10^{4} = 30\,700 \]
\(3.07 \to 30.7 \to 307 \to 3070 \to 30700\)。\(4\) 回動かしました。
(a) \(4\,500\,000 = 4.5 \times 10^{6}\)
(b) \(0.000062 = 6.2 \times 10^{-5}\)
(c) \(3.07 \times 10^{4} = 30\,700\)
例題 2 Find the value of \((3.5 \times 10^{7}) \times (4 \times 10^{5})\), giving your answer in the form \(a \times 10^{k}\), where \(1 \leq a < 10\) and \(k \in \mathbb{Z}\).
日本語訳
\((3.5 \times 10^{7}) \times (4 \times 10^{5})\) の値を求めなさい。答えは \(a \times 10^{k}\)(\(1 \leq a < 10\)、\(k\) は整数)の形で書きなさい。
\(a\) どうし、\(10\) の指数どうしに分けます。
\[ (3.5 \times 4) \times 10^{7+5} = 14 \times 10^{12} \]
ここで終わりではありません。 \(a = 14\) は \(10\) 以上なので、\(1 \leq a < 10\) を満たしていません。
\(14 = 1.4 \times 10\) なので、
\[ 14 \times 10^{12} = 1.4 \times 10^{1} \times 10^{12} = 1.4 \times 10^{13} \]
\(a\) を \(10\) で割ったぶん、指数を \(1\) 増やしました。 値は変わっていません。
そのまま打ち込んでも構いません。
3.5 × 10^7 × 4 × 10^5
\(1.4\text{E}13\) のように表示されます。この表示をそのまま答案に書いてはいけません。 \(1.4 \times 10^{13}\) と書き直してください。
\[(3.5 \times 4) \times 10^{7+5} = 14 \times 10^{12}\]
\[= 1.4 \times 10^{13}\]
例題 3 Find the value of \(\dfrac{2.4 \times 10^{3}}{6 \times 10^{8}}\), giving your answer in the form \(a \times 10^{k}\), where \(1 \leq a < 10\) and \(k \in \mathbb{Z}\).
日本語訳
\(\dfrac{2.4 \times 10^{3}}{6 \times 10^{8}}\) の値を求めなさい。答えは \(a \times 10^{k}\)(\(1 \leq a < 10\)、\(k\) は整数)の形で書きなさい。
割り算なので、指数は引きます。
\[ \frac{2.4}{6} \times 10^{3-8} = 0.4 \times 10^{-5} \]
今度は \(a\) が \(1\) より小さくなりました。 これも \(1 \leq a < 10\) を満たしていません。
\(0.4 = 4 \times 10^{-1}\) なので、
\[ 0.4 \times 10^{-5} = 4 \times 10^{-1} \times 10^{-5} = 4 \times 10^{-6} \]
\(a\) を \(10\) 倍したぶん、指数を \(1\) 減らしました。
| \(a\) の状態 | やること |
|---|---|
| \(a \geq 10\)(大きすぎ) | \(a\) を \(10\) で割り、指数を \(+1\) |
| \(a < 1\)(小さすぎ) | \(a\) を \(10\) 倍し、指数を \(-1\) |
指数の動く向きが、\(a\) の動く向きと逆になります。全体の値を変えないためです。
迷ったら、「\(a\) が小さくなったら指数は大きくなる」と唱えてください。
\[\frac{2.4}{6} \times 10^{3-8} = 0.4 \times 10^{-5}\]
\[= 4 \times 10^{-6}\]
例題 4 The mean distance from the Earth to the Sun is \(1.496 \times 10^{11}\) m. The mean distance from the Earth to the Moon is \(3.844 \times 10^{8}\) m.
(a) Find how many times further the Sun is from the Earth than the Moon is. Give your answer correct to three significant figures.
(b) Write your answer to part (a) in the form \(a \times 10^{k}\).
日本語訳
地球から太陽までの平均距離は \(1.496 \times 10^{11}\) m です。地球から月までの平均距離は \(3.844 \times 10^{8}\) m です。
(a) 太陽は月の何倍遠いかを求めなさい。答えは有効数字3桁で書きなさい。
(b) (a) の答えを \(a \times 10^{k}\) の形で書きなさい。
(a) 「何倍か」なので割り算です。
\[ \frac{1.496 \times 10^{11}}{3.844 \times 10^{8}} = \frac{1.496}{3.844} \times 10^{11-8} = 0.3891\ldots \times 10^{3} \]
\[ = 389.17\ldots \approx 389 \ (3\text{ s.f.}) \]
太陽は月の約 \(389\) 倍遠いということです。
(b) \(389\) の小数点を左に \(2\) 桁動かします。
\[ 389 = 3.89 \times 10^{2} \]
\(10^{11}\) と \(10^{8}\) の差は \(10^{3} = 1000\) です。ですから答えはだいたい \(1000\) 倍のオーダーになるはず。
実際は \(a\) の部分が \(\dfrac{1.496}{3.844} \approx 0.39\) と \(1\) より小さいので、\(1000\) より小さい \(389\) になりました。つじつまが合っています。
答えが \(3890\) や \(38.9\) になったら、指数の引き算を間違えています。 桁を1つ動かすだけで10倍ずれるので、この検算は大事です。
(a) \[\frac{1.496 \times 10^{11}}{3.844 \times 10^{8}} = 389.17\ldots \approx 389\]
(b) \(389 = 3.89 \times 10^{2}\)
例題 5 A country has two cities. City P has a population of \(6.4 \times 10^{6}\) and City Q has a population of \(7.2 \times 10^{5}\).
(a) Find the total population of the two cities, giving your answer in the form \(a \times 10^{k}\).
(b) A student writes the answer to part (a) as 7.12E6. Explain why this is not acceptable.
日本語訳
ある国に2つの都市があります。都市 P の人口は \(6.4 \times 10^{6}\)、都市 Q の人口は \(7.2 \times 10^{5}\) です。
(a) 2つの都市の合計人口を求めなさい。答えは \(a \times 10^{k}\) の形で書きなさい。
(b) ある生徒が (a) の答えを 7.12E6 と書きました。これが認められない理由を説明しなさい。
(a) 足し算なので、指数をそろえます。
\[ 7.2 \times 10^{5} = 0.72 \times 10^{6} \]
\[ 6.4 \times 10^{6} + 0.72 \times 10^{6} = 7.12 \times 10^{6} \]
\(a = 7.12\) は \(1 \leq a < 10\) を満たしているので、これが答えです。
電卓で確かめる。 \(6\,400\,000 + 720\,000 = 7\,120\,000 = 7.12 \times 10^{6}\) ✓
(b) 数値は合っていますが、書き方が問題です。
試験ではこう書く
E is calculator notation, not mathematical notation. The answer must be written as \(7.12 \times 10^{6}\).
(E は電卓の書き方であって、数学の書き方ではありません。答えは \(7.12 \times 10^{6}\) と書かなければなりません。)
電卓が 7.12E6 と表示するのは、画面が狭いからです。数学の記号として E が使われているわけではありません。
シラバスにも 5.2E30 is not acceptable と例つきで書かれています。書き直す手間を惜しまないでください。
- ✗
7.12E6 - ✗
7.12e6 - ✗ \(7.12^{6}\)(これは別の数です)
- ◎ \(7.12 \times 10^{6}\)
(a) \[7.2 \times 10^{5} = 0.72 \times 10^{6}\] \[6.4 \times 10^{6} + 0.72 \times 10^{6} = 7.12 \times 10^{6}\]
(b) E is calculator notation, not mathematical notation. The answer must be written as \(7.12 \times 10^{6}\).
Common errors
5.2E30、5.2e30 は ✗ です。シラバスに例つきで「認められない」と書かれています。
必ず \(5.2 \times 10^{30}\) と書き直してください。計算が合っていても、ここだけで点を失います。
\(14 \times 10^{12}\) や \(0.4 \times 10^{-5}\) は、まだ答えではありません。
計算のあとに \(a\) を1回見てください。 小数点の左に数字が1個だけになっていれば正解です。
\(14\) は2個、\(0.4\) は \(0\) なので、どちらも直す必要があります(表 3)。
\(10^{4} \times 10^{6} = 10^{24}\) としてしまう間違いです。正しくは \(10^{10}\)。
掛けたら足す、割ったら引く。 逆です。
\(10^2 \times 10^3 = 100 \times 1000 = 100\,000 = 10^5\) と、小さい数で1回確かめてみると納得できます。
\(6.4 \times 10^{6} + 7.2 \times 10^{5} = 13.6 \times 10^{11}\) のように、\(a\) どうしを足して指数を足してしまう間違いです。
足し算は掛け算とは違います。 指数をそろえてからでないと足せません。
不安なら、電卓で普通の数にして足し、あとで standard form に直すのが確実です。
\(0.000062 = 6.2 \times 10^{5}\) としてしまう間違いです。正しくは \(10^{-5}\)。
元の数が \(1\) より小さければ \(k\) は負です。答えを書いたあと、「元の数は \(1\) より大きかった?小さかった?」と1回確かめてください。
\(7.12 \times 10^{6}\) を \(7.12^{6}\) と書くのは、まったく別の数です。
\[ 7.12^{6} = 130\,000 \ \text{くらい}, \qquad 7.12 \times 10^{6} = 7\,120\,000 \]
\(\times 10\) を省略しないでください。
Using your GDC (TI-Nspire CX II)
入力は \(10^{\wedge}\) でそのまま打つ
standard form の数は、見たままに打ち込むのが一番確実です。
3.5 × 10^7
^ は指数のキーです。押したあと、右矢印キーで指数から出るのを忘れないでください(SL 1.3 と同じ注意です)。
電卓には E を入力する専用のキーもありますが、使わなくて構いません。 \(10^{k}\) と打てば同じことですし、答案に書く形と同じなので混乱しません。
表示の読み方 ── ここが本題
この項目の GDC のポイントは、入力ではなく出力です。
電卓は、大きい数や小さい数を勝手に短く表示します。
| 電卓の表示 | 意味 | 答案に書く形 |
|---|---|---|
1.4E13 |
\(1.4 \times 10^{13}\) | \(1.4 \times 10^{13}\) |
4.E−6 |
\(4 \times 10^{-6}\) | \(4 \times 10^{-6}\) |
7.12E6 |
\(7.12 \times 10^{6}\) | \(7.12 \times 10^{6}\) |
E のうしろの数が、そのまま \(10\) の指数です。読み方さえ分かれば、あとは書き写すだけです。
E−6 の − を落とさない
負の指数のとき、E のうしろに − が付きます。小さくて見落としやすいところです。
\(4 \times 10^{6}\) と \(4 \times 10^{-6}\) では、\(10\) の \(12\) 乗も違います。 画面を拡大してでも確認してください。
表示のしかたを変える
電卓の設定で、いつも standard form で表示させることもできます。
ctrl + doc → Document Settings
の中に Exponential Format という項目があり、Normal / Scientific / Engineering から選べます。
Normal… 普通の数で表示(長くなると自動でE表記になる)Scientific… いつも \(a \times 10^{k}\) の形Engineering… 指数が \(3\) の倍数になる形(\(\text{kilo}\)、\(\text{mega}\) に対応)
AI SL では Normal のままで構いません。 大きい数のときだけ自動で E 表記になり、それを書き直せばよいからです。
Engineering は使わないでください
\(4.5 \times 10^{6}\) が \(4.5\text{E}6\)、\(45 \times 10^{6}\) のような形で出ることがあります。
指数が \(3\) の倍数になるので、\(a\) が \(10\) 以上になることがあります。 そのまま写すと \(1 \leq a < 10\) を満たさなくなります。
理科の実験では便利な設定ですが、数学の試験では使わないほうが安全です。
桁の検算
答えの桁が合っているか不安なときは、指数だけで暗算してみてください。
\[ \frac{1.496 \times 10^{11}}{3.844 \times 10^{8}} \quad \longrightarrow \quad \text{指数は } 11 - 8 = 3 \]
\(a\) の部分は \(\dfrac{1.5}{3.8}\) でだいたい \(0.4\)。ですから答えは \(0.4 \times 10^{3} = 400\) くらいのはず。
電卓が \(389\) と出したなら合っています。\(3890\) や \(38.9\) が出たら、どこかで桁がずれています。
Exercises
各問題に、折りたたみが3つ付いています。日本語訳、解答例(答案用紙に書くべきこと。英語です)、解説(なぜそうなるか。日本語です)。
まず自分で解いて、次に解答例と見くらべてください。解説は、合わなかったときだけ開けば十分です。
1 Write each of the following in the form \(a \times 10^{k}\), where \(1 \leq a < 10\) and \(k \in \mathbb{Z}\).
(a) \(83\,000\)
(b) \(0.00504\)
(c) \(7\,120\,000\)
(d) \(0.9\)
日本語訳
次のそれぞれを \(a \times 10^{k}\)(\(1 \leq a < 10\)、\(k\) は整数)の形で書きなさい。
(a) \(83\,000\)
(b) \(0.00504\)
(c) \(7\,120\,000\)
(d) \(0.9\)
(a) \(8.3 \times 10^{4}\)
(b) \(5.04 \times 10^{-3}\)
(c) \(7.12 \times 10^{6}\)
(d) \(9 \times 10^{-1}\)
(b) \(0.00504\) の \(0\) は、小数点のすぐ右に \(2\) つ。小数点を右に \(3\) 桁動かして \(5.04\) になるので \(k = -3\) です。\(5.04\) の途中の \(0\) は消しません。
(d) \(0.9\) も standard form にできます。\(9 \times 10^{-1}\) です。\(1\) より小さいので \(k\) は負。「小さい数」だけが standard form になるわけではないことを確認してください。
\(0.9 \times 10^{0}\) は ✗ です。\(a = 0.9\) が \(1\) 未満だからです。
2 Find the value of \((6 \times 10^{4}) \times (5 \times 10^{9})\), giving your answer in the form \(a \times 10^{k}\).
日本語訳
\((6 \times 10^{4}) \times (5 \times 10^{9})\) の値を求めなさい。答えは \(a \times 10^{k}\) の形で書きなさい。
\[(6 \times 5) \times 10^{4+9} = 30 \times 10^{13}\]
\[= 3 \times 10^{14}\]
\(a = 30\) は \(10\) 以上なので、まだ答えではありません。
\(30 = 3 \times 10\) なので、\(a\) を \(10\) で割って指数を \(1\) 増やします(表 3)。
\(30 \times 10^{13}\) のまま出すと、計算は合っていても \(1 \leq a < 10\) の条件を満たしていないので減点されます。
3 Find the value of \(\dfrac{9.6 \times 10^{-2}}{3.2 \times 10^{5}}\), giving your answer in the form \(a \times 10^{k}\).
日本語訳
\(\dfrac{9.6 \times 10^{-2}}{3.2 \times 10^{5}}\) の値を求めなさい。答えは \(a \times 10^{k}\) の形で書きなさい。
\[\frac{9.6}{3.2} \times 10^{-2-5} = 3 \times 10^{-7}\]
指数の引き算に注意。 \(-2 - 5 = -7\) です。\(-2 - 5 = -3\) や \(3\) としてしまう間違いが多いところです。
\[10^{-2} \div 10^{5} = 10^{-2-5} = 10^{-7}\]
今回は \(\dfrac{9.6}{3.2} = 3\) がちょうど \(1 \sim 10\) に入ったので、直す必要はありません。
4 Find the value of \((8.3 \times 10^{6}) - (9.1 \times 10^{5})\), giving your answer in the form \(a \times 10^{k}\).
日本語訳
\((8.3 \times 10^{6}) - (9.1 \times 10^{5})\) の値を求めなさい。答えは \(a \times 10^{k}\) の形で書きなさい。
\[9.1 \times 10^{5} = 0.91 \times 10^{6}\]
\[8.3 \times 10^{6} - 0.91 \times 10^{6} = 7.39 \times 10^{6}\]
引き算なので、指数をそろえます。 \(10^{6}\) にそろえました。
電卓を使うなら \(8\,300\,000 - 910\,000 = 7\,390\,000\) と出るので、それを \(7.39 \times 10^{6}\) に直しても構いません。そのほうが速いことも多いです。
\(8.3 - 9.1 = -0.8\) として \(-0.8 \times 10^{1}\) のようにしないでください。指数が違うものはそのまま引けません。
5 Find the value of each of the following, giving your answers in the form \(a \times 10^{k}\).
(a) \((2 \times 10^{5})^{3}\)
(b) \((5 \times 10^{-3})^{2}\)
日本語訳
次のそれぞれの値を求めなさい。答えは \(a \times 10^{k}\) の形で書きなさい。
(a) \((2 \times 10^{5})^{3}\)
(b) \((5 \times 10^{-3})^{2}\)
(a) \[(2)^{3} \times 10^{5 \times 3} = 8 \times 10^{15}\]
(b) \[(5)^{2} \times 10^{-3 \times 2} = 25 \times 10^{-6} = 2.5 \times 10^{-5}\]
累乗のときは、指数を掛けます。 \((10^{5})^{3} = 10^{15}\) です。\(10^{8}\) ではありません。
- 掛け算 → 指数を足す
- 割り算 → 指数を引く
- 累乗 → 指数を掛ける
(b) は \(a = 25\) になったので直します。\(25 = 2.5 \times 10\) なので、指数が \(-6\) から \(-5\) に増えます。
負の指数でも規則は同じです。\(-6 + 1 = -5\)。「増える」を「絶対値が大きくなる」と勘違いしないように。
6 One mole of a substance contains \(6.02 \times 10^{23}\) particles. Find the number of particles in \(3.5\) moles, giving your answer in the form \(a \times 10^{k}\), correct to three significant figures.
日本語訳
ある物質 \(1\) mol には \(6.02 \times 10^{23}\) 個の粒子が含まれます。\(3.5\) mol に含まれる粒子の数を求めなさい。答えは \(a \times 10^{k}\) の形で、有効数字3桁で書きなさい。
\[3.5 \times (6.02 \times 10^{23}) = 21.07 \times 10^{23}\]
\[= 2.107 \times 10^{24} \approx 2.11 \times 10^{24}\]
\(6.02 \times 10^{23}\) は Avogadro’s number(アボガドロ数)です。化学でも出てきます。
\(a = 21.07\) は \(10\) 以上なので直します。\(21.07 \to 2.107\)、指数は \(23 \to 24\)。
有効数字3桁は \(a\) の部分で数えます。 \(2.107 \to 2.11\) です。\(10^{24}\) の \(24\) は桁数に関係ありません。
電卓は 2.107E24 と表示します。そのまま写さないでください。
7 A red blood cell has a diameter of about \(8 \times 10^{-6}\) m. A virus has a diameter of about \(1.2 \times 10^{-7}\) m.
(a) Find how many times wider the red blood cell is than the virus, correct to three significant figures.
(b) State which of the two is larger, and explain how you can tell from the powers of \(10\).
日本語訳
赤血球の直径はおよそ \(8 \times 10^{-6}\) m、ウイルスの直径はおよそ \(1.2 \times 10^{-7}\) m です。
(a) 赤血球はウイルスの何倍の幅かを、有効数字3桁で求めなさい。
(b) どちらが大きいかを述べ、\(10\) の指数からどうやって判断できるかを説明しなさい。
(a) \[\frac{8 \times 10^{-6}}{1.2 \times 10^{-7}} = \frac{8}{1.2} \times 10^{-6-(-7)} = 6.67 \times 10^{1} = 66.7\]
(b) The red blood cell is larger. Its power of \(10\) is \(-6\), which is greater than \(-7\), so it is \(10\) times bigger for the same value of \(a\).
(a) 指数の引き算に注意。\(-6 - (-7) = -6 + 7 = 1\) です。マイナスのマイナスはプラス。
\(\dfrac{8}{1.2} = 6.666\ldots\) なので \(6.67 \times 10^{1}\)、つまり \(66.7\) 倍です。
(b) 負の指数どうしを比べるので、混乱しやすいところです。\(-6\) と \(-7\) では \(-6\) のほうが大きい(数直線で右にある)ので、\(10^{-6}\) のほうが大きい数です。
\(10^{-6} = 0.000001\)、\(10^{-7} = 0.0000001\)。\(0\) が1つ少ないほうが大きい、と考えても同じです。
8 Each of the following is not written correctly in the form \(a \times 10^{k}\), where \(1 \leq a < 10\). Write each one correctly.
(a) \(47.3 \times 10^{5}\)
(b) \(0.86 \times 10^{-4}\)
(c) 5.2E30
日本語訳
次のそれぞれは、\(a \times 10^{k}\)(\(1 \leq a < 10\))の形として正しく書かれていません。それぞれ正しく書き直しなさい。
(a) \(47.3 \times 10^{5}\)
(b) \(0.86 \times 10^{-4}\)
(c) 5.2E30
(a) \(47.3 \times 10^{5} = 4.73 \times 10^{6}\)
(b) \(0.86 \times 10^{-4} = 8.6 \times 10^{-5}\)
(c) 5.2E30 \(= 5.2 \times 10^{30}\)
(a) \(a = 47.3\) が大きすぎ。\(10\) で割って \(4.73\)、指数を \(+1\) して \(10^{6}\)。
(b) \(a = 0.86\) が小さすぎ。\(10\) 倍して \(8.6\)、指数を \(-1\) して \(10^{-5}\)。\(-4 - 1 = -5\) です。
(c) 数値は正しく、書き方だけが問題です。シラバスが例に挙げているのが、まさにこの \(5.2\text{E}30\) です。
3つとも「値は合っているが形が違う」という間違いです。計算が終わったあとの最後のひと手間で防げます。
9 A student uses a calculator to work out \((4.2 \times 10^{8}) \times (3 \times 10^{-3})\). The calculator displays 1.26E6.
(a) Write down the answer in an acceptable form.
(b) Show, without a calculator, that this answer is correct.
日本語訳
ある生徒が電卓で \((4.2 \times 10^{8}) \times (3 \times 10^{-3})\) を計算しました。電卓は 1.26E6 と表示しました。
(a) 認められる形で答えを書きなさい。
(b) 電卓を使わずに、この答えが正しいことを示しなさい。
(a) \(1.26 \times 10^{6}\)
(b) \[(4.2 \times 3) \times 10^{8 + (-3)} = 12.6 \times 10^{5}\]
\[= 1.26 \times 10^{6} \quad ✓\]
(a) E を \(\times 10\) に読み替えるだけです。
(b) Show that なので、途中を全部書くことが点になります。 答えは分かっているので、過程が採点対象です。
指数の足し算は \(8 + (-3) = 5\)。\(a = 12.6\) が \(10\) 以上なので直して \(1.26 \times 10^{6}\)。
電卓の答えと一致しました。電卓の表示を疑うのではなく、書き方を直すのが仕事です。
10 A country has a total annual income of \(\$4.2 \times 10^{12}\) and a population of \(1.25 \times 10^{8}\).
(a) Find the income per person, giving your answer in the form \(a \times 10^{k}\).
(b) The population grows to \(1.5 \times 10^{8}\) while the total income stays the same. Find the new income per person, and comment on the change.
日本語訳
ある国の年間総所得は \(\$4.2 \times 10^{12}\)、人口は \(1.25 \times 10^{8}\) です。
(a) 1人あたりの所得を求めなさい。答えは \(a \times 10^{k}\) の形で書きなさい。
(b) 総所得が変わらないまま人口が \(1.5 \times 10^{8}\) に増えました。新しい1人あたりの所得を求め、その変化についてコメントしなさい。
(a) \[\frac{4.2 \times 10^{12}}{1.25 \times 10^{8}} = \frac{4.2}{1.25} \times 10^{12-8} = 3.36 \times 10^{4}\]
(b) \[\frac{4.2 \times 10^{12}}{1.5 \times 10^{8}} = 2.8 \times 10^{4}\]
The income per person falls from $33 600 to $28 000, a decrease of about \(17\%\). Since the total income has not changed, sharing it among more people means each person receives less.
(a) \(\dfrac{4.2}{1.25} = 3.36\)、指数は \(12 - 8 = 4\)。\(1\) 人あたり \(\$33\,600\) です。
(b) は comment on なので、数値だけでは点になりません。
書くことは2つです。
- どう変わったか — falls from $33 600 to $28 000
- なぜそうなるか — the same total income is shared among more people
パーセントの変化まで出すと、さらに具体的になります。
\[\frac{33\,600 - 28\,000}{33\,600} \times 100 = 16.7\% \approx 17\%\]
standard form の問題に見えて、最後は解釈を書かせる。AI ではこの形がよくあります。