SL 1.8 — Solving equations with technology(連立方程式と多項式方程式を解く)

ノートWhat you should be able to do
  • system of linear equations(連立1次方程式)を、変数3つまで電卓で解ける。
  • polynomial equation(多項式方程式)の解を、電卓で求められる。
  • zeros(零点)と roots(解)という言葉を、正しく使える。
  • 文章題を読んで、自分で変数を決め、連立方程式の形に書き直せる
  • 電卓が出した解のうち、問題の状況に合わないものを捨てられる
  • 電卓が「実数解なし」と表示したとき、それが何を意味するかを説明できる。
重要Formula booklet に載っているもの

SL 1.8 の欄は、公式集にありません。

Topic 1 で公式集に載っているのは 1.2, 1.3, 1.4, 1.5, 1.6 の5つだけです。1.8 には、覚えるべき公式が1つもありません。

そのかわり、この項目は電卓の操作そのものが中身です。

警告シラバスが、はっきり書いてくれていること

この項目には、生徒にとってありがたい一文が2つあります。

In examinations, no specific method of solution will be required.

特定の解き方は指定されません。 因数分解でも、解の公式でも、GDC でも、その場面に合ったやり方を自分で選べます。

ただし、答えの数字だけを書けばよいという意味ではありません。解いた方程式や、GDC に何を入れて何が返ってきたのかが採点者に分かるように示してください。文章題ではさらに、変数が何を表すかを決めて書き、式を立てた過程と、複数の解が出たときにどちらを選んだのかとその理由まで必要になります。

In examinations, there will always be a unique solution to a system of equations.

連立方程式の解は、必ず1組だけです。 「解が無数にある」「解がない」という連立方程式は、試験では出ません。日本の教科書に出てくる「不定・不能」の話は、ここでは考えなくて大丈夫です。

ただしこれは、system of equations(連立方程式)についての約束です。polynomial equation のほうは、解が2つ以上あることも、実数解がないこともあります。 混同しないでください。

The idea

ヒント電卓を開きながら、このページを読んでください

この項目は、読むだけでは身につきません。TI-Nspire を手元に置いて、出てくる画面を実際に出しながら読んでください。

使うのは、Calculator ページの次の2つです。

menu → Algebra → Solve System of Linear Equations
menu → Algebra → Polynomial Tools → Find Roots of Polynomial

この2つの場所を、迷わず開けるようにする。 それが、この項目のゴールです。

この項目でやることは、2つだけです。

  1. system of linear equations(連立1次方程式)を解く ── 変数は3つまで
  2. polynomial equation(多項式方程式)を解く

どちらも、電卓が答えを出してくれます。 ですからこの項目で点を落とす原因は、計算ではありません。「式を立てられない」か「出てきた解を使いこなせない」かのどちらかです。この2つに絞って説明していきます。

1. system of linear equations とは

linear equation(1次方程式)は、変数に \(2\) 乗や \(3\) 乗が付いていない方程式のことです。

\[ 3x + 2y = 12 \qquad \text{← linear(1次)} \]

\[ 3x^{2} + 2y = 12 \qquad \text{← linear ではない} \]

その linear equation を何本か同時に成り立たせるのが、system of linear equations(連立1次方程式)です。日本の教科書で言う「連立方程式」と同じものです。

\[ \begin{cases} 2x + 3y = 17 \\ 5x - 2y = 14 \end{cases} \]

式の本数と、変数の個数

求めたい変数が \(n\) 個あるなら、式も \(n\) 本必要です。

表 1: 変数と式の本数
変数 必要な式の本数 AI SL で出るか
\(x, y\) の2つ 2本 よく出ます
\(x, y, z\) の3つ 3本 出ます
4つ以上 4本以上 出ません(シラバスは up to 3 variables

文章題では、この「本数を数える」ことが最初の作業になります。変数を3つ置いたのに、条件が2つしか読み取れていないなら、問題文を読み落としています。

2. 文章題を式に直す、3つの手順

AI SL では、連立方程式が「解きなさい」という形でそのまま出ることもありますが、文章題として出るほうが多いです。手順はいつも同じです。

手順1:分からないものに、文字を付ける。

「大人のチケット1枚の値段を \(a\) ドルとする」のように、何を表す文字なのかを言葉で書きます。 これは答案に書いてください。書かないと、あとの式が何のことか伝わりません。

手順2:条件を1つずつ、式にする。

問題文の1文が、だいたい1本の式になります。「1日目は大人 20 枚、生徒 30 枚、子ども 10 枚で、売上は 710 ドル」なら、

\[ 20a + 30s + 10c = 710 \]

手順3:式の本数が、文字の数と同じか数える。

同じなら、電卓に入れます。足りなければ、読み落とした条件を探します。

重要文字の名前は、自分で決めてよいです

\(x, y, z\) でも、\(a, s, c\) でも構いません。意味の分かる文字を使うほうが、間違えにくくなります(adult の \(a\)、student の \(s\)、child の \(c\))。

ただし電卓に入れるときは、\(u_1\) のような添字付きの文字は入力しづらいので、\(a\) のような1文字にしてください。SL 1.2 でも同じことをしました。

答案に写すときに、元の名前に戻すのを忘れないでください。

3. polynomial equation の用語 ── zeros と roots

polynomial(多項式)は、\(x\) の累乗を足したり引いたりした式のことです。

\[ 2x^{3} - 5x^{2} - 4x + 3 \]

  • 一番高い次数(ここでは \(3\))を degree(次数)といいます。
  • \(x^3, x^2, x\) の前に付いている数(\(2, -5, -4\))を coefficient(係数)といいます。最後の \(3\)constant term(定数項)です。

polynomial equation(多項式方程式)は、これを \(= 0\) とおいたものです。

\[ 2x^{3} - 5x^{2} - 4x + 3 = 0 \]

zeros と roots と solutions ── 同じ数の呼び名です

シラバスに、次の一文があります。

Standard terminology, such as zeros or roots, should be taught.

用語を知らないと、問題文が読めないということです。ここは覚えてください。

表 2: 呼び名のちがい
English 日本語 何を指すか
roots of the equation 方程式の解 \(f(x) = 0\) を成り立たせる \(x\)
zeros of the function 関数の零点 同じく、\(f(x) = 0\) を成り立たせる \(x\)
solutions of the equation 方程式の解 同じく 。いちばんふつうの言い方
\(x\)-intercepts \(x\) 切片 グラフが \(x\) 軸と交わる

roots、zeros、solutions の \(3\) つは、どれも「\(f(x) = 0\) を成り立たせる \(x\) の値」です。問題文がどの言葉を使っていても、やることは変わりません。

\(x^{2} - 5x + 6 = 0\) なら、roots も zeros も solutions も \(2\)\(3\) です。

\(x\)-intercepts だけは、数ではなく点です。 同じ例なら \(x\)-intercepts は \((2,\ 0)\)\((3,\ 0)\) と書きます。座標の形で答えてください。

なお、function(関数)、graph(グラフ)、\(x\)-intercept といった言葉そのものは、SL 2.1〜2.5 でくわしく学びます。ここでは「グラフで見るとこうなる」という補足として読んでおけば十分です。

実数解はいくつ出るか

polynomial equation では、実数解が \(2\) つ以上出ることがあります。 \(1\) つだけのこともあれば、\(1\) つも出ないこともあります。

AI SL では、GDC に式を入れて、返ってきた実数解をそのまま読みます。 いくつ出るかを先に予想しておく必要はありません。

実数解が \(1\) つも返ってこなかったときは、no real solutions と書きます。

ノート「実数解がない」とはどういうことか

\(x^{2} - 4x + 7 = 0\) を電卓に入れると、実数の解が返ってきません。グラフをかくと、放物線が \(x\) 軸より上にあって、まったく触れていないのが見えます。

数学では、こういう場合に imaginary(虚数)という数を使って解を書くことがあります。ですが、AI SL では虚数を扱いません(HL の内容です)。

ですから答案には、こう書きます。

試験ではこう書く

The equation has no real solutions, since the graph of \(y = x^{2} - 4x + 7\) does not intersect the \(x\)-axis.

(この方程式には実数解がありません。\(y = x^{2} - 4x + 7\) のグラフが \(x\) 軸と交わらないからです。)

real(実数の)という単語を落とさないでください。 ただ no solutions と書くと、意味が変わってしまいます。

4. 出てきた解を、そのまま答えにしない

ここが、この項目で一番点差がつくところです。

電卓は、式の上での解を全部返します。 問題の状況に合うかどうかは、見てくれません。

たとえば「長さ \(x\) cm」を求める問題で \(x = -2.5\) が出たら、それは答えにはなりません。長さは負にならないからです。

出てきた解を見たら、必ず次の2つを確認してください。

  1. 負になっていないか(長さ・時間・人数・値段など)
  2. 問題の中で意味が通るか(「\(20\) cm の紙から \(34\) cm 切り取る」ようなことになっていないか)

捨てた解については、なぜ捨てたのかを一言書いてください。 IB は、そこに点を付けます。

試験ではこう書く

\(x = 17.1\) is rejected, since \(20 - 2x\) would be negative.

\(x = 17.1\) は捨てます。\(20 - 2x\) が負になってしまうからです。)

Why it works

ここでは、「解が1組だけ」とはどういうことかを、絵で見ておきます。公式の導出ではないので、軽く読んでください。

\(2x + 3y = 17\) という式は、\(xy\) 平面では1本の直線です。\(5x - 2y = 14\) も1本の直線です。

連立方程式を解くとは、その2本の直線の交点を探すことです。傾きが違う2直線は、必ず1点で交わります。だから、解が1組だけ出るのです。

変数が3つになると、\(x + y + z = 5\) のような式は空間の中の平面になります。3枚の平面が1点で交わる ── それが3元連立方程式の解です。絵にすると難しく見えますが、電卓にとっては2元のときと同じ作業です。

シラバスが「試験では必ず解が1組」と約束してくれているので、2直線が平行になる場合や、3枚の平面が1本の直線で交わる場合を心配する必要はありません。

Worked examples

問題文は英語です。意味が理解できなかったら、問題文の下の「日本語訳」を開いてください。解説は日本語です。

例題 1 Solve the following system of equations.

\[ \begin{cases} 2x + 3y = 17 \\ 5x - 2y = 14 \end{cases} \]


まず、式が2本、変数が2つであることを確認します(表 1)。数が合っているので、そのまま電卓に入れられます(GDCの使い方)。

Calculator ページで、

menu → Algebra → Solve System of Linear Equations

を開きます。方程式の数は 2、変数は x, y と入れます。

出てきた枠に、上の2本の式をそのまま打ち込みます。答えは

\[ x = 4, \qquad y = 3 \]

検算します。 \(2(4) + 3(3) = 8 + 9 = 17\) ✓、\(5(4) - 2(3) = 20 - 6 = 14\)

両方の式に入れて確かめるのは、打ち間違いを見つける一番早い方法です。1本だけでは足りません。片方だけ合っていることがあるからです。

ノート解答例(答案用紙にはこう書く)

\[x = 4, \quad y = 3\]

例題 2 A theatre sells three types of ticket: adult, student and child.

The table shows the number of tickets sold on three days, and the total takings for each day.

表 3: Ticket sales
Day Adult Student Child Takings ($)
1 20 30 10 710
2 10 20 30 610
3 40 10 20 870

(a) Write down a system of three equations for this information.

(b) Find the price of each type of ticket.


(a) まず、分からないものに文字を付けます文章題を式に直す3つの手順)。

  • 大人のチケット1枚を \(a\) ドル
  • 生徒のチケット1枚を \(s\) ドル
  • 子どものチケット1枚を \(c\) ドル

この3行を、答案に書いてください。 書かないと、次の式が何を表しているのか伝わりません。

次に、表の1行を、1本の式にします。 1日目は大人 \(20\) 枚、生徒 \(30\) 枚、子ども \(10\) 枚で、売上は \(710\) ドルでした。

\[ 20a + 30s + 10c = 710 \]

2日目、3日目も同じように書きます。

\[ \begin{cases} 20a + 30s + 10c = 710 \\ 10a + 20s + 30c = 610 \\ 40a + 10s + 20c = 870 \end{cases} \]

式が3本、文字が3つです。数が合っているので、これで解けます。

(b) (a) で作った3本の式を、電卓に入れます(GDCの使い方)。

menu → Algebra → Solve System of Linear Equations

方程式の数は 3、変数は a, s, c です。

\[ a = 15, \qquad s = 11, \qquad c = 8 \]

最後に、問題が聞いているのは「値段」なので、単位を付けて答えます。文字のまま \(a = 15\) と書いて終わりにしないでください。

検算:1日目は \(20(15) + 30(11) + 10(8) = 300 + 330 + 80 = 710\)

ノート解答例(答案用紙にはこう書く)

(a) Let \(a\), \(s\) and \(c\) be the price, in dollars, of an adult, student and child ticket.

\[ \begin{cases} 20a + 30s + 10c = 710 \\ 10a + 20s + 30c = 610 \\ 40a + 10s + 20c = 870 \end{cases} \]

(b) \(a = 15\), \(s = 11\), \(c = 8\)

Adult \(\$15\), student \(\$11\), child \(\$8\).

例題 3 (a) Find the roots of the equation \(x^{2} - 5x + 3 = 0\), giving your answers correct to three significant figures.

(b) Write down the zeros of the function \(f(x) = x^{2} - 5x + 3\).

(c) Explain why the equation \(x^{2} - 4x + 7 = 0\) has no real solutions.


(a) これは degree が \(2\) の polynomial equation です。\(= 0\) の形になっているので、そのまま電卓に入れられます(GDCの使い方)。

menu → Algebra → Polynomial Tools → Find Roots of Polynomial

Degree は 2 です。係数を聞かれるので、\(1, -5, 3\) の順に入れます。

\[ x = 0.697224\ldots, \qquad x = 4.302775\ldots \]

有効数字3桁にすると、

\[ x = 0.697, \qquad x = 4.30 \]

\(4.30\)\(0\) を消して \(4.3\) と書かないでください(SL 1.6)。有効数字3桁と指定されています。

(b) zeros も roots も、\(f(x) = 0\) を成り立たせる \(x\) の値です。(a) と同じ数を書けば正解です。

\[ x = 0.697 \quad \text{and} \quad x = 4.30 \]

計算し直す必要はありません。 Write down は「計算はほとんど不要」という指示です。

(c) 同じように電卓に入れると(GDCの使い方)、実数の解が返ってきません。

理由を書くには、グラフを見るのが一番はっきりします。 Graphs ページで \(f_1(x) = x^{2} - 4x + 7\) をかくと、放物線が \(x\) 軸のずっと上にあって、触れてもいないのが見えます。

\(x\) 軸と交わらない、つまり \(y = 0\) になる \(x\) がない。だから実数解がありません。

ノート解答例(答案用紙にはこう書く)

(a) \(x = 0.697\) and \(x = 4.30\) (3 s.f.)

(b) \(x = 0.697\) and \(x = 4.30\)

(c) The graph of \(y = x^{2} - 4x + 7\) lies entirely above the \(x\)-axis, so it has no \(x\)-intercepts. Therefore the equation has no real solutions.

例題 4 Solve the equation \(2x^{3} - 5x^{2} - 4x + 3 = 0\).


degree が \(3\) の cubic equation(3次方程式)です。やることは2次のときとまったく同じです。

menu → Algebra → Polynomial Tools → Find Roots of Polynomial

Degree は 3。係数は \(x^3, x^2, x\)、定数の順に \(2, -5, -4, 3\) と入れます。

\[ x = -1, \qquad x = 0.5, \qquad x = 3 \]

3つとも書いてください。 1つだけ書いて終わりにすると、満点になりません。

重要係数の順番と、抜けている項

係数は degree の高いほうから順に入れます。ここでは \(2, -5, -4, 3\) です。

もし \(x^{3} - 7x + 6 = 0\) のように \(x^2\) の項がないなら、そこは \(0\) を入れます。

\[ 1, \quad \mathbf{0}, \quad -7, \quad 6 \]

\(0\) を飛ばして \(1, -7, 6\) と入れると、degree 2 の式として計算されてしまいます。 抜けている項がないか、必ず目で確かめてください。

係数の個数 = degree + 1」と覚えておくと、数えて確かめられます。

ノート解答例(答案用紙にはこう書く)

\[x = -1, \quad x = 0.5, \quad x = 3\]

例題 5 An open box is made from a rectangular piece of card measuring \(20\) cm by \(30\) cm. A square of side \(x\) cm is cut from each corner, and the sides are folded up.

(a) Show that the volume of the box is given by \(V = 4x^{3} - 100x^{2} + 600x\).

(b) The volume of the box is \(1000\) cm\(^{3}\). Find the possible values of \(x\).


(a) まず、箱の3辺がそれぞれいくつになるかを考えます。

四隅から \(x\) cm ずつ切り取って折り上げるので、

  • 高さ … \(x\)
  • 短いほうの辺 … \(20 - 2x\)
  • 長いほうの辺 … \(30 - 2x\)

\(20 - x\) ではありません。 左右の両方から切り取るので、\(2x\) 減ります。

\[ V = x(20 - 2x)(30 - 2x) \]

Show that なので、展開の途中も書きます。

\[ (20 - 2x)(30 - 2x) = 600 - 40x - 60x + 4x^{2} = 4x^{2} - 100x + 600 \]

\[ V = x(4x^{2} - 100x + 600) = 4x^{3} - 100x^{2} + 600x \]

与えられた式と一致しました。

(b) \(V = 1000\) とおきます。polynomial equation にするために、右辺を \(0\) にします。

\[ 4x^{3} - 100x^{2} + 600x - 1000 = 0 \]

これを Find Roots of Polynomial に入れます。Degree は 3、係数は \(4, -100, 600, -1000\) です。

\[ x = 2.928932\ldots, \qquad x = 5, \qquad x = 17.071067\ldots \]

ここで終わりにしてはいけません。 出てきた解が使えるかどうかを確かめます。

\(x = 17.07\) のとき、短いほうの辺は \(20 - 2(17.07) = -14.1\) となってになります。\(20\) cm の紙から \(34\) cm 切り取ることはできないので、これは箱になりません。

残りの2つは、どちらも本当に箱になります。

  • \(x = 2.93\) のとき … \(2.93 \times 14.1 \times 24.1 \approx 1000\)
  • \(x = 5\) のとき … \(5 \times 10 \times 20 = 1000\)

答えは2つです。 「1つ見つけたから終わり」としないでください。問題文も values(複数形)になっています。

ノート解答例(答案用紙にはこう書く)

(a) Height \(= x\), width \(= 20 - 2x\), length \(= 30 - 2x\).

\[V = x(20-2x)(30-2x)\] \[= x(4x^{2} - 100x + 600)\] \[= 4x^{3} - 100x^{2} + 600x\]

(b) \(4x^{3} - 100x^{2} + 600x - 1000 = 0\)

\[x = 2.93, \quad x = 5, \quad x = 17.1\]

\(x = 17.1\) is rejected, since \(20 - 2x\) would be negative.

\[x = 2.93 \ \text{cm} \quad \text{or} \quad x = 5 \ \text{cm}\]

Common errors

警告\(= 0\) の形にせずに、係数を読み取る

例 5 の (b) で、\(4x^{3} - 100x^{2} + 600x = 1000\) のまま係数を \(4, -100, 600, 0\) と読んでしまう誤りです。

Find Roots of Polynomial は「\(= 0\) の方程式」しか受け付けません。 右辺の \(1000\) を左辺に移して、定数項を \(-1000\) にしてから入れてください。

警告抜けている項の \(0\) を入れ忘れる

\(x^{3} - 7x + 6 = 0\) で、\(x^2\) の項がないからと \(1, -7, 6\) と入れてしまう誤りです。

degree 3 なら、係数は必ず4つです。\(1, 0, -7, 6\) と入れてください。

警告解を1つだけ書いて終わりにする

2次なら2つ、3次なら3つまで解があります。電卓は全部返してくれるのに、写すときに1つ落とすのが、実際の答案で一番多い失点です。

Find the values of ...複数形になっていたら、答えも複数あるという合図です。問題文の s を見てください。

警告状況に合わない解を、捨てずに書く

長さが負、時間が負、人数が小数 ── こういう解は答えになりません。

ただし、黙って消してもいけません。\(x = 17.1\) は捨てる、なぜなら…」と一言書くのが正解です。IB は、その一言に点を付けます。

警告no solutions と書いてしまう

\(x^{2} - 4x + 7 = 0\) のような場合、正しくは no real solutions です。

real を落とすと、意味が変わります。 HL では虚数を使って解を書くので、「解がない」わけではありません。AI SL では虚数を扱わない、というだけです。

警告文字が何を表すか書かずに、式だけ書く

文章題で、いきなり \(20a + 30s + 10c = 710\) と書き始める答案です。

採点者には、\(a\) が何なのか分かりません。 Let a be the price of an adult ticket in dollars. の1行を、必ず先に書いてください。

単位(dollars)も書いてください。 \(15\) とだけ書かれていると、\(15\) ドルなのか \(15\) セントなのか分かりません。

警告電卓の答えを、確かめずに写す

連立方程式は、元の式に代入すれば必ず確かめられます。 打ち間違いは誰にでも起こるので、確かめる習慣をつけてください。

このとき、式は全部使ってください。 1本だけで合っていても、他の式では合わないことがあります。

Using your GDC (TI-Nspire CX II)

Press-to-Test(試験モード)でも、この項目で使う機能はすべて使えます。 制限されていません。

1. 連立方程式 ── Solve System of Linear Equations

Calculator ページで、

menu → Algebra → Solve System of Linear Equations

(OS によっては Simultaneous Equation Solver という名前で出ます。SL 1.2 で \(u_1\)\(d\) を求めるときにも使いました。)

まず小さなダイアログが出ます。

  • Number of equations … 式の本数(\(2\)\(3\)
  • Variables … 変数の名前をカンマで区切って入れる(x,ya,s,c

OK を押すと、式を入れる波カッコの枠が出てきます。上から順に式を打ち込み、tab で次の行に移ります。

\[ \begin{cases} 2x + 3y = 17 \\ 5x - 2y = 14 \end{cases} \qquad \longrightarrow \qquad \{4, \ 3\} \]

答えは、変数を入れた順に並んで出ます。 x,y と入れたなら、最初の \(4\)\(x\)、次の \(3\)\(y\) です。

警告変数の順番は、自分で決めたものです

Variablesa,s,c と入れたなら、答えも \(a, s, c\) の順です。

この順番は、電卓が勝手に決めるものではありません。 答案に写すときに \(s\)\(c\) を取り違えないよう、入力した順番を問題用紙にメモしておいてください。

2. 多項式方程式 ── Find Roots of Polynomial

menu → Algebra → Polynomial Tools → Find Roots of Polynomial

こちらも、最初にダイアログが出ます。

  • Degree … 次数(\(2\)\(3\)
  • 入力方法 … 係数を1つずつ入れる方法と、式をそのまま書く方法があります

係数を入れる方法のほうが、打ち間違えにくいです。degree の高いほうから順に入れてください。

\[ 2x^{3} - 5x^{2} - 4x + 3 = 0 \quad \longrightarrow \quad 2, \ -5, \ -4, \ 3 \quad \longrightarrow \quad \{-1, \ 0.5, \ 3\} \]

必ず \(= 0\) の形にしてから、係数を読み取ってください。

ノート実数解がないときの画面

\(x^{2} - 4x + 7 = 0\) を入れると、空のリスト、または実数でない値が返ってきます。OS のバージョンによって表示が違います。

どちらにしても、「実数解はない」という意味です。答案には no real solutions と書いてください。

3. nSolve ── 1つだけ解が欲しいとき

polynomial ではない方程式(\(2^{x} = 50\) など)は、Polynomial Tools では解けません。そのときは nSolve です。

menu → Algebra → Numerical Solve
nSolve(x^2 - 5x + 3 = 0, x)   →   0.697224
警告nSolve は解を1つしか返さないことがあります

上の例では解が \(0.697\)\(4.30\)2つあるのに、\(0.697\) だけが返ってきました。

polynomial の方程式では、nSolve ではなく Find Roots of Polynomial を使ってください。 そのほうが確実です。

どうしても nSolve を使うなら、探す場所を指定します。

nSolve(x^2 - 5x + 3 = 0, x, 4)

最後の \(4\) は「\(4\) より大きいところを探せ」という意味です(lower bound)。これで \(4.302775\ldots\) が出ます。

上も決めたいときは nSolve(x^2 - 5x + 3 = 0, x, 4, 10) のように2つ書きます。「\(4\) の近くから探せ」と推測値を渡したいときは、x=4 と書きます。

ただし、どこを探せばよいかはグラフを見ないと分かりません。

4. グラフで解く ── Analyze Graph

解き方は指定されないので、グラフを使っても構いません。答えが合っていれば、同じ点数です。

\(x\) 軸との交点を探す(zeros / roots を求める)

Graphs ページで \(f_1(x) = x^{2} - 5x + 3\) をかいて、

menu → Analyze Graph → Zero

交点の左側と右側をクリックして範囲を挟むと、その中の交点が1つ出ます。交点が2つあるなら、2回やってください。

画面の左下は lower bound?upper bound? と変わります。enter\(2\)です(→ SL 2.4)。

2つのグラフの交点を探す

\(y = x^{2} - 3x + 1\)\(y = 2x - 4\) の交点なら、\(f_1\)\(f_2\) の両方をかいて、

menu → Analyze Graph → Intersection

\(x\) 座標だけでなく、\(y\) 座標も一緒に出ます。 交点の座標を聞かれている問題では、こちらのほうが速いです。

ヒントグラフは「検算」に使うのが一番よいです

解を出すのは Polynomial Tools、正しいかを見るのはグラフ、という使い分けをおすすめします。

グラフをかけば、解がいくつあるかが目で分かります。「電卓が3つ返してきたけれど、本当に3つあるのか」を確かめられますし、例 3 の (c) のように理由を言葉で書くときにも、グラフを見ていると書きやすくなります。

AI SL で点差がつくのは、その「言葉で書く」ところです。グラフを見る習慣は、そこで効いてきます。

Exercises

各問題に、折りたたみが3つ付いています。日本語訳解答例(答案用紙に書くべきこと。英語です)、解説(なぜそうなるか。日本語です)。

まず自分で解いて、次に解答例と見くらべてください。解説は、合わなかったときだけ開けば十分です。

1 Solve the following system of equations.

\[ \begin{cases} 3x + 2y = 21 \\ x - 4y = -7 \end{cases} \]

\[x = 5, \quad y = 3\]

式が2本、変数が2つなので、そのまま Solve System of Linear Equations に入れます。

変数は x,y の順に入れたので、出てくる \(\{5, 3\}\)\(x = 5\)\(y = 3\) です。

検算:\(3(5) + 2(3) = 15 + 6 = 21\) ✓、\(5 - 4(3) = 5 - 12 = -7\)

\(-7\) の負の符号を打ち忘れると、まったく違う答えになります。右辺が負の数のときは、入力を見直してください。

2 Solve the following system of equations, giving your answers correct to three significant figures.

\[ \begin{cases} 4x + 7y = 25 \\ 6x - 5y = 9 \end{cases} \]

\[x = 3.03, \quad y = 1.84 \quad \text{(3 s.f.)}\]

電卓が返すのは \(x = 3.032258\ldots\)\(y = 1.838709\ldots\) です。

答えが整数にならない連立方程式もあります。 「きれいな数にならないから間違えた」と思わないでください。有効数字を指定されているのは、きれいにならないと分かっているからです。

\(3.032\ldots\) を3桁にすると \(3.03\)\(1.838\ldots\) を3桁にすると \(1.84\) です(4桁目で四捨五入。SL 1.6)。

電卓が \(\dfrac{94}{31}\) のような分数で表示することがあります。そのときは ctrl + enter で押し直すと小数になります。

3 Solve the following system of equations.

\[ \begin{cases} x + y + z = 5 \\ 2x - y + 3z = 20 \\ x + 4y - z = -9 \end{cases} \]

\[x = 3, \quad y = -2, \quad z = 4\]

Number of equations3Variablesx,y,z にします。

変数が3つになっても、やることは2つのときと同じです。枠が1行増えるだけです。

\(y\) が負の数になりますが、問題ありません。 ここでは \(y\) が長さや人数を表しているわけではないので、負でも構いません。

検算:\(3 + (-2) + 4 = 5\) ✓、\(2(3) - (-2) + 3(4) = 6 + 2 + 12 = 20\) ✓、\(3 + 4(-2) - 4 = 3 - 8 - 4 = -9\)

3本とも確かめてください。 2本だけ合っていることがあります。

4 Find the roots of the equation \(2x^{2} - 7x + 3 = 0\).

\[x = 0.5, \quad x = 3\]

Find Roots of PolynomialDegree は 2、係数は \(2, -7, 3\) です。

\(x^2\) の係数が \(1\) ではないことに注意してください。最初の欄は \(2\) です。\(1\) と入れてしまうと、別の方程式になります。

\(x = 0.5\)\(\dfrac{1}{2}\) と書いても構いません。どちらでも正解です。

roots という言葉が使われていますが、やることは solve と同じです。

5 Find the zeros of the function \(f(x) = x^{2} - 6x + 4\), giving your answers correct to three significant figures.

\[x^{2} - 6x + 4 = 0\] \[x = 0.764, \quad x = 5.24 \quad \text{(3 s.f.)}\]

zeros と言われたら、\(f(x) = 0\) とおきます。 関数の話ですが、解くのは方程式です。

この \(= 0\) の1行を、答案に書いてください。 ここが読み取りの点です。

係数は \(1, -6, 4\)。電卓は \(0.7639320\ldots\)\(5.2360679\ldots\) を返します。3桁に丸めると \(0.764\)\(5.24\) です。

答えは \(x\) の値だけでよいです。 \((0.764, 0)\) のような座標で書く必要はありません。座標が必要なのは、x-intercepts の座標を聞かれたときです。

6 Solve the equation \(x^{3} - 2x^{2} - 5x + 6 = 0\).

\[x = -2, \quad x = 1, \quad x = 3\]

Degree は 3、係数は \(1, -2, -5, 6\) の4つです。

解を3つとも書いてください。 1つでも落とすと満点になりません。

グラフをかいて確かめると、曲線が \(x\) 軸を3回横切っているのが見えます。「3つで合っている」と確認できます。

7 A ball is thrown upwards from a balcony. Its height above the ground, \(h\) metres, after \(t\) seconds is given by

\[ h = -4.9t^{2} + 18t + 1.2 . \]

(a) Find the time at which the ball hits the ground, correct to three significant figures.

(b) The equation also has a negative solution. Explain why this solution is rejected.

(a) The ball hits the ground when \(h = 0\).

\[-4.9t^{2} + 18t + 1.2 = 0\] \[t = -0.0655 \quad \text{or} \quad t = 3.74\] \[t = 3.74 \ \text{seconds} \quad \text{(3 s.f.)}\]

(b) \(t = -0.0655\) is rejected because \(t\) represents the time after the ball is thrown, which cannot be negative.

(a) 「地面に着く」は「高さが \(0\) になる」ということです。まず、それを式にします。

\[-4.9t^{2} + 18t + 1.2 = 0\]

この1行を答案に書いてください。 ここが読み取りの点です。

係数は \(-4.9, 18, 1.2\)最初の係数が負であることに注意してください。電卓は \(t = -0.06549\ldots\)\(t = 3.73896\ldots\) を返します。

3桁にすると \(3.74\) 秒です。

(b) \(t\) は「投げてからの秒数」なので、負にはなりません。\(t = -0.0655\) は、式の上では成り立つけれど、現実には起こらない解です。

こういう解は、捨てた理由を一言書くのが決まりです。黙って消すと、点が出ないことがあります。

8 A café sells coffee in three sizes: small, medium and large. The table shows the number of each size sold on three days, and the total takings for each day.

表 4: Coffee sales
Day Small Medium Large Takings ($)
1 4 3 2 37.90
2 2 5 3 46.30
3 6 1 4 46.90

Find the price of each size of coffee.

Let \(S\), \(M\) and \(L\) be the price, in dollars, of a small, medium and large coffee.

\[ \begin{cases} 4S + 3M + 2L = 37.90 \\ 2S + 5M + 3L = 46.30 \\ 6S + M + 4L = 46.90 \end{cases} \]

\[S = 3.20, \quad M = 4.50, \quad L = 5.80\]

Small \(\$3.20\), medium \(\$4.50\), large \(\$5.80\).

3つの手順のとおりに進めます。

手順1:分からないのは3つの値段なので、\(S, M, L\) と置きます。in dollars まで書いてください。

手順2:表の1行が、1本の式になります。1日目は small が \(4\) 杯、medium が \(3\) 杯、large が \(2\) 杯で、売上は \(37.90\) ドルでした。

手順3:式が3本、文字が3つ。合っているので解けます。

3日目の medium は \(1\) 杯なので \(1M\) です。係数が \(1\) のときも、電卓の入力では省略しないほうが安全です。

答えが \(3.2\) と表示されたら、お金なので \(\$3.20\) と小数第2位まで書きます。

検算:\(4(3.20) + 3(4.50) + 2(5.80) = 12.80 + 13.50 + 11.60 = 37.90\)

9 A cuboid has dimensions \(x\) cm, \((x+3)\) cm and \((x+5)\) cm. Its volume is \(200\) cm\(^{3}\).

(a) Show that \(x^{3} + 8x^{2} + 15x - 200 = 0\).

(b) Find the value of \(x\), correct to three significant figures.

(a) \[V = x(x+3)(x+5) = 200\] \[x(x^{2} + 8x + 15) = 200\] \[x^{3} + 8x^{2} + 15x = 200\] \[x^{3} + 8x^{2} + 15x - 200 = 0\]

(b) \(x = 3.56\) (3 s.f.)

(a) Show that なので、展開の途中を全部書きます。 答えは問題に書いてあるので、点が付くのは過程のほうです。

まず \((x+3)(x+5) = x^{2} + 8x + 15\)、次に \(x\) を掛けます。

最後に \(200\) を左辺に移すのを忘れないでください。\(-200\) の形にするところまでが (a) です。

(b) (a) で作った式を、そのまま Find Roots of Polynomial に入れます。Degree は 3、係数は \(1, 8, 15, -200\) です。

定数項の \(-200\) の符号に気をつけてください。\(200\) と入れると、答えが変わります。

実数の解は \(x = 3.560847\ldots\) の1つだけです。他の解は実数ではないので、答案には書きません。3桁にして \(x = 3.56\) です。

検算:\(3.56 \times 6.56 \times 8.56 \approx 200\)

10 The graphs of \(y = x^{2} - 3x + 1\) and \(y = 2x - 4\) intersect at two points.

(a) Show that the \(x\)-coordinates of these points satisfy \(x^{2} - 5x + 5 = 0\).

(b) Find the coordinates of the two points of intersection, correct to three significant figures.

(a) At the points of intersection,

\[x^{2} - 3x + 1 = 2x - 4\] \[x^{2} - 3x + 1 - 2x + 4 = 0\] \[x^{2} - 5x + 5 = 0\]

(b) \(x = 1.381966\ldots\) or \(x = 3.618033\ldots\)

\[y = 2(1.381966\ldots) - 4 = -1.236\ldots\] \[y = 2(3.618033\ldots) - 4 = 3.236\ldots\]

\((1.38, \ -1.24)\) and \((3.62, \ 3.24)\) (3 s.f.)

(a) 交点では、\(y\) の値が等しくなります。 だから、2つの式を \(=\) で結びます。

\[x^{2} - 3x + 1 = 2x - 4\]

あとは右辺を左辺に移すだけです。\(-3x - 2x = -5x\)\(1 + 4 = 5\)

(b) 係数 \(1, -5, 5\)Find Roots of Polynomial に入れると、\(x = 1.381966\ldots\)\(x = 3.618033\ldots\) が出ます。

ここで終わらないでください。 聞かれているのは coordinates(座標)なので、\(y\) の値も必要です。

\(y\) は、簡単なほうの式\(y = 2x - 4\))に入れて求めます。放物線の式に入れても同じ答えになりますが、計算が増えるだけです。

丸める前の値を代入してください。 \(1.38\) を入れて計算すると、\(y\) がわずかにずれることがあります。電卓の中に入っている値をそのまま使うのが確実です。

別の解き方:Graphs ページで2つのグラフをかいて Analyze Graph → Intersection を使えば、\(x\)\(y\) が一度に出ます。この問題では、そちらのほうが速いです。 (a) は Show that なので式の変形が必要ですが、(b) はグラフで構いません。