AHL 5.11a — Standard integrals(基本の積分と定積分)

ノートWhat you should be able to do
  • \(\sin x\)、\(\cos x\)、\(\dfrac{1}{\cos^{2}x}\)、\(e^{x}\) の indefinite integral(不定積分)を書ける。
  • \(n = -1\) のとき、つまり \(\displaystyle\int\frac{1}{x}\,dx = \ln|x| + C\) を使える。
  • \(x^{n}\) を \(n\) が分数のときにも積分できる。
  • \(\sqrt{x}\) や \(\dfrac{3}{x^{2}}\) をべき乗の形に書き直してから積分できる。
  • \(+C\) を必ず書き、boundary condition から \(C\) の値を決められる。
  • 定積分の式を先に書き、数値で答える問題では電卓で値を出せる。
  • 電卓を Radian にしてから計算できる。

The idea

1. Standard integrals(微分の表を逆から読む)

積分は微分の逆です(SL 5.5)。ですから、新しく覚えることはありません。AHL 5.9a の表を、右から左へ読むだけです。

表 1: 微分と積分は表裏です
微分すると(AHL 5.9a) 積分すると(このページ)
\(\sin x \ \to \ \cos x\) \(\displaystyle\int \cos x\,dx = \sin x + C\)
\(\cos x \ \to \ -\sin x\) \(\displaystyle\int \sin x\,dx = -\cos x + C\)
\(\tan x \ \to \ \dfrac{1}{\cos^{2}x}\) \(\displaystyle\int \dfrac{1}{\cos^{2}x}\,dx = \tan x + C\)
\(e^{x} \ \to \ e^{x}\) \(\displaystyle\int e^{x}\,dx = e^{x} + C\)
\(\ln x \ \to \ \dfrac{1}{x}\)(\(x > 0\)) \(\displaystyle\int \dfrac{1}{x}\,dx = \ln\lvert x \rvert + C\)

この \(5\) つは、公式集の \(5.11\) の欄にそのまま印刷されています。 覚える必要はありません。身につけるべきなのは、どの欄を見るかです。\(\dfrac{1}{x}\) だけは \(5.5\) の欄ではなく \(5.11\) の欄、というのがこの項目の分かれ道です(第2節)。

中身が \(x\) そのものでない形(\(\sin(2x+5)\) など)は、AHL 5.11b で扱います。

警告マイナスが付くのは \(\sin\) を積分したときです

微分では \(\cos\) にマイナスが付きました。積分では \(\sin\) に付きます。逆になります。

\[ \int \sin x\,dx = -\cos x + C \]

\[ \int \cos x\,dx = \sin x + C \]

符号で迷ったら、答えを微分して確かめてください。 \(-\cos x\) を微分すると \(-(-\sin x) = \sin x\) で、もとに戻ります ✓

警告\(\dfrac{1}{\cos^{2}x}\) は、\(\cos x = 0\) のところでは考えません

\(\tan x\) は \(x = \dfrac{\pi}{2}\) で定義されていません。ですから、\(x = \dfrac{\pi}{2}\) をまたぐ definite integral(定積分)は出てきません。

\(\displaystyle\int_{0}^{\pi}\frac{1}{\cos^{2}x}\,dx\) に \(\bigl[\tan x\bigr]_{0}^{\pi}\) を当てはめると \(0\) という答えが出ますが、被積分関数はずっと正なので、\(0\) になるはずがありません。 区間の中に \(\cos x = 0\) が入っていないか、先に確かめてください。

2. The case \(n = -1\)(\(n = -1\) のときの公式)

\(x^{n}\) の積分には、べき乗の公式を使います。ただし、\(n = -1\) のときだけは使えません。べき乗の公式は、公式集の 5.5 の欄にあります。

\[ \int x^{n}\,dx = \frac{x^{\,n+1}}{n+1} + C, \qquad n \neq -1 \tag{1}\]

\(n \neq -1\) という条件が付いています。\(n = -1\) を入れてみると、その理由が分かります。

\[ \frac{x^{\,-1+1}}{-1+1} = \frac{x^{0}}{0} \]

分母が \(0\) になってしまいます。 ですから、この場合だけ別に用意されています。

\[ \int \frac{1}{x}\,dx = \ln|x| + C \tag{2}\]

この式は、公式集の \(5.11\) の欄にあります。 \(\dfrac{1}{x} = x^{-1}\) ですから、\(x^{-1}\) を見たら \(\ln|x|\) と結びつけてください。

modulus(絶対値)が付く理由

\(\ln\) の中身は正でなければなりません。 けれども \(\dfrac{1}{x}\) は \(x < 0\) でも定義されています。

図 1: \(\dfrac{1}{x}\) の原始関数に絶対値が付く理由です。

図 1 を見てください。赤の破線が \(\dfrac{1}{x}\)、青が \(\ln|x|\) です。\(x < 0\) の側にも、ちゃんと青い曲線があります。 modulus を付けておけば、\(1\) つの式で両側をまかなえます。

なぜそれでうまくいくのかは、Why it works で確かめられます。

ヒント\(x > 0\) と書いてあれば、\(\ln x\) と書いても構いません

問題文に \(x > 0\) という条件があるときは、\(|x| = x\) なので \(\ln x\) でも同じです。

迷ったら \(\ln|x|\) と書いてください。 公式集がその形で印刷しているので、どちらの場合も正しくなります。

3. Rational powers(分数のべき乗)

\(x^{n}\) の \(n\) が分数でも、同じように積分できます。\(n\) は rational number(有理数)、つまり \(n \in \mathbb{Q}\) であればよいのです(AHL 5.9a 第2節)。公式そのものは変わりません。

\[ \int x^{\frac{1}{2}}\,dx = \frac{x^{\frac{3}{2}}}{\frac{3}{2}} + C = \frac{2}{3}x^{\frac{3}{2}} + C \]

分母が分数になったら、逆数を掛けます。 \(\div \dfrac{3}{2}\) は \(\times \dfrac{2}{3}\) です。

積分する前に、べき乗の形に書き直します

微分のときと同じです(AHL 5.9a)。

表 2: 書き直してから積分する
問題文の形 べき乗の形 積分すると
\(\sqrt{x}\) \(x^{\frac{1}{2}}\) \(\dfrac{2}{3}x^{\frac{3}{2}} + C\)
\(\dfrac{1}{\sqrt{x}}\) \(x^{-\frac{1}{2}}\) \(2x^{\frac{1}{2}} + C\)
\(\dfrac{3}{x^{2}}\) \(3x^{-2}\) \(-3x^{-1} + C = -\dfrac{3}{x} + C\)
\(\dfrac{1}{x}\) \(x^{-1}\) \(\ln\lvert x \rvert + C\) ← 別の公式

いちばん下の行だけ、べき乗の公式が使えません。 書き直したあとに指数が \(-1\) になっていないか、必ず見てください。

4. Integrating term by term(項ごとの積分と \(+C\))

式がいくつかの項の和なら、項ごとに積分して並べます。

\[ \int \left(3\sin x - 2e^{x} + \frac{4}{x}\right)dx = -3\cos x - 2e^{x} + 4\ln|x| + C \]

係数はそのまま残ります。 \(3\sin x\) の積分は \(-\cos x\) ではなく \(-3\cos x\) です。

重要\(+C\) は \(1\) つだけです

項ごとに \(C\) を書く必要はありません。式全体の最後に \(1\) つ書きます(SL 5.5)。

そして、書き忘れると減点されます。 不定積分で \(+C\) が無いのは、この項目で一番多い失点です。

例題 1 Find \(\displaystyle\int\left(3\sin x - 2e^{x} + \frac{4}{x}\right)dx\), for \(x > 0\).

項ごとに積分します(第4節)。

  • \(3\sin x\) → \(-3\cos x\)(表 1。マイナスが付きます)
  • \(-2e^{x}\) → \(-2e^{x}\)(表 1。\(e^{x}\) は変わりません)
  • \(\dfrac{4}{x}\) → \(4\ln|x|\)(式 2。\(x^{-1}\) なのでべき乗の公式は使えません)

\[ \int\left(3\sin x - 2e^{x} + \frac{4}{x}\right)dx = -3\cos x - 2e^{x} + 4\ln|x| + C \]

検算。 答えを微分すると

\[ 3\sin x - 2e^{x} + \frac{4}{x} \]

でもとに戻ります ✓ 不定積分は、必ず微分して確かめられます。

ノート解答例(答案用紙にはこう書く)

\[ \int\left(3\sin x - 2e^{x} + \frac{4}{x}\right)dx = -3\cos x - 2e^{x} + 4\ln|x| + C \]

5. Definite integrals(定積分)

端の付いた積分を definite integral(定積分)、付いていない \(\displaystyle\int f(x)\,dx\) を indefinite integral(不定積分)といいます。

定積分には \(+C\) が要りません。 constant of integration(積分定数)が引き算で消えるからです(SL 5.5)。

\[ \int_{a}^{b} f(x)\,dx = \bigl[F(x)\bigr]_{a}^{b} = F(b) - F(a) \]

\(a\) を lower limit(下端)、\(b\) を upper limit(上端)、\(f(x)\) を integrand(被積分関数)、\(F(x)\) を antiderivative(原始関数)といいます。試験の問題文は英語なので、英語の語で覚えてください。

定積分では、グラフと \(x\) 軸ではさまれた部分の面積を求めることができます。くわしくは AHL 5.12a で習いますが、ここでも \(1\) つ見ておきます。

図 2: 定積分は、曲線の下の面積として読めます。

図 2 は、\(y = \dfrac{1}{x}\) と \(x\) 軸ではさまれた \(x = 1\) から \(x = 3\) までの面積です。

\[ \int_{1}^{3}\frac{1}{x}\,dx = \bigl[\ln|x|\bigr]_{1}^{3} = \ln 3 - \ln 1 = \ln 3 = 1.10 \ (3 \text{ s.f.}) \]

まず式を書きます

SL 5.5 で見たとおり、面積を計算する前に、正しい式を先に書きます。式の行が method mark になるのは HL でも変わりません。

\[ \int_{1}^{3}\frac{1}{x}\,dx \]

この式を書くこと自体に点が付きます。

lower limit(下端)・upper limit(上端)・integrand(被積分関数)・\(dx\) の \(4\) つがそろっているか確かめてください。

値は電卓で出します

AI HL は \(3\) つの paper すべてで電卓が使えます。数値で答える定積分は、電卓で出して構いません(GDC 第2節)。

menu → Calculus → Integral

画面に積分のテンプレートが出るので、見たままの形で入れます。分数もテンプレートのまま入ります。

\[ \int_{1}^{3} \frac{1}{x} \ dx \]

\(1.0986\ldots\) と出ます。\(\displaystyle\int\) のテンプレート(\(9\) キーの右のパレット)からも、同じものが入ります。

重要ただし、問題文の言葉で決まります

次の \(3\) つでは、電卓の値だけでは点になりません。

表 3: 電卓で済むかどうかの見分け方
問題文 やること
Find + 不定積分(端が付いていない \(\int\)) anti-derivative(原始関数)の式を書く。電卓は式を返しません
the exact value \(\ln 2\) や \(\dfrac{83}{12}\) のように、小数に直さずに書く
Show that 与えられた答えに向かって、途中をすべて書く

このページの例題と演習は、ほとんどがこの \(3\) つです。 ですから、原始関数を書く力がまず要ります。電卓は検算と、数値で答える問題のためのものだと思ってください。

例題 2 Let \(f(x) = \sqrt{x} + \dfrac{3}{x^{2}}\), for \(x > 0\).

(a) Write \(f(x)\) in the form \(x^{p} + 3x^{q}\).

(b) Find \(\displaystyle\int f(x)\,dx\).

(c) Find \(\displaystyle\int_{1}^{4} f(x)\,dx\), giving your answer as an exact fraction.

(a) 根号と分数を、べき乗の形に直します(表 2)。

\[ f(x) = x^{\frac{1}{2}} + 3x^{-2} \]

(b) それぞれ指数に \(1\) を足して、その数で割ります(式 1)。項ごとの段階では \(C\) を書かず、最後に \(1\) つ付けます。

\[ \int x^{\frac{1}{2}}\,dx = \frac{x^{\frac{3}{2}}}{\frac{3}{2}} = \frac{2}{3}x^{\frac{3}{2}} \]

\[ \int 3x^{-2}\,dx = \frac{3x^{-1}}{-1} = -3x^{-1} = -\frac{3}{x} \]

\[ \int f(x)\,dx = \frac{2}{3}x^{\frac{3}{2}} - \frac{3}{x} + C \]

もとの指数は \(-2\) です。\(-2 \neq -1\) なので、べき乗の公式が使えます。 \(1\) を足した \(-1\) で割るだけで、\(\ln\) にはなりません。

(c) (b) で作った原始関数に、\(4\) と \(1\) を入れて引きます。\(4^{\frac{3}{2}} = 8\) です。

\[ \int_{1}^{4} f(x)\,dx = \left[\frac{2}{3}x^{\frac{3}{2}} - \frac{3}{x}\right]_{1}^{4} \]

\[ = \left(\frac{16}{3} - \frac{3}{4}\right) - \left(\frac{2}{3} - 3\right) \]

\[ = \frac{14}{3} + \frac{9}{4} = \frac{56}{12} + \frac{27}{12} = \frac{83}{12} \]

検算。 電卓の Integral で \(\displaystyle\int_{1}^{4}\left(\sqrt{x} + \frac{3}{x^{2}}\right)dx\) を計算すると \(6.9167\)。\(\dfrac{83}{12} = 6.9167\) ✓(GDC 第2節)

ノート解答例(答案用紙にはこう書く)

(a) \[ f(x) = x^{\frac{1}{2}} + 3x^{-2} \]

(b) \[ \int f(x)\,dx = \frac{2}{3}x^{\frac{3}{2}} - \frac{3}{x} + C \]

(c) \[ \int_{1}^{4} f(x)\,dx = \left[\frac{2}{3}x^{\frac{3}{2}} - \frac{3}{x}\right]_{1}^{4} = \left(\frac{16}{3} - \frac{3}{4}\right) - \left(\frac{2}{3} - 3\right) = \frac{83}{12} \]

例題 3 (a) Write down \(\displaystyle\int \frac{1}{\cos^{2}x}\,dx\).

(b) Hence show that \(\displaystyle\int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{1}{\cos^{2}x}\,dx = 1\).

(a) 公式集の \(5.11\) の欄にあります(表 1)。

\[ \int \frac{1}{\cos^{2}x}\,dx = \tan x + C \]

(b) Show that なので、途中をすべて書きます。 電卓の値だけでは点になりません(第5節)。

\[ \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{1}{\cos^{2}x}\,dx = \bigl[\tan x\bigr]_{0}^{\frac{\pi}{4}} \]

\[ = \tan\frac{\pi}{4} - \tan 0 = 1 - 0 = 1 \]

検算。 電卓を Radian にして Integral で計算すると \(1\) です ✓(第7節)

ノート解答例(答案用紙にはこう書く)

(a) \[ \int \frac{1}{\cos^{2}x}\,dx = \tan x + C \]

(b) \[ \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{1}{\cos^{2}x}\,dx = \bigl[\tan x\bigr]_{0}^{\frac{\pi}{4}} = \tan\frac{\pi}{4} - \tan 0 = 1 - 0 = 1 \]

6. Boundary conditions(境界条件から \(C\) を決める)

\(+C\) が付いたままでは、答えが \(1\) つに決まりません。\(1\) 組の値(boundary condition(境界条件))が与えられれば、\(C\) が決まります(SL 5.5)。

\(\dfrac{dy}{dx} = 2\cos x + \dfrac{3}{x}\) で、\(x = 1\) のとき \(y = 5\) とします。

\[ y = 2\sin x + 3\ln|x| + C \]

\(x = 1\)、\(y = 5\) を入れます。\(\ln 1 = 0\) です。

\[ 5 = 2\sin 1 + 0 + C \]

\[ C = 5 - 2\sin 1 = 5 - 1.6829 = 3.3171 \]

\[ y = 2\sin x + 3\ln|x| + 3.32 \qquad (3 \text{ s.f.}) \]

\(\sin 1\) は radian です。 次の節を見てください。

7. Radian mode(電卓の角度の設定)

\(\sin\) や \(\cos\) の入った積分では、角の設定が Radian でないと、まったく違う値が出ます(AHL 5.9a)。

doc → Settings → Document Settings → Angle: Radian

HL の試験では、\(^{\circ}\) が書いていなければ radian です。\(\displaystyle\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{1}{\cos^{2}x}\,dx\) のように、積分の端に \(\pi\) が出てきたら、まず設定を確かめてください。

例題 4 Water flows into a tank. The rate of flow, in litres per minute, at time \(t\) minutes is

\[ \frac{dV}{dt} = 5 + 4\cos t, \qquad t \geq 0 \]

When \(t = 0\) the tank contains \(20\) litres.

(a) Find an expression for \(V\) in terms of \(t\).

(b) Find the volume of water in the tank when \(t = 3\).

(c) Show that the volume is always increasing.

(d) Interpret the value of \(\displaystyle\int_{0}^{3}\left(5 + 4\cos t\right)dt\) in the context of the question.

(a) \(\dfrac{dV}{dt}\) から \(V\) に戻るので、積分します。

\[ V = \int (5 + 4\cos t)\,dt = 5t + 4\sin t + C \]

\(t = 0\) のとき \(V = 20\) です。\(\sin 0 = 0\) なので

\[ 20 = 0 + 0 + C \quad \Longrightarrow \quad C = 20 \]

\[ V = 5t + 4\sin t + 20 \]

(b) \(t = 3\) を入れます。radian です(第7節)。

\[ V = 15 + 4\sin 3 + 20 = 15 + 0.5645 + 20 = 35.56 \approx 35.6 \ \text{litres} \]

(c) Show that なので、理由を書きます。\(\cos t\) の値は、いつも \(-1\) 以上 \(1\) 以下です。

\[ -1 \leq \cos t \leq 1 \quad \Longrightarrow \quad -4 \leq 4\cos t \leq 4 \]

\[ 1 \leq 5 + 4\cos t \leq 9 \]

\(\dfrac{dV}{dt}\) は、いちばん小さくても \(1\) です。 つまりつねに正なので、\(V\) は増えつづけます。

試験ではこう書く

Since \(-1 \leq \cos t \leq 1\), we have \(1 \leq 5 + 4\cos t \leq 9\).

So \(\dfrac{dV}{dt} \geq 1 > 0\) for all \(t\), and the volume is always increasing.

(\(\cos t\) は \(-1\) 以上 \(1\) 以下だから \(\dfrac{dV}{dt}\) は \(1\) 以上、つまりつねに正なので体積は増えつづける、という意味です。)

検算。 \(t = 3\) で \(\dfrac{dV}{dt} = 5 + 4\cos 3 = 1.04 > 0\) ✓ いちばん小さくなるあたりでも正です。

(d) この定積分は変化率の積分なので、値は「増えた量」です(SL 5.5)。電卓で計算すると \(15.6\) です(GDC 第2節)。

試験ではこう書く

It is the volume of water, in litres, that flows into the tank during the first \(3\) minutes.

Its value is \(15.6\) litres, which agrees with \(V(3) - V(0) = 35.6 - 20 = 15.6\).

(最初の \(3\) 分間にタンクに流れこんだ水の量(リットル)である。値は \(15.6\) リットルで、\(V(3) - V(0) = 15.6\) と一致する、という意味です。)

ノート解答例(答案用紙にはこう書く)

(a) \[ V = \int (5 + 4\cos t)\,dt = 5t + 4\sin t + C \] \[ t = 0, \ V = 20 \quad \Longrightarrow \quad C = 20 \] \[ V = 5t + 4\sin t + 20 \]

(b) \[ V(3) = 15 + 4\sin 3 + 20 = 35.6 \ \text{litres} \]

(c) Since \(-1 \leq \cos t \leq 1\), \(\dfrac{dV}{dt} = 5 + 4\cos t \geq 1 > 0\) for all \(t\), so \(V\) is always increasing.

(d) It is the volume of water, in litres, that flows into the tank during the first \(3\) minutes: \(15.6\) litres.

Why it works

ここでは、公式集に載っている \(2\) つの式がなぜその形なのかを確かめます。

なぜ \(\ln|x|\) に modulus が要るのか

\(x > 0\) のときは、そのままです。\(\ln x\) を微分すると \(\dfrac{1}{x}\) でした(AHL 5.9a)。

問題は \(x < 0\) のときです。\(\ln x\) は定義されていません。そこで \(\ln(-x)\) を微分してみます。中身の微分を掛けます(AHL 5.9b)。

\[ \frac{d}{dx}\ln(-x) = \frac{1}{-x} \times (-1) = \frac{1}{x} \]

\(x < 0\) でも、\(\ln(-x)\) の微分は \(\dfrac{1}{x}\) になりました。

  • \(x > 0\) なら \(\ln x\)
  • \(x < 0\) なら \(\ln(-x)\)

この \(2\) つを \(1\) つの式で書いたものが \(\ln|x|\) です。\(|x|\) は「\(x\) が正ならそのまま、負なら符号を変える」という意味だからです。

図 1 の青い曲線が、左右で対称になっているのはこのためです。

\(x = 0\) をまたぐ定積分は考えません。 \(\dfrac{1}{x}\) は \(x = 0\) で定義されていないので、\(\displaystyle\int_{-1}^{1}\frac{1}{x}\,dx\) のような形は AI HL では出てきません。

なぜ \(\dfrac{1}{\cos^{2}x}\) の積分が \(\tan x\) なのか

これは覚える必要のない式です。\(\tan x\) を微分すると \(\dfrac{1}{\cos^{2}x}\) だった(AHL 5.9a)というだけのことです。

積分は微分の逆ですから、\(\dfrac{1}{\cos^{2}x}\) を積分すれば \(\tan x\) に戻ります。

\(\dfrac{1}{\cos^{2}x}\) という形を見たら、\(\tan\) を思い浮かべてください。 分母に \(\cos\) の \(2\) 乗がある、というのが目印です。

\(x = \dfrac{\pi}{3}\) で確かめます。

\[ \int_{0}^{\frac{\pi}{3}}\frac{1}{\cos^{2}x}\,dx = \bigl[\tan x\bigr]_{0}^{\frac{\pi}{3}} = \sqrt{3} - 0 = 1.73 \]

電卓の Integral(Radian)でも \(1.7321\) になります ✓

Common errors

警告\(\displaystyle\int\frac{1}{x}\,dx\) にべき乗の公式を使う

誤り:\(x^{-1}\) を見て \(\dfrac{x^{0}}{0} + C\) と書く、あるいは \(\dfrac{1}{2}x^{-2}\) のような形を書く。

べき乗の公式には \(n \neq -1\) という条件が付いています(式 1)。

正しくは:\(\ln|x| + C\) です(式 2)。書き直したあとの指数が \(-1\) かどうかを、必ず見てください(第2節)。

警告\(\sin\) の積分のマイナスを落とす

誤り:\(\displaystyle\int \sin x\,dx = \cos x + C\) と書く。

微分ではマイナスが付くのは \(\cos\)、積分では \(\sin\) です。逆になります(第1節)。

正しくは:\(-\cos x + C\) です。答えを微分して確かめればすぐ分かります。

警告\(+C\) を書き忘れる

誤り:不定積分の答えを \(-3\cos x - 2e^{x} + 4\ln|x|\) で止める。

正しくは:\(+C\) が要ります(第4節)。

定積分には要りません。 端の値を引くときに消えるからです(第5節)。「\(\int\) に上下の数が付いているか」で見分けてください。

警告絶対値を書かない

誤り:\(\displaystyle\int\frac{1}{x}\,dx = \ln x + C\) と書く(問題文に \(x > 0\) が無いのに)。

正しくは:\(\ln|x| + C\) です。公式集もその形です(第2節)。

\(x > 0\) と書いてあるときだけ、\(\ln x\) でも構いません。

警告分数で割るところを間違える

誤り:\(\displaystyle\int x^{\frac{1}{2}}\,dx\) を \(\dfrac{3}{2}x^{\frac{3}{2}}\) と書く(掛けてしまっている)。

正しくは:\(\dfrac{x^{\frac{3}{2}}}{\frac{3}{2}} = \dfrac{2}{3}x^{\frac{3}{2}}\) です。割るので、逆数を掛けます(第3節)。

検算は微分です。 \(\dfrac{2}{3}x^{\frac{3}{2}}\) を微分すると \(\dfrac{2}{3} \times \dfrac{3}{2}x^{\frac{1}{2}} = x^{\frac{1}{2}}\) ✓

警告電卓が Degree のまま、\(\sin\) の入った積分を計算する

誤り:\(\displaystyle\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{1}{\cos^{2}x}\,dx\) を degree の設定で計算する。

エラーは出ませんが、値がまったく違います。

正しくは:doc → Settings → Document Settings → Angle: Radian にしてから計算します(第7節)。

警告積分の式を書かずに、電卓の値だけを書く

誤り:面積や合計を聞かれて、いきなり \(6.92\) とだけ書く。

\(\displaystyle\int_{1}^{4}\left(\sqrt{x} + \frac{3}{x^{2}}\right)dx\) という式の行に点が付きます(第5節)。

正しくは:式を書いてから値を出します。値が違っていても、式が合っていれば部分点になります。

警告Show that なのに、電卓の値だけを書く

誤り:\(\displaystyle\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{1}{\cos^{2}x}\,dx = 1\) を示せ、と言われて「電卓で \(1\) でした」と書く。

Show that は、与えられた答えに向かって途中を全部書く指示です(第5節)。

正しくは:\(\bigl[\tan x\bigr]_{0}^{\frac{\pi}{4}} = \tan\dfrac{\pi}{4} - \tan 0 = 1\) と、原始関数と代入を書きます。

Using your GDC (TI-Nspire CX II)

AI HL は \(3\) つの paper すべてで電卓が使えます。定積分の値は、電卓で出すのがふつうです。

1. Setting radians(Angle を Radian にする)

doc → Settings → Document Settings → Angle: Radian

計算画面で \(\sin 1\) を計算して、\(0.841\) が出れば Radian です(AHL 5.9a)。\(0.0175\) が出たら Degree なので、直してください。

2. Evaluating a definite integral(定積分を計算する)

menu → Calculus → Integral

積分のテンプレートが出るので、画面に出てくる形のまま入れます。例 4 (d) なら、こうです。

\[ \int_{0}^{3} \left(5 + 4\cos x\right) dx \]

\(15.564\) と出ます。数値で答える問題は、これで終わりです。

検算にも同じ機能を使います。 例 2 (c) の式を入れると \(6.9167\) で、手で出した \(\dfrac{83}{12}\) と一致します ✓

警告電卓は「式」を返しません

Integral が返すのは、ある区間の値だけです。\(\displaystyle\int f(x)\,dx\)(不定積分)を聞かれたら、原始関数の式を自分で書くしかありません(第5節)。

3. Checking on a graph(グラフで確かめる)

面積として見たいときは、グラフから出せます。

  • \(f1(x) = \dfrac{1}{x}\)
  • menu → Analyze Graph → Integral

下端と上端を指定すると、塗られた面積と値が画面に出ます(SL 5.5)。図 2 と同じ絵になります。

曲線が \(x\) 軸の下に入っていないかも、同時に確かめられます。

4. Checking your answer(確かめ方)

\(4\) つあります。

  1. 不定積分は、答えを微分してもとに戻るか
  2. \(+C\) を書いたか(定積分なら書いていないか)
  3. Angle が Radian か
  4. 手で出した定積分の値と、Integral の値が合うか

Exercises

1 Find \(\displaystyle\int (4\cos x - e^{x})\,dx\).

\[ \int (4\cos x - e^{x})\,dx = 4\sin x - e^{x} + C \]

項ごとに積分します(第4節)。\(\cos\) の積分にはマイナスが付きません(表 1)。

係数 \(4\) はそのまま残ります。

検算。 \(4\sin x - e^{x}\) を微分すると \(4\cos x - e^{x}\) ✓

2 Find \(\displaystyle\int \frac{6}{x}\,dx\), for \(x > 0\).

\[ \int \frac{6}{x}\,dx = 6\ln|x| + C \]

\(\dfrac{6}{x} = 6x^{-1}\) です。指数が \(-1\) なので、べき乗の公式は使えません(第2節)。

\[ \int \frac{6}{x}\,dx = 6\int\frac{1}{x}\,dx = 6\ln|x| + C \]

係数 \(6\) は \(\ln\) の前に残ります。 \(\ln|6x|\) ではありません。

問題文に \(x > 0\) とあるので、\(6\ln x + C\) と書いても構いません(第2節)。

3 Find \(\displaystyle\int x^{\frac{3}{2}}\,dx\).

\[ \int x^{\frac{3}{2}}\,dx = \frac{x^{\frac{5}{2}}}{\frac{5}{2}} + C = \frac{2}{5}x^{\frac{5}{2}} + C \]

指数に \(1\) を足します。\(\dfrac{3}{2} + 1 = \dfrac{5}{2}\) です。

\(1\) を \(\dfrac{2}{2}\) に直してから足すと間違えません(第3節)。

\(\div \dfrac{5}{2}\) は \(\times \dfrac{2}{5}\) です。

検算。 \(\dfrac{2}{5}x^{\frac{5}{2}}\) を微分すると \(\dfrac{2}{5} \times \dfrac{5}{2}x^{\frac{3}{2}} = x^{\frac{3}{2}}\) ✓

4 Find \(\displaystyle\int \left(\frac{2}{x^{2}} + \sqrt{x}\right)dx\), for \(x > 0\).

\[ \int \left(2x^{-2} + x^{\frac{1}{2}}\right)dx = \frac{2x^{-1}}{-1} + \frac{2}{3}x^{\frac{3}{2}} + C \] \[ = -\frac{2}{x} + \frac{2}{3}x^{\frac{3}{2}} + C \]

まずべき乗の形に書き直します(表 2)。

\[ \frac{2}{x^{2}} = 2x^{-2}, \qquad \sqrt{x} = x^{\frac{1}{2}} \]

\(-2 + 1 = -1\) で、割る数は \(-1\)(\(0\) ではありません)。ですからべき乗の公式が使えます。\(\ln\) にはなりません。

\(\dfrac{2}{x^{2}}\) と \(\dfrac{2}{x}\) を取り違えないでください。 \(\ln\) になるのは \(\dfrac{2}{x}\) のほうだけです。

5 Find the exact value of \(\displaystyle\int_{1}^{2} \frac{1}{x}\,dx\).

\[ \int_{1}^{2} \frac{1}{x}\,dx = \bigl[\ln|x|\bigr]_{1}^{2} = \ln 2 - \ln 1 = \ln 2 \]

exact value と言われているので、\(0.693\) ではなく \(\ln 2\) と書きます。

\(\ln 1 = 0\) です。\(e^{0} = 1\) だからです。

定積分なので \(+C\) は要りません(第5節)。

検算。 Integral で \(0.6931\)。\(\ln 2 = 0.6931\) ✓

6 Find the exact value of \(\displaystyle\int_{0}^{\frac{\pi}{3}} \sin x\,dx\).

\[ \int_{0}^{\frac{\pi}{3}} \sin x\,dx = \bigl[-\cos x\bigr]_{0}^{\frac{\pi}{3}} \] \[ = -\cos\frac{\pi}{3} + \cos 0 = -\frac{1}{2} + 1 = \frac{1}{2} \]

\(\sin\) の積分は \(-\cos\) です(表 1)。

マイナスが \(2\) 回出ます。 原始関数のマイナスと、\([\ ]\) の中で下端を引くときのマイナスです。

\[ \bigl[-\cos x\bigr]_{0}^{\frac{\pi}{3}} = \left(-\cos\frac{\pi}{3}\right) - \left(-\cos 0\right) = -\frac{1}{2} + 1 \]

\(\dfrac{\pi}{3}\) は \(60^{\circ}\) で、\(\cos 60^{\circ} = \dfrac{1}{2}\) です(AHL 5.9a 第4節)。

検算。 Integral(Radian)で \(0.5\) ✓

7 Find the exact value of \(\displaystyle\int_{\frac{\pi}{6}}^{\frac{\pi}{3}} \frac{1}{\cos^{2}x}\,dx\).

\[ \int_{\frac{\pi}{6}}^{\frac{\pi}{3}} \frac{1}{\cos^{2}x}\,dx = \bigl[\tan x\bigr]_{\frac{\pi}{6}}^{\frac{\pi}{3}} \] \[ = \tan\frac{\pi}{3} - \tan\frac{\pi}{6} = \sqrt{3} - \frac{1}{\sqrt{3}} = \frac{2}{\sqrt{3}} \]

\(\dfrac{1}{\cos^{2}x}\) の積分は \(\tan x\) です(表 1)。

\(\dfrac{\pi}{3} = 60^{\circ}\)、\(\dfrac{\pi}{6} = 30^{\circ}\) です。

\[ \sqrt{3} - \frac{1}{\sqrt{3}} = \frac{3}{\sqrt{3}} - \frac{1}{\sqrt{3}} = \frac{2}{\sqrt{3}} \]

検算。 \(\dfrac{2}{\sqrt{3}} = 1.1547\)。Integral(Radian)でも \(1.1547\) ✓ 有効数字 \(3\) 桁なら \(1.15\) です。

8 Find \(\displaystyle\int \left(5e^{x} + \frac{1}{\cos^{2}x}\right)dx\).

\[ \int \left(5e^{x} + \frac{1}{\cos^{2}x}\right)dx = 5e^{x} + \tan x + C \]

どちらも公式集の \(5.11\) の欄にあります(表 1)。

\(e^{x}\) の積分は \(e^{x}\) のままです。係数 \(5\) は残ります。

\(+C\) は \(1\) つだけです(第4節)。

検算。 \(5e^{x} + \tan x\) を微分すると \(5e^{x} + \dfrac{1}{\cos^{2}x}\) ✓

9 A chemical is produced at a rate of \(\dfrac{dm}{dt} = \dfrac{6}{t}\) grams per hour, where \(t \geq 1\) is the time in hours. When \(t = 1\) the mass produced is \(0\) grams.

(a) Find an expression for \(m\) in terms of \(t\).

(b) Find the mass produced after \(5\) hours.

(a) \[ m = \int \frac{6}{t}\,dt = 6\ln|t| + C \] \[ t = 1, \ m = 0 \quad \Longrightarrow \quad 0 = 6\ln 1 + C = C \] \[ m = 6\ln t \qquad (t \geq 1) \]

(b) \[ m(5) = 6\ln 5 = 9.66 \ \text{grams} \]

\(\dfrac{dm}{dt}\) から \(m\) に戻るので積分します(第6節)。

\(\dfrac{6}{t} = 6t^{-1}\) なので \(\ln\) です(第2節)。

\(t \geq 1\) なので \(|t| = t\)、\(\ln 1 = 0\) より \(C = 0\) です。

\[ m(5) = 6\ln 5 = 6 \times 1.60944 = 9.6566 \]

検算。 Integral で \(\displaystyle\int_{1}^{5}\frac{6}{t}\,dt\) を計算すると \(9.657\) ✓ 積分の値がそのまま「\(1\) 時間目から \(5\) 時間目までに作られた量」です。

10 A student writes

\[ \int \frac{1}{x}\,dx = \frac{x^{0}}{0} + C \]

Identify the error and write down the correct integral.

The student has used the power rule with \(n = -1\), but that rule requires \(n \neq -1\): it gives a division by zero. The formula booklet has a separate result for this case, \[ \int \frac{1}{x}\,dx = \ln|x| + C \]

\(\dfrac{1}{x} = x^{-1}\) なので \(n = -1\) です。べき乗の公式(式 1)には \(n \neq -1\) という条件が付いています。

\[ \frac{x^{\,-1+1}}{-1+1} = \frac{x^{0}}{0} \]

分母が \(0\) になるので、計算できません(第2節)。

試験ではこう書く

The power rule \(\int x^{n}dx = \dfrac{x^{n+1}}{n+1} + C\) only applies when \(n \neq -1\).

Here \(n = -1\), so the formula divides by zero.

The correct result is \(\int \dfrac{1}{x}dx = \ln|x| + C\).

条件の付いた公式を使うときは、条件を先に確かめてください。