AHL 5.15 — Slope fields(方向場)

ノートWhat you should be able to do
  • slope field(方向場、傾きを表す場)が何を表しているか説明できる。
  • differential equation(微分方程式)から、各点の傾きを計算して短い線分をかける。
  • 印刷された slope field の上に、solution curve(解曲線)をかき込める。
  • initial condition(初期条件)が与えられたとき、通る曲線が \(1\) 本に決まることを説明できる。
  • 場を見て、式と場を対応づけられる。
  • equilibrium solution(平衡解)と、\(x\) が大きいときのふるまいを読み取れる。

The idea

1. Slopes from a differential equation(微分方程式は各点の傾きを教える)

AHL 5.14 では微分方程式を変数分離で解きましたが、手で解ける微分方程式はごく一部です。\(\dfrac{dy}{dx} = x - y\) も、AI HL の範囲では解けません。それでも、解のグラフの形は分かります。 そのための道具が slope field(方向場)です。

この項目で求められるのは、slope field を使うこと(曲線をかき込むこと)と読み取ることの \(2\) つで、「解くこと」は求められていません。 公式集の Topic 5 は 5.13 の次が 5.16 で、5.14 と 5.15 の欄はありません。 覚える公式もなく、やることは「代入して、線分をかく」だけです。ただしやり方そのものは覚える必要があります。

\[ \frac{dy}{dx} = x - y \]

この式の左辺 \(\dfrac{dy}{dx}\) は、グラフの傾きです(SL 5.1)。

ですから、この式はこう読めます。

点 \((x,\ y)\) を教えてくれれば、そこでの傾きを答えます。

たとえば \((1,\ 2)\) なら

\[ \frac{dy}{dx} = 1 - 2 = -1 \]

解が何なのか分からなくても、傾きだけは計算できます。 ここがこの項目の出発点です。

ヒント解を知らなくても、傾きは分かります

ふつうは「関数が分かってから、微分して傾きを出す」順番です。

微分方程式では、その逆です。傾きのほうが先に分かっていて、関数を知りません。

関数 → 傾き ではなく、傾き → 関数

slope field は、先に分かっている「傾き」を、平面じゅうに書き出したものです。

警告\(\dfrac{dy}{dx} = x - y\) は、\(y\) も右辺に入っています

\(\dfrac{dy}{dx} = 2x\) なら、\(x\) を決めれば傾きが決まります。

しかし \(\dfrac{dy}{dx} = x - y\) では、\(x\) だけでは決まりません。 \(y\) も要ります。

だから、平面上の「点」ごとに傾きが決まるのです。「\(x\) ごと」ではありません。

2. Drawing a slope field(方向場のかき方)

slope field は、平面上の格子の点ごとに、その点での傾きを短い線分でかいた図です。かき方は \(3\) 段階です。

手順1. 格子の点を \(1\) つ選び、その \(x\) と \(y\) を右辺に代入して傾きを計算する。

手順2. その点を中心に、その傾きの短い線分をかく。

手順3. ほかの格子点でも、同じことをくり返す。

図 1: slope field は、\(1\) 点ずつ作っていきます。

図 1 がその流れです。(a) で \(1\) 点、(b) で数点、(c) で格子全体、(d) で解曲線(solution curve)です。

重要線分は「短く」、そして「長さをそろえて」かきます

線分が表しているのは向きだけです。長さには意味がありません。

ですから、

  • 短くかきます(となりの線分とつながらない長さ)。
  • 長さは全部そろえます(傾きが急なところだけ長くしない)。

図 1 の (c) を見てください。傾きが \(-3\) の線分も \(0\) の線分も、同じ長さです。

ヒント「傾きが同じになる点」をまとめて処理すると速いです

\(\dfrac{dy}{dx} = x - y\) で傾きが \(-1\) になるのは

\[ x - y = -1, \quad \text{つまり} \quad y = x + 1 \]

の上のすべての点です。\((0,\ 1)\)、\((1,\ 2)\)、\((2,\ 3)\)、\((-1,\ 0)\)……この直線上では、線分の向きが全部同じになります。

\(1\) 点ずつ計算するより、「この直線の上は全部この向き」とまとめたほうが、はるかに速く終わります。

同じように、傾きが \(0\) になるのは \(y = x\) の上です。まずここを見つけると、絵の骨格ができます。

警告線分に矢印を付けないでください

slope field の線分は、向き(direction)ではなく傾き(slope)を表します。

\(\dfrac{dy}{dx} = -1\) は「右下がり」であって、「左上へ進む」でも「右下へ進む」でもありません。

ただの線分でかいてください。矢印を付けると、意味が変わってしまいます。

例題 1 Consider the differential equation \(\dfrac{dy}{dx} = x - y\).

(a) Find the slope of a solution curve at each of the points \((0,\ 0)\), \((1,\ 2)\), \((-1,\ 2)\) and \((2,\ 1)\).

(b) Find the equation of the line on which all the segments of the slope field are horizontal.

(c) Find the equation of the line on which every segment has slope \(-1\).

(a) 代入するだけです。

\[ (0,\ 0): \ 0 - 0 = 0 \]

\[ (1,\ 2): \ 1 - 2 = -1 \]

\[ (-1,\ 2): \ -1 - 2 = -3 \]

\[ (2,\ 1): \ 2 - 1 = 1 \]

(b) 水平とは \(\dfrac{dy}{dx} = 0\) のことです。

\[ x - y = 0 \ \Longrightarrow \ y = x \]

(c)

\[ x - y = -1 \ \Longrightarrow \ y = x + 1 \]

検算。 (a) の \((1,\ 2)\) は \(y = x + 1\) の上にあります(\(2 = 1 + 1\))。そして傾きは \(-1\) でした ✓ (b) の直線 \(y = x\) 上の点、たとえば \((2,\ 2)\) なら \(2 - 2 = 0\) で水平です ✓

ヒント(b) と (c) は、\(1\) 本ずつ「等傾線」を求めています

\(x - y = m\) を満たす点の集まりは、傾きが \(m\) でそろう直線です。

\(m\) を変えると、平行な直線が次々に出てきます。図 1 の (c) を見ると、斜め \(45^\circ\) の帯ごとに線分の向きがそろっているのが分かります。

この構造に気づくと、手でかくのがとても速くなります。

ノート解答例(答案用紙にはこう書く)

(a) \[ (0,\ 0): \ 0, \qquad (1,\ 2): \ -1, \qquad (-1,\ 2): \ -3, \qquad (2,\ 1): \ 1 \]

(b) Horizontal means \(\dfrac{dy}{dx} = 0\): \[ x - y = 0, \qquad y = x \]

(c) \[ x - y = -1, \qquad y = x + 1 \]

3. Solution curves(線分をたどって解曲線をかく)

slope field ができたら、線分に沿ってなめらかな曲線をかきます。

図 2: \(1\) つの場に、\(4\) つの出発点をとったものです。

図 2 の \(4\) 枚は、すべて同じ場です。違うのは出発点だけです。どの曲線も、\(x\) が増えると同じ直線 \(y = x - 1\) に近づいていきます(この直線も解の \(1\) つです)。

重要曲線は、線分を「切る」のではなく「なでる」ようにかきます

解曲線は、通る点で線分と同じ傾きになっていなければなりません。

つまり、線分と接するようにかきます。線分を横切ってはいけません。

\[ \text{解曲線の傾き} = \text{その点の線分の傾き} \]

かき終わったら、曲線に沿って目で追ってください。 どこかで線分と食い違っていたら、そこが間違いです。

ヒント「線分から線分へ乗り換えていく」と考えると、かきやすいです

出発点の線分の向きにすこし進み、そこにある線分の向きにまたすこし進み……とくり返します。

これを数値でやるのが AHL 5.16a の Euler’s method(オイラー法)です。slope field は、その絵にあたります。

4. Initial conditions(出発点が決まれば曲線は \(1\) 本)

図 2 の \(4\) 枚は、同じ場から別々の曲線を取り出しています。

このページで扱うのは、initial condition(初期条件)から解が \(1\) つに定まる微分方程式です。 その前提のもとで

  • 場だけ与えられている → 曲線は無数にある(general solution、一般解)
  • 出発点も与えられている → 曲線は\(1\) 本に決まる(particular solution、特殊解)

この区別は AHL 5.14 とまったく同じです。あちらは式で、こちらは絵で見ています。

ヒント出発点は initial condition として与えられます

Sketch the solution curve that passes through \((0,\ 1)\) のように書かれます。

答案では、その点に印を付けてから曲線をかいてください。採点者は、まずそこを見ます。

警告曲線は、図の端まで(あるいは指定された範囲まで)かいてください

点のまわりに少しだけかいて終わり、では点になりません。

範囲が for \(-3 \leq x \leq 3\) のように指定されていたら、その範囲いっぱいまでかきます。

5. Reading a slope field(方向場から読み取れること)

slope field を見ると、解を求めなくても分かることがいくつもあります。問題で interpret(読み取りなさい)と言われたら、見るところは決まっています。

図 3: slope field を見るだけで分かることです。
表 1: slope field の読みどころ
見るところ 分かること
水平な線分がある点 そこで \(\dfrac{dy}{dx} = 0\)
水平な線分が横一直線に並ぶ その直線が equilibrium solution(平衡解)
どの行も、線分の向きが同じ 傾きが \(x\) だけで決まる
どの列も、線分の向きが同じ 傾きが \(y\) だけで決まる
線分が全部右上がり \(y\) はずっと増える
曲線どうしが交わらない initial condition が解を \(1\) つに定めるから

図 3 の \(4\) 枚は、この表のうち \(4\) つを絵にしたものです。上から順に、\(1\) 行目・\(2\) 行目・\(3\) 行目・\(6\) 行目にあたります。

重要equilibrium solution(平衡解)が、いちばんよく問われます

水平な線分が横一直線に並んでいたら、その高さの水平な直線そのものが解です。

図 3 の (c) では、\(P = 50\) の高さで線分がすべて水平です。ですから

\[ P = 50 \quad (\text{ずっと } 50 \text{ のまま}) \]

が解の \(1\) つです。そして、まわりの曲線はこの高さに向かって寝ていきます。

式でいえば、\(\dfrac{dP}{dt} = 0.4P\left(1 - \dfrac{P}{50}\right)\) に \(P = 50\) を入れると \(0\) になる、ということです。

\(P = 0\) も同じです。\(0\) を入れると \(0\) になります。

ヒント「どの行も同じ」「どの列も同じ」の見分け

図 3 の (a) は \(\dfrac{dy}{dx} = x\) です。右辺に \(y\) がないので、上下に動いても線分の向きが変わりません。

  1. は \(\dfrac{dy}{dx} = y\) です。右辺に \(x\) がないので、左右に動いても線分の向きが変わりません。
  • 右辺に \(y\) が無い → 縦に動かしても同じ

  • 右辺に \(x\) が無い → 横に動かしても同じ

この \(2\) つだけで、選択肢が半分に減ります。

警告このページで扱う微分方程式では、異なる解曲線は交わりません

図 3 の (d) を見てください。\(4\) 本の曲線が、どこでも交わっていません。

理由はこうです。もし同じ点を \(2\) 本の異なる解曲線が通ると、その点を initial condition とする解が複数あることになります。 しかし、ここで扱う微分方程式では initial condition から解が \(1\) つに定まるので、そのような交差は起こりません(第4節)。

Explain why two solution curves cannot cross と問われたら、こう書きます。

試験ではこう書く

For the differential equations considered here, an initial condition determines a unique solution.

Therefore, two distinct solution curves cannot pass through the same point.

(ここで扱う微分方程式では、initial condition が解を \(1\) つに定める。したがって、\(2\) 本の異なる解曲線が同じ点を通ることはない、という意味です。)

例題 2 図 1 part (c) shows the slope field for \(\dfrac{dy}{dx} = x - y\).

(a) On a copy of this field, sketch the solution curve that passes through \((0,\ 1)\).

(b) Describe the behaviour of this solution curve as \(x\) increases.

(c) Show that \(y = x - 1\) is a solution of the differential equation.

(a) 図 2 の左上に、その曲線がかいてあります。先に自分でかいてから見くらべてください。

かき方の順番。 まず \((0,\ 1)\) に印を付けます。そこでの傾きは \(0 - 1 = -1\) なので、右下がりで出発します。

右へ進むと、曲線はいったん下がってから底を打ち、そのあと右上がりの直線に沿っていきます。

左へ進むと、曲線は急に上へ立ち上がります。

(b) ことばで答える問いです。

試験ではこう書く

As \(x\) increases the curve first decreases, reaches a minimum, and then increases.

For large \(x\) it approaches the straight line \(y = x - 1\) from above.

(\(x\) が増えると曲線ははじめ減少し、local minimum(極小)をとり、そのあと増加する。\(x\) が大きいところでは直線 \(y = x - 1\) に非常に近づき、上から近づいていく、という意味です。)

(c) \(y = x - 1\) を微分すると

\[ \frac{dy}{dx} = 1 \]

いっぽう、右辺に \(y = x - 1\) を入れると

\[ x - y = x - (x - 1) = 1 \]

両方とも \(1\) で一致しました。 ですから \(y = x - 1\) は解です。

検算。 この直線上の点、たとえば \((2,\ 1)\) で場の線分を見ると、傾きは \(2 - 1 = 1\) です。直線 \(y = x - 1\) の傾きも \(1\) ✓ 直線が線分に接しています。

ヒント(b) の「極小」は、場から読めます

曲線が水平になるのは、\(y = x\) の上を横切るときです(例 1 の (b))。

\((0,\ 1)\) から出発した曲線は \(y = x\) を \(1\) 回だけ横切り、そこが極小です。その左では傾きが負(\(y > x\))、右では正(\(y < x\))だからです。

式を解かずに、極小の存在まで言えます。

警告「\(y = x - 1\) に近づく」と「\(y = x - 1\) になる」は違います

曲線は \(y = x - 1\) に限りなく近づきますが、重なりません。

もし重なったら、そこで \(2\) 本の解曲線が交わることになってしまいます(第5節)。

答案では、approaches や gets closer and closer to と書いてください。becomes や equals は避けます。

ノート解答例(答案用紙にはこう書く)

(a) (sketch on the field: mark \((0,\ 1)\), start with slope \(-1\), curve down to a minimum where it crosses \(y = x\), then follow the segments up towards the line \(y = x - 1\))

(b)

As \(x\) increases the curve first decreases, reaches a minimum, and then increases.

For large \(x\) it approaches the line \(y = x - 1\) from above.

(c) If \(y = x - 1\) then \(\dfrac{dy}{dx} = 1\). \[ x - y = x - (x - 1) = 1 \] Both sides equal \(1\), so \(y = x - 1\) satisfies the differential equation.

例題 3 A population of fish, \(P\), in a lake at time \(t\) years is modelled by

\[ \frac{dP}{dt} = 0.4P\left(1 - \frac{P}{50}\right) \]

where \(P\) is measured in thousands. The slope field is shown in 図 3, part (c).

(a) Show that \(P = 50\) gives a horizontal segment at every value of \(t\).

(b) Write down the other value of \(P\) for which this happens.

(c) Describe what the model predicts for a lake that starts with \(P = 5\).

(d) Describe what the model predicts for a lake that starts with \(P = 60\).

(a) \(P = 50\) を代入します。

\[ \frac{dP}{dt} = 0.4 \times 50 \times \left(1 - \frac{50}{50}\right) = 20 \times (1 - 1) = 20 \times 0 = 0 \]

\(t\) が式に出てきません。 ですから、どの \(t\) でも \(0\) です。線分は水平になります。

(b) \(0.4P\left(1 - \dfrac{P}{50}\right) = 0\) となるのは、\(P = 50\) のほかに

\[ P = 0 \]

のときです。(魚がいなければ、増えも減りもしません。)

(c) \(P = 5\) のとき

\[ \frac{dP}{dt} = 0.4 \times 5 \times \left(1 - \frac{5}{50}\right) = 2 \times 0.9 = 1.8 > 0 \]

増えます。 そして \(P = 50\) を超えることはありません(第5節)。

試験ではこう書く

The population increases.

The rate of increase grows at first and then slows down, and the population levels off towards \(50\) thousand fish without ever reaching it.

(個体数は増える。増加の割合ははじめ大きくなり、そのあと小さくなって、\(5\) 万匹に向かって寝ていくが、そこに達することはない、という意味です。)

(d) \(P = 60\) のとき

\[ \frac{dP}{dt} = 0.4 \times 60 \times \left(1 - \frac{60}{50}\right) = 24 \times (-0.2) = -4.8 < 0 \]

減ります。

試験ではこう書く

The population decreases.

It falls towards \(50\) thousand fish and levels off there, approaching \(50\) from above.

(個体数は減る。\(5\) 万匹に向かって下がり、上から \(50\) に近づいて、そこで寝ていく、という意味です。)

検算。 (c) と (d) で、片方は下から、もう片方は上から \(50\) に向かっています。どちらも \(50\) に近づく——図 3 の (c) の絵と一致しています ✓ \(P = 30\) でも計算してみると \(0.4 \times 30 \times (1 - 0.6) = 4.8 > 0\) で、やはり増えて \(50\) に向かいます。

ヒントこの形は logistic model(ロジスティックモデル)と呼ばれます

\[ \frac{dP}{dt} = kP\left(1 - \frac{P}{L}\right) \]

\(L\) が carrying capacity(環境収容力)です。ここでは \(L = 50\) です。

AHL 5.14 の \(\dfrac{dP}{dt} = kP\) は、いつまでも増え続けてしまうのが弱点でした。ロジスティックモデルは、上限で止まります。

この式も変数分離の形にはなりますが、その積分は AI HL の範囲を超えます。 AI HL では、slope field で扱えば十分です。

警告「\(50\) に達する」と書かないでください

\(P = 50\) 自体が解なので、下から来た曲線が \(50\) に触れることはありません(Why it works)。

approaches \(50\)、levels off towards \(50\)、tends to \(50\) と書きます。

ノート解答例(答案用紙にはこう書く)

(a) \[ \frac{dP}{dt} = 0.4(50)\left(1 - \frac{50}{50}\right) = 20 \times 0 = 0 \quad \text{for all } t \]

(b) \(P = 0\)

(c) \[ \frac{dP}{dt} = 0.4(5)(1 - 0.1) = 1.8 > 0 \]

The population increases, and levels off towards \(50\) thousand without reaching it.

(d) \[ \frac{dP}{dt} = 0.4(60)(1 - 1.2) = -4.8 < 0 \]

The population decreases, and levels off towards \(50\) thousand from above.

6. Matching equations and fields(式と方向場を対応させる)

微分方程式の式と、slope field の図を結びつける問題です。選択問題としてよく出ます。

図 4: どの場がどの式に対応するでしょうか。

図 4 の \(4\) 枚は、次の \(4\) つの式のどれかです。

\[ \frac{dy}{dx} = x, \qquad \frac{dy}{dx} = y, \qquad \frac{dy}{dx} = x - y, \qquad \frac{dy}{dx} = xy \]

手順は \(2\) つだけです。

手順1. 水平な線分はどこにあるかを見る。右辺 \(= 0\) を解いた場所と合うか。

手順2. 横に動かすと変わるか、縦に動かすと変わるかを見る。

表 2: 水平な線分の場所で見分ける
式 \(\dfrac{dy}{dx} = 0\) になるところ
\(\dfrac{dy}{dx} = x\) \(x = 0\)(縦の直線)
\(\dfrac{dy}{dx} = y\) \(y = 0\)(横の直線)
\(\dfrac{dy}{dx} = x - y\) \(y = x\)(斜めの直線)
\(\dfrac{dy}{dx} = xy\) \(x = 0\) と \(y = 0\)(十字)

\(4\) つとも場所が違います。 ですから、水平な線分を探すだけで区別できます。例 4 で実際にやります。

ヒント\(1\) 点だけ代入してみるのも、確実な方法です

迷ったら、分かりやすい点を \(1\) つ選んで両方を見くらべます。

\((2,\ 1)\) なら

表 3: \((2,\ 1)\) での傾き
式 傾き
\(\dfrac{dy}{dx} = x\) \(2\)(かなり急な右上がり)
\(\dfrac{dy}{dx} = y\) \(1\)(\(45^\circ\) の右上がり)
\(\dfrac{dy}{dx} = x - y\) \(1\)
\(\dfrac{dy}{dx} = xy\) \(2\)

\((2,\ 1)\) だけでは、(i) と (iv) が同じ \(2\)、(ii) と (iii) が同じ \(1\) で、絞りきれません。そのときは、もう \(1\) 点足します。

\((1,\ 2)\) を足すと、\(4\) つの式の傾きは順に \(1\)、\(2\)、\(-1\)、\(2\) です。\(2\) 点の組で見れば、\(4\) つ全部が区別できます。

例題 4 The four slope fields A, B, C and D are shown in 図 4.

Match each field with one of the following differential equations.

\[ \text{(i) } \frac{dy}{dx} = x \qquad \text{(ii) } \frac{dy}{dx} = y \qquad \text{(iii) } \frac{dy}{dx} = x - y \qquad \text{(iv) } \frac{dy}{dx} = xy \]

Justify your answer for field D.

水平な線分がどこにあるかを見ます(第6節)。

field A … 水平な線分が、\(y\) 軸(\(x = 0\))上に縦一列に並んでいます。上下に動いても絵が変わりません。\(\Rightarrow\) (i) \(\dfrac{dy}{dx} = x\)

field B … 水平な線分が、\(x\) 軸(\(y = 0\))上に横一列に並んでいます。左右に動いても絵が変わりません。\(\Rightarrow\) (ii) \(\dfrac{dy}{dx} = y\)

field C … 水平な線分が斜め(\(y = x\))に並んでいます。\(\Rightarrow\) (iii) \(\dfrac{dy}{dx} = x - y\)

field D … 水平な線分が十字(\(x = 0\) と \(y = 0\) の両方)に並んでいます。\(\Rightarrow\) (iv) \(\dfrac{dy}{dx} = xy\)

検算。 field D で \((2,\ 1)\) を見ると、傾きは \(2 \times 1 = 2\) で、かなり急な右上がりのはずです。\((-2,\ 1)\) なら \(-2 \times 1 = -2\) で、急な右下がりです。図はそうなっています ✓

ノート解答例(答案用紙にはこう書く)

\[ \text{A} \to \text{(i)}, \qquad \text{B} \to \text{(ii)}, \qquad \text{C} \to \text{(iii)}, \qquad \text{D} \to \text{(iv)} \]

Justification for D

In field D the segments are horizontal along both the \(x\)-axis and the \(y\)-axis.

Setting \(\dfrac{dy}{dx} = 0\) in equation (iv) gives \(xy = 0\), that is \(x = 0\) or \(y = 0\), which is exactly this cross shape.

None of the other three equations gives horizontal segments along two lines.

(field D では \(x\) 軸上と \(y\) 軸上の両方で線分が水平である。式 (iv) で \(\dfrac{dy}{dx} = 0\) とすると \(xy = 0\)、つまり \(x = 0\) または \(y = 0\) となり、まさにこの十字の形である。ほかの \(3\) つの式は、\(2\) 本の直線上で水平にはならない、という意味です。)

警告Justify と言われたら、\(1\) 語で終わらせないでください

「D は (iv)」だけでは点になりません。「なぜそう言えるか」を書きます。

いちばん書きやすいのは、水平な線分の場所です。「\(\dfrac{dy}{dx} = 0\) を解くと、この形になる」という \(1\) 文で足ります。

数値を \(1\) 点あげるのも有効です。「\((2,\ 1)\) で式は \(2\) を与え、図の線分も急な右上がりである」のように書けます。

7. Limitations of slope fields(方向場で分からないこと)

slope field は「絵」です。数値の答えは出ません。

表 4: slope field でできること、できないこと
問われかた slope field で答えられるか
Sketch the solution curve through … ✅ できる
Describe the behaviour as \(x\) increases ✅ できる
Write down the equilibrium solution ✅ できる
Find \(y\) when \(x = 2\), correct to 3 s.f. ❌ 図からは無理
Find the general solution ❌ 式を解く(AHL 5.14)

数値がほしいときは、AHL 5.16 の Euler’s method を使います。slope field はその下絵にあたります。

つまり、微分方程式の扱いかたには \(3\) つあります。

  1. 式で解く(AHL 5.14、変数分離)… 正確な式が出るが、解ける式が限られる
  2. 絵で見る(AHL 5.15、slope field)… どんな式でも使えるが、数値は出ない
  3. 数値で追う(AHL 5.16、Euler’s method)… どんな式でも使えて、数値も出るが、近似

\(3\) つとも、同じ微分方程式を別の角度から見ています。

Why it works

なぜ「線分に接するようにかく」と、解になるのか

\(y = g(x)\) が微分方程式 \(\dfrac{dy}{dx} = f(x,\ y)\) の解である、というのは

\(g'(x) = f\bigl(x,\ g(x)\bigr)\) が、すべての \(x\) で成り立つ

という意味です。

左辺 \(g'(x)\) は、曲線の点 \((x,\ g(x))\) での傾きです。

右辺 \(f(x,\ g(x))\) は、その点にかいた線分の傾きです。

つまり、この式が言っているのは

\[ \text{曲線の傾き} = \text{その点の線分の傾き} \]

だけです。「線分に接している」という条件そのものが、微分方程式の中身なのです。

だから、線分に接するようにかいた曲線は、解のグラフになります。 逆に、解のグラフはどこでも線分に接しています。

なぜ、出発点を \(1\) つ決めると曲線が \(1\) 本に決まるのか

出発点 \((x_0,\ y_0)\) にいるとします。そこでの傾きは \(f(x_0,\ y_0)\) で、\(1\) つに決まっています。

ですから、そこからほんの少し進んだ先も決まります。その新しい点でも傾きが \(1\) つに決まり、また少し進めます。

この操作をくり返すと、行き先は \(1\) 通りしかありません。 選ぶ余地がどこにもないからです。

数学としては、これは existence and uniqueness theorem(存在と一意性の定理)と呼ばれるもので、\(f\) がなめらかなら成り立ちます。このページで扱うのは、この一意性が成り立つ微分方程式だけです。

IB では、この定理の名前も証明も要りません。 「initial condition が解を \(1\) つに定める」で十分です。

曲線が交わらないことと、平衡解の関係

\(y = c\)(水平な直線)が解になっているとき、ほかの解曲線はこの直線をまたげません。 またぐには交わるしかなく、それはできないからです。

だから、図 3 の (c) で \(P = 50\) より下から出発した曲線は、\(50\) を超えません。 \(50\) に近づくだけです。

上から出発した曲線は、\(50\) より下に落ちません。 やはり \(50\) に近づきます。

平衡解が「壁」になっている——これが、あの絵の見え方の理由です。

Common errors

警告線分を長くかきすぎる

線分が表すのは向きだけです。となりとつながるほど長くかくと、絵が読めなくなります(第2節)。

警告傾きが急なところだけ、線分を長くする

長さは全部そろえます。 長さに意味はありません(第2節)。

警告線分に矢印を付ける

slope field は傾きの絵で、向きの絵ではありません。ただの線分でかいてください(第2節)。

警告解曲線が線分を横切ってしまう

曲線はどこでも線分と同じ傾きでなければなりません(第3節)。かいたあと、目で追って確かめてください。

警告出発点に印を付けない

through \((0,\ 1)\) と指定されたら、その点をはっきり通すことが採点の対象です(第4節)。

警告曲線を短くしか引かない

指定された範囲、あるいは図の端まで引いてください(第4節)。

警告平衡解を「超えて」しまう

\(P = 50\) が解なら、ほかの曲線はそれをまたげません(Why it works)。

警告「近づく」を「達する」と書く

approaches と reaches は違います(例 3)。

警告Justify に理由を書かない

対応を書くだけでは点になりません。水平な線分の場所か、\(1\) 点の傾きの値を根拠にしてください(例 4)。

警告図から数値を読んで、\(3\) 桁で答える

slope field は絵です。精密な値は出せません(表 4)。数値がほしいときは AHL 5.16 の Euler’s method です。

Using your GDC (TI-Nspire CX II)

重要Press-to-Test(試験モード)では、微分方程式の機能が使えません

IB の試験では、電卓を Press-to-Test の状態にします。このモードでは、微分方程式の機能(Diff Eq)が止められます。

つまり、下で説明する操作は、試験中には使えません。 家や授業での練習用です。

Plotting a slope field(電卓で方向場を表示する・練習用)

Graphs のアプリで、グラフの種類を「Diff Eq」に切り替えます。

Graphs → menu → Graph Entry/Edit → Diff Eq

すると、\(y =\) ではなく \(y1' =\) という入力欄が出ます。ここに右辺を入れます。

表 5: Diff Eq の入力
入れるもの 例
\(y1'\) x - y1
Initial Conditions の \(x0\) 0
Initial Conditions の \(y1_0\) 1

変数名に注意してください。 右辺の \(y\) は、電卓では y1 と書きます。\(x\) はそのまま x です。

初期条件を入れると、場と一緒に解曲線も表示されます。

警告変数を y と書くと、うまくいきません

入力欄が \(y1'\) なので、右辺でも y1 を使います。

x - y と入れると、\(y\) が別の未定義な変数として扱われ、思ったとおりになりません。

ヒント初期条件は、あとから増やせます

\(y1'\) の行の Initial Conditions は、カンマで区切って複数入れられます。

x0 = 0,   y1_0 = 1, -1, 3

とすると、\(3\) 本の解曲線が同時に出ます。図 1 の (d) と同じ絵です。

「同じ場から出る、いくつもの曲線」を目で見るのに、いちばん速い方法です。

Window settings(表示を整える)

線分が細かすぎたり粗すぎたりするときは、窓と場の設定を変えます。

menu → Window/Zoom → Window Settings

\(x\) と \(y\) の範囲を、\(-3\) から \(3\) くらいにすると見やすくなります。

場そのものの設定(線分の本数など)は、\(y1'\) の入力欄の右はしにある設定ボタンから開きます。Field Resolution を上げすぎると、線分が細かくなって絵がつぶれます。

機種やソフトの版によって、メニューの並びや名前が少し違うことがあります。Press-to-Test でない状態なら、menu の中に「Diff Eq」があります。 見つからないときは、menu を上から順に見てください。

Using the calculator picture(電卓の絵を、そのまま答案に写さない)

試験で配られる図と、電卓の絵は別物です。

答案でやることは、

  1. 配られた図の上に、指定された点を通る曲線をかく
  2. 図からことばで読み取る

の \(2\) つです。電卓は、自分の答えが合っているかを見るために使ってください。

警告電卓は数値の答えも出しますが、この項目では聞かれません

Diff Eq のグラフをトレースすれば、\(x = 2\) での \(y\) の値も読めます。

しかし、それは AHL 5.16(Euler’s method)の内容です。この項目で求められているのは、かくことと、読み取ることです。

Exercises

演習の \(2\) 番以降では、次の \(4\) つの場を使います。

図 5: 演習で使う slope field P、Q、R、S です。

場 R だけは、\(y\) 軸の目盛りがほかの \(3\) つと違います。

1 Consider the differential equation \(\dfrac{dy}{dx} = x + y\).

(a) Find the slope at each of the points \((0,\ 0)\), \((1,\ 1)\), \((2,\ -1)\) and \((-2,\ -1)\).

(b) Find the equation of the line along which every segment is horizontal.

(c) Find the equation of the line along which every segment has slope \(2\).

(a) \[ (0,\ 0): \ 0, \qquad (1,\ 1): \ 2, \qquad (2,\ -1): \ 1, \qquad (-2,\ -1): \ -3 \]

(b) \[ x + y = 0, \qquad y = -x \]

(c) \[ x + y = 2, \qquad y = 2 - x \]

(a) 代入するだけです。\((2,\ -1)\) は \(2 + (-1) = 1\)、\((-2,\ -1)\) は \(-2 + (-1) = -3\) です。

符号のミスがいちばん多いところです。 \(y\) が負の点で、ていねいに計算してください。

(b) 水平とは \(\dfrac{dy}{dx} = 0\) のことです(第5節)。

(c) 傾きが \(2\) になる点は、\(x + y = 2\) の上に並びます。(b) の直線と平行です。

検算。 (a) の \((1,\ 1)\) は \(x + y = 2\) の上にあります。そして傾きは \(2\) でした ✓ (a) の \((0,\ 0)\) は \(y = -x\) の上にあり、傾きは \(0\) でした ✓

2 図 5 shows four slope fields P, Q, R and S.

Match each field with one of the following differential equations. Note that field R uses a different \(y\)-scale from the other three.

\[ \text{(i) } \frac{dy}{dx} = x^2 \qquad \text{(ii) } \frac{dy}{dx} = 2 - y \qquad \text{(iii) } \frac{dy}{dx} = y(4 - y) \qquad \text{(iv) } \frac{dy}{dx} = x + y \]

\[ \text{P} \to \text{(ii)}, \qquad \text{Q} \to \text{(iv)}, \qquad \text{R} \to \text{(iii)}, \qquad \text{S} \to \text{(i)} \]

水平な線分を探します(第6節)。

表 6: 水平な線分の場所
式 \(\dfrac{dy}{dx} = 0\) になるところ 場
(i) \(x^2\) \(x = 0\)(縦の直線)。しかも傾きは決して負にならない S
(ii) \(2 - y\) \(y = 2\)(横の直線が \(1\) 本) P
(iii) \(y(4 - y)\) \(y = 0\) と \(y = 4\)(横の直線が \(2\) 本) R
(iv) \(x + y\) \(y = -x\)(斜めの直線) Q

S がいちばん見分けやすいかもしれません。\(x^2 \geq 0\) なので、右下がりの線分が \(1\) つもありません。

P と R は、どちらも横の直線ですが本数が違います。 P は \(1\) 本(\(y = 2\))、R は \(2\) 本(\(y = 0\) と \(y = 4\))です。

検算。 Q で \((1,\ 1)\) を見ると \(1 + 1 = 2\) で急な右上がり、\((-2,\ -1)\) なら \(-3\) で急な右下がりです。図と合っています ✓

3 Field P in 図 5 is the slope field of \(\dfrac{dy}{dx} = 2 - y\).

(a) Write down the equilibrium solution.

(b) Verify that this is a solution of the differential equation.

(c) Describe the behaviour, as \(x\) increases, of the solution curve through \((0,\ 0)\).

(a) \(y = 2\)

(b) If \(y = 2\) (a constant) then \(\dfrac{dy}{dx} = 0\). \[ 2 - y = 2 - 2 = 0 \] Both sides are \(0\), so \(y = 2\) is a solution.

(c)

The curve starts at \((0,\ 0)\) with slope \(2\), so it increases.

The slope gets smaller as \(y\) gets closer to \(2\), so the curve levels off and approaches the line \(y = 2\) from below without reaching it.

(a) 場を見ると、\(y = 2\) の高さで線分がすべて水平です(第5節)。

(b) 定数関数の微分は \(0\) です。ですから左辺は \(0\)。右辺も \(2 - 2 = 0\) で一致します。

Verify は「両辺を計算して、一致することを見せる」という意味です。両辺とも書いてください。

(c) \((0,\ 0)\) での傾きは \(2 - 0 = 2\) です。増えます。

\(y\) が \(2\) に近づくと \(2 - y\) が小さくなるので、傾きがゆるくなります。

検算。 実際に解くと \(y = 2 - 2e^{-x}\) です(変数分離、AHL 5.14)。これを微分すると \(\dfrac{dy}{dx} = 2e^{-x}\) で、\(2 - y = 2 - (2 - 2e^{-x}) = 2e^{-x}\) ✓ \(x\) を大きくすると \(e^{-x} \to 0\) なので \(y \to 2\) です。場から読み取ったことと一致しています。

4 Field R in 図 5 is the slope field of \(\dfrac{dy}{dx} = y(4 - y)\).

(a) Write down the two equilibrium solutions.

(b) Describe the behaviour of the solution curve through \((0,\ 1)\) as \(x\) increases.

(c) Describe the behaviour of the solution curve through \((0,\ 5)\) as \(x\) increases.

(a) \(y = 0\) and \(y = 4\)

(b)

At \((0,\ 1)\) the slope is \(1 \times 3 = 3 > 0\), so the curve increases.

It increases towards \(y = 4\) and levels off there, approaching \(4\) from below without reaching it.

(c)

At \((0,\ 5)\) the slope is \(5 \times (-1) = -5 < 0\), so the curve decreases.

It decreases towards \(y = 4\) and levels off there, approaching \(4\) from above without reaching it.

(a) \(y(4 - y) = 0\) を解きます。\(y = 0\) または \(y = 4\) です。

場でも確かめられます。 \(y = 0\) と \(y = 4\) の高さで、線分が横一列に水平です。

(b) \(y = 1\) での傾きは \(1 \times (4 - 1) = 3\) で正です。増えます。

そして \(y = 4\) は平衡解なので、それを超えることはできません(Why it works)。

(c) \(y = 5\) での傾きは \(5 \times (4 - 5) = -5\) で負です。減ります。

やはり \(y = 4\) を下回ることはできません。

検算。 \(2\) つの平衡解のあいだ(\(0 \leq y \leq 4\))では、\(y = 2\)(まん中)の傾き \(2 \times 2 = 4\) がいちばん急です。\(y = 1\) でも \(y = 3\) でも \(3\) です。field R を見ると、\(y = 2\) のあたりの線分がいちばん立っています ✓

なお、平衡解の外側では、もっと急になります。\(y = 5\) でも \(y = -1\) でも \(|-5| = 5\) です。field R の上端の線分が急な右下がりなのは、そのためです。

警告\(y = 0\) は「不安定」です

\(y\) が \(0\) より少しでも大きければ増えて \(4\) へ、少しでも小さければ(\(y = -1\) なら傾きは \(-1 \times 5 = -5\))どんどん減ります。

\(0\) から離れていきます。 いっぽう \(y = 4\) には、上からも下からも近づきます。

IB でこの区別(安定・不安定)の用語は問われませんが、場を見て「近づくのか、離れるのか」を答えられるようにしてください。

5 Field S in 図 5 is the slope field of \(\dfrac{dy}{dx} = x^2\).

(a) Explain why no segment in this field has a negative slope.

(b) Write down the only value of \(x\) at which the segments are horizontal.

(c) Explain why every row of the field looks the same.

(a)

The slope is \(x^2\), and the square of any real number is greater than or equal to \(0\).

So the slope is never negative.

(b) \(x = 0\)

(c)

The right-hand side \(x^2\) does not contain \(y\), so the slope depends only on \(x\).

Moving up or down does not change the slope, so every horizontal row of the field is identical to every other row.

(a) \(x^2 \geq 0\) です。これだけで足ります。

(b) \(x^2 = 0\) となるのは \(x = 0\) だけです。\(y\) 軸の上で、線分が水平になっています。

(c) ここが 第5節 の 表 1 の \(3\) 行目です。

右辺に \(y\) が入っていないので、\(y\) を変えても傾きが変わりません。

警告(a) と (c) は、どちらも Explain です

理由を文で書いてください。「\(x^2 \geq 0\)」だけを書いて終わりにすると、点にならないことがあります。

「\(x^2\) は \(0\) 以上だから、傾きは負にならない」と、結論まで書きます。

検算。 この微分方程式は手でも解けます。\(y = \dfrac{x^3}{3} + C\) です。微分すると \(x^2\) ✓ \(x = 0\) で \(\dfrac{dy}{dx} = 0\)、つまり point of inflexion(変曲点)があります。図の \(y\) 軸上で線分が水平なのは、そのためです。

6 Consider the differential equation \(\dfrac{dy}{dx} = x - y\), whose slope field is shown in 図 1, part (c).

(a) Sketch the solution curve that passes through \((0,\ 3)\), for \(-3 \leq x \leq 3\).

(b) State the coordinates of the point at which this curve has a minimum, giving a reason.

(a) (mark \((0,\ 3)\); the slope there is \(0 - 3 = -3\), so start steeply downwards; the curve falls, flattens as it crosses the line \(y = x\), then rises and approaches \(y = x - 1\) from above)

(b)

The minimum is where \(\dfrac{dy}{dx} = 0\), that is where \(y = x\).

Reading from the field, the curve crosses \(y = x\) at approximately \((1.4,\ 1.4)\), so the minimum is at approximately \((1.4,\ 1.4)\).

(a) 図 1 の (d) の緑の曲線が、これです。

出発点の傾きは \(-3\) です。かなり急な右下がりから始めてください。

(b) 極小は \(\dfrac{dy}{dx} = 0\) のところ、つまり \(y = x\) を横切るところです(例 1)。

警告図から読む値は、おおよそで構いません

giving a reason と言われているので、大事なのは「\(y = x\) の上」と書くことです。

座標そのものは図から読むしかないので、\(1\) 桁の精度で十分です。approximately や about を付けておくと安全です。

正確な値がほしければ、Euler’s method(AHL 5.16)か、電卓のグラフを使います。

検算。 実際に解くと \(y = x - 1 + 4e^{-x}\) です(\(y(0) = 3\))。この解き方(一階線形微分方程式)は AI HL の範囲外です。 ここでは、微分してもとの式に戻ることだけを見てください。\(\dfrac{dy}{dx} = 1 - 4e^{-x} = 0\) より \(e^{-x} = 0.25\)、つまり \(x = \ln 4 = 1.386\ldots\) です。図から読んだ \(1.4\) と一致しています ✓ そのときの \(y\) は \(1.386 - 1 + 1 = 1.386\) で、たしかに \(y = x\) の上にあります。

7 Field Q in 図 5 is the slope field of \(\dfrac{dy}{dx} = x + y\).

(a) Show that \(y = -x - 1\) is a solution of this differential equation.

(b) On the field, this line separates the curves that eventually rise from those that eventually fall. Suggest why a solution curve cannot move from one side of this line to the other.

(a) If \(y = -x - 1\) then \(\dfrac{dy}{dx} = -1\). \[ x + y = x + (-x - 1) = -1 \] Both sides equal \(-1\), so \(y = -x - 1\) is a solution.

(b)

The line \(y = -x - 1\) is itself a solution curve.

To move from one side of it to the other, another solution curve would have to cross it, and at the crossing point two distinct solution curves would pass through the same point.

For the differential equations considered here, an initial condition determines a unique solution, so that is impossible.

(a) 例 2 の (c) と同じやり方です。左辺と右辺を別々に計算して、一致を見せます。

\(y = -x - 1\) の傾きは \(-1\)(一次関数の係数)です。

(b) 第5節の「交わらない」を使います。

「この直線自体が解である」→「解どうしは交われない」→「だからまたげない」という \(3\) 段の理屈です。

警告「解曲線である」の \(1\) 語を落とさないでください

交われないのは解曲線どうしです。ふつうの直線なら、解曲線はいくらでも横切ります。

まず (a) で「これは解だ」と示したことが、(b) の根拠になっています。\(2\) つの小問がつながっています。

検算。 実際に解くと \(y = Ae^{x} - x - 1\) です(この解き方は AI HL の範囲外です。 結果だけ使います)。微分すると \(Ae^x - 1\)、いっぽう \(x + y = Ae^x - 1\) ✓ \(A = 0\) が問題の直線です。\(A > 0\) なら \(x\) が大きいとき上がり、\(A < 0\) なら下がります。符号が変わることはありません ✓

8 A student is asked to sketch the solution curve of \(\dfrac{dy}{dx} = y\) through the point \((0,\ 2)\), using field B in 図 4.

The student draws a curve that starts at \((0,\ 2)\), decreases, crosses the \(x\)-axis and continues downwards.

Identify the error in the student’s sketch, and describe the correct behaviour.

At \((0,\ 2)\) the slope is \(y = 2\), which is positive, so the curve must increase, not decrease.

The student has the curve going the wrong way.

Also, \(y = 0\) is itself a solution of the equation, so no other solution curve can cross the \(x\)-axis.

The correct curve increases from \((0,\ 2)\), rising more and more steeply as \(x\) increases, and as \(x\) decreases it falls towards the \(x\)-axis without ever reaching it.

誤りが \(2\) つあります。

誤り1. 出発点の傾きです。\(\dfrac{dy}{dx} = y\) に \(y = 2\) を入れると \(2\) で、正です。増えなければなりません。

誤り2. \(x\) 軸を横切っている点です。\(y = 0\) を入れると \(\dfrac{dy}{dx} = 0\) なので、\(y = 0\) 自体が解です。ほかの解曲線は、これをまたげません(Why it works)。

警告Identify the error では、「何が」「なぜ」を両方書きます

「増えるべきなのに減っている」だけでは半分です。「\((0,\ 2)\) での傾きが \(+2\) だから」という根拠を添えてください。

図 3 の (d) が、この場の正しい絵です。

誤りが \(2\) つある問題も出ます。 \(1\) つ見つけて安心せず、図全体を見てください。

検算。 解は \(y = 2e^{x}\) です(AHL 5.14)。\(x = 1\) で \(5.44\)、\(x = -1\) で \(0.736\)、\(x = -3\) で \(0.0996\) です。どこまで行っても正で、\(0\) になりません ✓

9 The height of a plant, \(h\) cm after \(t\) days, is modelled by \(\dfrac{dh}{dt} = 0.5h\left(1 - \dfrac{h}{40}\right)\).

(a) Show that \(\dfrac{dh}{dt} = 0\) when \(h = 40\).

(b) Find \(\dfrac{dh}{dt}\) when \(h = 10\) and when \(h = 20\).

(c) A plant is \(10\) cm tall when \(t = 0\). Describe how its height changes over time, according to this model.

(d) Comment on whether the model is reasonable for a real plant.

(a) \[ \frac{dh}{dt} = 0.5(40)\left(1 - \frac{40}{40}\right) = 20 \times 0 = 0 \]

(b) \[ h = 10: \ 0.5(10)(1 - 0.25) = 5 \times 0.75 = 3.75 \ \text{cm per day} \] \[ h = 20: \ 0.5(20)(1 - 0.5) = 10 \times 0.5 = 5 \ \text{cm per day} \]

(c)

The plant grows.

The growth rate increases at first, reaching its largest value at \(h = 20\) cm, and then decreases.

The height levels off towards \(40\) cm and never exceeds it.

(d)

The model is reasonable in that real plants grow quickly at first and then slow down towards a maximum height, and the limit of \(40\) cm is realistic for many plants.

However, the model predicts that the plant keeps growing for ever, getting closer and closer to \(40\) cm, whereas a real plant stops growing after some time and may later lose height.

The model also ignores water, light and temperature.

例 3 と同じロジスティックモデルです。\(L = 40\)、\(k = 0.5\) です。

(b) \(h = 20\)(\(40\) のちょうど半分)で、伸びがいちばん速くなっています。

これはロジスティックモデルの性質です。 \(L\) の半分のところで、増加が最大になります。

表 7: 高さと伸びの速さ
\(h\) \(\dfrac{dh}{dt}\)
\(5\) \(2.19\)
\(10\) \(3.75\)
\(20\) \(5\)
\(30\) \(3.75\)
\(40\) \(0\)

(c) Describe なので、ことばで書きます。「増える」だけでは足りません。 「はじめ速くなって、そのあと遅くなる」「\(40\) に向かって寝ていく」まで書きます。

(d) Comment on なので、よい点と弱い点の両方を書くのが安全です。

検算。 \(h = 10\) と \(h = 30\) で \(\dfrac{dh}{dt}\) がどちらも \(3.75\) です。\(0.5h\left(1 - \dfrac{h}{40}\right)\) は \(h\) の二次式で、\(h = 20\) を軸とする上に凸の放物線だからです ✓ \(h = 40\) と \(h = 0\) の両方で \(0\) になるのも、それと合っています。

10 Consider the differential equation \(\dfrac{dy}{dx} = y - x^2\).

(a) Find the equation of the curve on which every segment of the slope field is horizontal.

(b) Find the slope at each of the points \((0,\ 1)\), \((1,\ 1)\) and \((2,\ 1)\).

(c) A solution curve passes through \((1,\ 1)\). State whether it is increasing or decreasing there, giving a reason.

(d) Explain why the slope field for this equation looks different from the slope field for \(\dfrac{dy}{dx} = y\).

(a) \[ y - x^2 = 0, \qquad y = x^2 \]

(b) \[ (0,\ 1): \ 1 - 0 = 1, \qquad (1,\ 1): \ 1 - 1 = 0, \qquad (2,\ 1): \ 1 - 4 = -3 \]

(c)

At \((1,\ 1)\) the slope is \(0\), so the curve is neither increasing nor decreasing there: it is momentarily horizontal.

The point \((1,\ 1)\) lies on the curve \(y = x^2\), where every segment is horizontal.

(d)

For \(\dfrac{dy}{dx} = y\) the right-hand side contains no \(x\), so the slope depends only on \(y\) and every vertical column of the field is identical to every other column.

For \(\dfrac{dy}{dx} = y - x^2\) the right-hand side contains \(x\) as well, so the slope changes as you move across the field, and the columns are no longer identical.

(a) 水平になるところは、直線とはかぎりません。 ここでは放物線 \(y = x^2\) です。

「水平になるのは直線の上」と思い込まないでください。

(b) \((2,\ 1)\) で \(1 - 4 = -3\) です。\(x^2\) の計算を先にしてください。

(c) ここが引っかけです。傾きが \(0\) なので、「増加」でも「減少」でもありません。

警告「どちらでもない」も、りっぱな答えです

State whether it is increasing or decreasing と聞かれても、\(0\) なら \(0\) と答えます。

無理にどちらかを選ばないでください。理由(\(1 - 1^2 = 0\))を書けば、それで点になります。

(d) 表 1 の \(3\) 行目と \(4\) 行目です。

\(\dfrac{dy}{dx} = y\) は \(x\) を含まないので、横に動いても変わりません。 \(y - x^2\) は \(x\) を含むので、変わります。

検算。 \((0,\ 1)\)、\((1,\ 1)\)、\((2,\ 1)\) は同じ高さ \(y = 1\) の点です。傾きは \(1\)、\(0\)、\(-3\) と全部違います ✓ 右辺に \(x\) が入っているからです。もし \(\dfrac{dy}{dx} = y\) なら、\(3\) 点とも傾きは \(1\) で同じになります。