SL 2.7 — Quadratic equations, inequalities and the discriminant(2 次方程式・2 次不等式・判別式)
- \(2\) 次方程式を、因数分解・平方完成・解の公式の \(3\) つで解ける。
- 問題文の言い方から、どの方法を使うかを選べる。
- \(x\) で割って解を落とす、\(\pm\) を落とすなどの落とし穴を避けられる。
- discriminant(判別式)\(\Delta = b^{2}-4ac\) から、解の種類を言える。
- \(\Delta\) の符号と、グラフが \(x\) 軸と何回出会うかを結びつけられる。
- \(2\) 次不等式を、グラフの形から解ける。
- 答えを \(a < x < b\) や \(x < a\)
or\(x > b\) の形で正しく書ける。 - 直線と曲線が出会う条件を、\(\Delta\) で判定できる。
touch(接する)が \(\Delta = 0\) だと分かる。
The idea
1. Solving a quadratic equation(\(2\) 次方程式を解く)
\(2\) 次方程式の解き方を、全体から見ます。図は、解にたどり着く \(3\) つの道すじです。因数がすぐ見えるときは因数分解、答えを正確な形で求めたいときは平方完成が向いていて、解の公式はいつでも使えます。
quadratic equation(\(2\) 次方程式)とは、\(ax^{2}+bx+c = 0\)(\(a \neq 0\))の形に直せる方程式のことです。
まず、右辺を \(0\) にします。 そこから先は、\(3\) つの道すじがあります。
図 1 が、そのようすです。どの道すじでも、出てくる解は同じです。ちがうのは、手間と、答えの見た目です。
root と zero と solution は、同じ数を指します
方程式の答えは solution(解)とも root(解・根)とも言い、関数の値が \(0\) になる \(x\) は zero(零点)と言います。
\(x^{2}-9x+20 = 0\) の roots は \(4\) と \(5\)、\(f(x) = x^{2}-9x+20\) の zeros も \(4\) と \(5\) です(SL 2.4)。どの言い方でも、答える数は同じです。
2. Solving by factorising(因数分解で解く)
左辺を factorise(因数分解)すると、\(2\) 次方程式は \(1\) 次方程式 \(2\) つに分かれます。そのときに使う性質は、次のとおりです。
\[ AB = 0 \quad \Longrightarrow \quad A = 0 \ \text{or} \ B = 0 \tag{1}\]
\(2\) つの数をかけて \(0\) になるのは、少なくとも一方が \(0\) のときです。これを zero product property(積が \(0\) の性質)と言います。
\(x^{2}-9x+20 = 0\) なら、
\[ (x-4)(x-5) = 0 \ \Rightarrow \ x - 4 = 0 \ \text{or} \ x - 5 = 0 \]
\[ x = 4 \quad \text{or} \quad x = 5 \]
\((x-4)(x-5) = 2\) から「\(x-4 = 2\) または \(x-5 = 2\)」とはできません。かけて \(2\) になる \(2\) 数の組み合わせは、いくらでもあるからです。
必ず、すべてを左辺に集めて \(= 0\) の形にしてから因数分解してください。
\(5x^{2} = 15x\) の両辺を \(x\) で割ると \(5x = 15\)、つまり \(x = 3\) だけになります。\(x = 0\) という解が消えてしまいます。
\(x\) で割れるのは \(x \neq 0\) のときだけです。割らずに、左辺に集めて共通因数をくくり出してください。
\[ 5x^{2} - 15x = 0 \ \Rightarrow \ 5x(x-3) = 0 \ \Rightarrow \ x = 0 \ \text{or} \ x = 3 \]
例題 1 (a) Solve \(x^{2} - 7x + 12 = 0\).
(b) Solve \(2x^{2} = 8x\).
(c) Explain why dividing both sides of \(2x^{2} = 8x\) by \(x\) does not give all the solutions.
(d) Solve \(3x^{2} - 12 = 0\).
日本語訳
(a) \(x^{2}-7x+12 = 0\) を解きなさい。
(b) \(2x^{2} = 8x\) を解きなさい。
(c) \(2x^{2} = 8x\) の両辺を \(x\) で割ると、すべての解が得られない理由を説明しなさい。
(d) \(3x^{2}-12 = 0\) を解きなさい。
(a) かけて \(12\)、足して \(-7\) になる \(2\) 数は \(-3\) と \(-4\) です。
\[ (x-3)(x-4) = 0 \]
\[ x = 3 \quad \text{or} \quad x = 4 \]
(b) 右辺を \(0\) にしてから、共通因数をくくり出します(第 2 節)。
\[ 2x^{2} - 8x = 0 \ \Rightarrow \ 2x(x-4) = 0 \]
\[ x = 0 \quad \text{or} \quad x = 4 \]
(c) Explain why なので、英語で理由を書きます。
試験ではこう書く
Dividing both sides by \(x\) is only allowed when \(x \neq 0\), because division by zero is not defined.
The value \(x = 0\) does satisfy the original equation, since \(2(0)^{2} = 0 = 8(0)\), but it is removed by the division, which leaves only \(2x = 8\) and so \(x = 4\).
Bringing everything to one side and factorising as \(2x(x-4) = 0\) keeps both solutions.
(両辺を \(x\) で割ってよいのは \(x \neq 0\) のときだけである。\(0\) で割ることは定義されないからである。\(x = 0\) はもとの方程式を満たす(\(2(0)^{2} = 0 = 8(0)\))が、割り算によって取り除かれてしまい、\(2x = 8\)、つまり \(x = 4\) だけが残る。すべてを片側に集めて \(2x(x-4) = 0\) と因数分解すれば、\(2\) つの解が両方とも残る、という意味です。)
(d) \(x\) の項がないので、そのまま解けます。
\[ 3x^{2} = 12 \ \Rightarrow \ x^{2} = 4 \ \Rightarrow \ x = \pm 2 \]
検算((a) について)。 出した \(2\) 数を、もとの式に入れ直します。
\[ 3^{2}-7(3)+12 = 9-21+12 = 0, \qquad 4^{2}-7(4)+12 = 16-28+12 = 0 \]
どちらも \(0\) ✓ 因数分解した式ではなく、もとの式に入れるのがポイントです。
検算((b) について)。 もとの形(両辺のある式)に入れます。 \(x = 0\) では左辺 \(0\)、右辺 \(0\) ✓ \(x = 4\) では左辺 \(2(16) = 32\)、右辺 \(8(4) = 32\) ✓
検算((d) について)。 \(x = 2\) で \(3(4)-12 = 0\) ✓ \(x = -2\) でも \(3(4)-12 = 0\) ✓ \(\pm\) を落としていないかは、負のほうを入れて確かめられます。
(a) \((x-3)(x-4) = 0\) \[x = 3 \quad \text{or} \quad x = 4\]
(b) \(2x^{2}-8x = 0\), \(2x(x-4) = 0\) \[x = 0 \quad \text{or} \quad x = 4\]
(c) Dividing by \(x\) requires \(x \neq 0\), so the solution \(x = 0\) is lost. Factorising \(2x(x-4) = 0\) keeps both.
(d) \(x^{2} = 4\) \[x = \pm 2\]
3. Solving by completing the square(平方完成で解く)
SL 2.6 で学んだ completing the square(平方完成)を使っても、\(2\) 次方程式が解けます。根号を使った正確な値が出るのが特長です。
\(x^{2}+4x-1 = 0\) で見ます。\(x\) の係数 \(4\) の半分は \(2\) です。
\[ (x+2)^{2} - 4 - 1 = 0 \ \Rightarrow \ (x+2)^{2} = 5 \]
両辺の平方根をとります。このとき \(\pm\) が要ります。
\[ x + 2 = \pm\sqrt{5} \ \Rightarrow \ x = -2 \pm \sqrt{5} \]
\((x+2)^{2} = 5\) を満たすのは、\(x+2 = \sqrt{5}\) だけではありません。\(x+2 = -\sqrt{5}\) でも、\(2\) 乗すれば \(5\) になります。
\(2\) 乗して \(5\) になる数は \(2\) つあるので、解も \(2\) つです。
4. The quadratic formula(解の公式)
\(ax^{2}+bx+c = 0\) の解を、係数 \(a\)、\(b\)、\(c\) から直接出す公式を quadratic formula(解の公式)といいます。次の式です。
\[ x = \frac{-b \pm \sqrt{b^{2}-4ac}}{2a} \tag{2}\]
公式集の 2.7 の欄に Solutions of a quadratic equation として印刷されています。
\(ax^{2} + bx + c = 0 \Rightarrow x = \dfrac{-b \pm \sqrt{b^{2}-4ac}}{2a}\), \(a \neq 0\)
\(a \neq 0\) も、公式集に書かれています。 \(a = 0\) なら分母が \(0\) になり、そもそも \(2\) 次方程式ではありません。
\(2x^{2}+3x-4 = 0\) なら、\(a = 2\)、\(b = 3\)、\(c = -4\) です。
\[ x = \frac{-3 \pm \sqrt{9 - 4(2)(-4)}}{2(2)} = \frac{-3 \pm \sqrt{9+32}}{4} = \frac{-3 \pm \sqrt{41}}{4} \]
\(a\) と \(c\) の符号がちがうので、\(-4ac\) は正になります(ここでは \(a = 2 > 0\)、\(c = -4 < 0\))。\(a\) と \(c\) が同符号なら、\(-4ac\) は負です。
\(\dfrac{-b}{2a} \pm \sqrt{b^{2}-4ac}\) ではありません。分子は \(-b \pm \sqrt{\ldots}\) のひとかたまりです。
書くときは、分数の線を長く引いて、\(-b\) と根号の両方が上にあることが見えるようにしてください。
5. Choosing a method(解き方の選び方)
\(3\) つの方法のどれを使うかは、問題文の言い方で決まることが多いです。次の表を目安にしてください。
| 問題文の言い方 | 使う方法 |
|---|---|
| 何も指定がなく、因数が見つかる | 因数分解 |
in the form \(p \pm \sqrt{q}\) |
平方完成 |
giving your answer in the form \(\dfrac{p \pm \sqrt{q}}{r}\) |
解の公式 |
Hence の前に平方完成をさせている |
その結果を使う |
| 因数が見つからない | 解の公式 |
例題 2 (a) Write \(x^{2} + 6x - 2\) in the form \((x+h)^{2} + k\).
(b) Hence solve \(x^{2} + 6x - 2 = 0\), giving your answers in the form \(p \pm \sqrt{q}\).
(c) Solve \(2x^{2} + 5x - 1 = 0\), giving your answers in the form \(\dfrac{p \pm \sqrt{q}}{r}\).
(d) Explain why the quadratic formula cannot be used when \(a = 0\).
日本語訳
(a) \(x^{2}+6x-2\) を \((x+h)^{2}+k\) の形で書きなさい。
(b) それを使って \(x^{2}+6x-2 = 0\) を解き、答えを \(p \pm \sqrt{q}\) の形で書きなさい。
(c) \(2x^{2}+5x-1 = 0\) を解き、答えを \(\dfrac{p \pm \sqrt{q}}{r}\) の形で書きなさい。
(d) \(a = 0\) のとき解の公式が使えない理由を説明しなさい。
(a) \(x\) の係数 \(6\) の半分は \(3\) です(第 3 節)。
\[ x^{2}+6x-2 = (x+3)^{2} - 9 - 2 = (x+3)^{2} - 11 \]
(b) Hence なので、(a) の形を使います。ここで解の公式に切りかえてはいけません。
\[ (x+3)^{2} - 11 = 0 \ \Rightarrow \ (x+3)^{2} = 11 \]
\[ x + 3 = \pm\sqrt{11} \ \Rightarrow \ x = -3 \pm \sqrt{11} \]
(c) 答えの形が \(\dfrac{p \pm \sqrt{q}}{r}\) なので、解の公式です(第 5 節)。\(a = 2\)、\(b = 5\)、\(c = -1\) を 式 2 に入れます。\(a\) と \(c\) の符号がちがうので、\(-4ac\) は正になります。
\[ x = \frac{-5 \pm \sqrt{5^{2} - 4(2)(-1)}}{2(2)} = \frac{-5 \pm \sqrt{25+8}}{4} = \frac{-5 \pm \sqrt{33}}{4} \]
(d) Explain why なので、英語で理由を書きます。
試験ではこう書く
If \(a = 0\) the denominator \(2a\) is zero, and division by zero is not defined, so the formula gives no value.
When \(a = 0\) the equation is \(bx + c = 0\), which is linear rather than quadratic, so a formula that produces two solutions cannot apply.
This is why the formula booklet states the condition \(a \neq 0\).
(\(a = 0\) なら分母 \(2a\) が \(0\) になり、\(0\) で割ることは定義されないので、公式は値を返さない。\(a = 0\) のとき方程式は \(bx+c = 0\) で、\(2\) 次ではなく \(1\) 次だから、\(2\) つの解を出す公式は当てはまらない。公式集に \(a \neq 0\) と書かれているのは、このためである、という意味です。)
検算((a) について)。 展開して、もとの式に戻るかを見ます。 \((x+3)^{2}-11 = x^{2}+6x+9-11 = x^{2}+6x-2\) ✓
検算((b) について)。 解の公式でも出します。 \(a = 1\)、\(b = 6\)、\(c = -2\) なので
\[ x = \frac{-6 \pm \sqrt{36+8}}{2} = \frac{-6 \pm \sqrt{44}}{2} = \frac{-6 \pm 2\sqrt{11}}{2} = -3 \pm \sqrt{11} \]
一致しました ✓ ちがう \(2\) つの方法で、同じ答えが出ました。
検算((c) について)。 平方完成でも出します。
\[ 2x^{2}+5x-1 = 2\left(x+\frac{5}{4}\right)^{2} - \frac{25}{8} - 1 = 2\left(x+\frac{5}{4}\right)^{2} - \frac{33}{8} \]
\(0\) とおくと \(\left(x+\dfrac{5}{4}\right)^{2} = \dfrac{33}{16}\) なので \(x = -\dfrac{5}{4} \pm \dfrac{\sqrt{33}}{4} = \dfrac{-5 \pm \sqrt{33}}{4}\) ✓ 公式を通らずに同じ答えが出ました。
\(\pm\) を落として \(x = -3+\sqrt{11}\) だけにしていたら、解を \(1\) つ落としています。解は \(2\) つあります。
(a) \[x^{2}+6x-2 = (x+3)^{2} - 11\]
(b) \((x+3)^{2} = 11\), \(x+3 = \pm\sqrt{11}\) \[x = -3 \pm \sqrt{11}\]
(c) \(x = \dfrac{-5 \pm \sqrt{25+8}}{4}\) \[x = \frac{-5 \pm \sqrt{33}}{4}\]
(d) If \(a = 0\) the denominator \(2a\) is zero, so the formula is not defined; the equation is then linear, not quadratic.
6. The discriminant(判別式)
\(2\) 次方程式を解かなくても、解がいくつあるかは \(1\) つの数で分かります。この数を discriminant(判別式)といい、\(\Delta\) で表します。次の式です。
\[ \Delta = b^{2} - 4ac \tag{3}\]
公式集の 2.7 の欄に Discriminant として印刷されています。
\(\Delta = b^{2} - 4ac\)
\(\Delta\) はギリシャ文字のデルタです。\(\Delta = b^{2}-4ac\) は、解の公式(第 4 節)の根号の中身そのものです。
\[ x = \frac{-b \pm \sqrt{\Delta}}{2a} \]
根号の中が正か、\(0\) か、負かで、出てくる解のようすが変わります。解を全部求めなくても、個数だけが分かるのが判別式の便利なところです。
\(\Delta\) の符号が、解の種類を決めます。
\(3\) つの場合を、英語ではこう呼び分けます。答案では、この言い方をそのまま書いてください。
two distinct real roots なら \(\Delta > 0\) です。distinct の付かない two real roots は、ふつう \(\Delta \ge 0\)(等しい場合も含む)と読みます。問題文の語をそのまま条件に写すつもりで読んでください。
distinct という語があるかどうかで、\(\ge\) と \(>\) が変わります。問題文をよく読んでください。
equal roots、repeated root、a double root は、どれも \(\Delta = 0\) を指す言い方です。
正確には「実数の解がない」です。答案では no real roots と書いてください。
SL の範囲では実数だけを扱うので、実際上は「解けない」と同じですが、書き方は real を落とさないでください。
同じことを、グラフでも見ておきます。
図 2 が、そのようすです。\(\Delta > 0\) なら \(x\) 軸と \(2\) 点で交わり、\(\Delta = 0\) なら \(1\) 点で接し(頂点が \(x\) 軸上にあり)、\(\Delta < 0\) なら交わりません。
\(\Delta < 0\) のとき、グラフは \(x\) 軸の片側に丸ごとあります。 \(a > 0\) なら全部が上、\(a < 0\) なら全部が下です。
例題 3 For each of the following equations, find the discriminant and state the nature of the roots.
(a) \(x^{2}+4x+1 = 0\)
(b) \(x^{2}-6x+9 = 0\)
(c) \(2x^{2}+x+3 = 0\)
(d) Explain what \(\Delta = 0\) tells you about the graph of the corresponding quadratic function.
日本語訳
次のそれぞれの方程式について、判別式を求め、解の種類を述べなさい。
(a) \(x^{2}+4x+1 = 0\)
(b) \(x^{2}-6x+9 = 0\)
(c) \(2x^{2}+x+3 = 0\)
(d) \(\Delta = 0\) が、対応する \(2\) 次関数のグラフについて何を意味するかを説明しなさい。
(a) \(a = 1\)、\(b = 4\)、\(c = 1\) です(式 3)。
\[ \Delta = 4^{2} - 4(1)(1) = 16 - 4 = 12 \]
\(\Delta > 0\) なので、two distinct real roots です。
(b) \(a = 1\)、\(b = -6\)、\(c = 9\) です。\(b\) が負でも \(b^{2}\) は正です。
\[ \Delta = (-6)^{2} - 4(1)(9) = 36 - 36 = 0 \]
\(\Delta = 0\) なので、two equal real roots です。
(c) \(a = 2\)、\(b = 1\)、\(c = 3\) です。
\[ \Delta = 1^{2} - 4(2)(3) = 1 - 24 = -23 \]
\(\Delta < 0\) なので、no real roots です。
(d) Explain なので、英語で書きます。
試験ではこう書く
If \(\Delta = 0\) the two roots are equal, so the graph meets the \(x\)-axis at exactly one point.
That point is the vertex, because the two intersections have come together at the axis of symmetry \(x = -\dfrac{b}{2a}\).
The graph therefore touches the \(x\)-axis instead of crossing it, and the vertex lies on the \(x\)-axis.
(\(\Delta = 0\) なら \(2\) つの解は等しいので、グラフは \(x\) 軸とちょうど \(1\) 点で出会う。その点は頂点である。\(2\) つの交点が対称の軸 \(x = -\dfrac{b}{2a}\) のところで重なったからである。したがってグラフは \(x\) 軸を横切らずに接し、頂点が \(x\) 軸上にある、という意味です。)
検算((a) について)。 \(\Delta\) を使わずに、解が \(2\) つあることを確かめます。 \(f(x) = x^{2}+4x+1\) とすると \(f(0) = 1 > 0\)、\(f(-1) = 1-4+1 = -2 < 0\)、\(f(-4) = 16-16+1 = 1 > 0\) です。\(-1\) の左と右で符号が変わるので、\(x\) 軸を \(2\) 回横切ります ✓ ちがう実数解が \(2\) つある、と合っています。
検算((b) について)。 実際に解いて、\(1\) 点になるかを見ます。 \(x^{2}-6x+9 = (x-3)^{2} = 0\) なので \(x = 3\) だけです ✓ \(\Delta = 0\) と合っています。
検算((c) について)。 判別式を通らない道でも見ます。 平方完成すると
\[ 2x^{2}+x+3 = 2\left(x+\frac{1}{4}\right)^{2} - \frac{1}{8} + 3 = 2\left(x+\frac{1}{4}\right)^{2} + \frac{23}{8} \]
です。\(2\) 乗は \(0\) 以上なので、この値は \(\dfrac{23}{8}\) より小さくなりません。\(0\) になることがないので、実数解はありません ✓
(a) \(\Delta = 16 - 4 = 12 > 0\)
two distinct real roots
(b) \(\Delta = 36 - 36 = 0\)
two equal real roots
(c) \(\Delta = 1 - 24 = -23 < 0\)
no real roots
(d) The graph touches the \(x\)-axis at one point, and that point is the vertex.
7. Quadratic inequalities(\(2\) 次不等式)
\(2\) 次式を含む不等式を、グラフを使って解きます。図は、\(a > 0\) のとき、グラフが \(2\) つの解の外側で \(x\) 軸より上にあることを示しています。
\(x^{2}-2x-3 > 0\) のように、\(2\) 次式を含む不等式を quadratic inequality(\(2\) 次不等式)といいます。\(2\) 次不等式は、\(3\) 段階で解きます。
- すべてを片側に集めて、右辺を \(0\) にする。
- 等号(\(= 0\))とおいて解く(\(x\) 切片を求める)。
- グラフの形から、どちらの側かを決める。
以下では、\(x\) 切片が \(2\) つある場合を扱います。\(1\) つのとき・\(0\) のときは、第 6 節の判別式で見分けます。
\(x^{2}-2x-3 > 0\) で見ます。
段階 1。 右辺はすでに \(0\) です。
段階 2。 \(x^{2}-2x-3 = 0\) から \((x-3)(x+1) = 0\) なので、\(x = 3\) と \(x = -1\) です。
段階 3。 \(a = 1 > 0\) なので下に凸です。図 3 のとおり、グラフが \(x\) 軸より上にあるのは、\(2\) つの \(x\) 切片の外側です。
\[ x < -1 \quad \text{or} \quad x > 3 \]
\(3\) つの区間から \(1\) つずつ、計算しやすい数を選びます。
- \(x = -2\):\(4+4-3 = 5 > 0\) ✓(外側は成り立つ)
- \(x = 0\):\(0-0-3 = -3\)(内側は成り立たない)
- \(x = 4\):\(16-8-3 = 5 > 0\) ✓(外側は成り立つ)
グラフをかかなくても、これで決まります。
答えの書き方は、\(2\) とおりだけです。
| 場合 | 書き方 |
|---|---|
| 外側(\(2\) つの区間) | \(x < -1\) or \(x > 3\) |
| 内側(\(1\) つの区間) | \(-1 < x < 3\) |
\(-1 < x < 3\) のような書き方が使えるのは、\(1\) つのつながった区間のときだけです。表 3 の \(2\) 行を見くらべてください。
外側の答えは離れた \(2\) つの区間なので、\(1\) つの不等式にまとめられません。or で結んで、\(2\) つ書いてください。
答案には x < -1 or x > 3 と書きます。 日本語の「または」ではなく、or を使ってください。and にすると「両方を同時に満たす」という意味になり、そのような \(x\) はありません。
\(\le\) と \(<\) の区別にも気をつけてください。\(x^{2}-2x-3 \ge 0\) なら、\(x\) 切片も答えに入るので \(x \le -1\) or \(x \ge 3\) です。
8. When a line meets a curve(直線と曲線が出会う条件)
直線と曲線が何点で出会うかを、判別式で調べます。図は、\(2\) 点で交わる、接する、出会わないの \(3\) つの場合です。
\(y = mx+c\) と \(y = f(x)\) が出会う点の \(x\) 座標は、\(f(x) = mx+c\) の解です(SL 2.3)。
\(f\) が \(2\) 次関数のとき、すべてを片側に集めると \(2\) 次方程式になります(\(x^{2}\) の係数は \(f\) のものがそのまま残るので、\(0\) にはなりません)。その判別式を見ればよいわけです。
| \(\Delta\) | 直線と曲線 |
|---|---|
| \(\Delta > 0\) | \(2\) 点で交わる |
| \(\Delta = 0\) | 接する(\(1\) 点で出会う) |
| \(\Delta < 0\) | 出会わない |
図 4 が、その \(3\) つの場合です。
touch(接する)という語が出てきたら、\(\Delta = 0\) です。
- \(x\) 軸に接する → \(y = ax^{2}+bx+c\) の \(\Delta = 0\)。
- 直線と曲線が接する → 連立してできた \(2\) 次方程式の \(\Delta = 0\)(上の 表 4)。
放物線と直線が出会う点がちょうど \(1\) つなら \(\Delta = 0\)、つまり接しています。ただしこれは \(y = mx+c\) の形に書ける直線の話です。\(x = 3\) のような縦の直線は、放物線と必ずちょうど \(1\) 点で出会いますが、接してはいません。
例題 4 The line \(y = 2x + k\) and the curve \(y = x^{2} + 3x + 4\) are given, where \(k\) is a constant.
(a) Show that the \(x\)-coordinates of any points of intersection satisfy \(x^{2} + x + 4 - k = 0\).
(b) Find the value of \(k\) for which the line is a tangent to the curve.
(c) Find the set of values of \(k\) for which the line and the curve do not meet.
(d) A student writes that the line is a tangent when \(k < \dfrac{15}{4}\). Comment on this statement.
日本語訳
直線 \(y = 2x+k\) と曲線 \(y = x^{2}+3x+4\) が与えられています。\(k\) は定数です。
(a) 交点の \(x\) 座標が \(x^{2}+x+4-k = 0\) を満たすことを示しなさい。
(b) 直線が曲線に接するときの \(k\) の値を求めなさい。
(c) 直線と曲線が出会わない \(k\) の値の範囲を求めなさい。
(d) ある生徒が「\(k < \dfrac{15}{4}\) のとき直線は接する」と書きました。この発言について述べなさい。
(a) Show that なので、式を等号でつないで、集める過程を書きます(第 8 節)。
\[ x^{2}+3x+4 = 2x+k \]
\[ x^{2}+3x+4-2x-k = 0 \ \Rightarrow \ x^{2}+x+4-k = 0 \]
(b) 接するのは \(\Delta = 0\) のときです(第 8 節)。\(a = 1\)、\(b = 1\)、\(c = 4-k\) です。
\[ \Delta = 1 - 4(1)(4-k) = 1 - 16 + 4k = 4k - 15 \]
\[ 4k - 15 = 0 \ \Rightarrow \ k = \frac{15}{4} \]
(c) 出会わないのは \(\Delta < 0\) のときです(表 4)。
\[ 4k - 15 < 0 \ \Rightarrow \ k < \frac{15}{4} \]
(d) Comment on なので、英語で判断とその理由を書きます。
試験ではこう書く
The statement is not correct.
For \(k < \dfrac{15}{4}\) the discriminant \(4k - 15\) is negative, so \(x^{2}+x+4-k = 0\) has no real solution and the line and the curve do not meet at all.
A tangent touches the curve at exactly one point, which needs \(\Delta = 0\), so it happens only for the single value \(k = \dfrac{15}{4}\).
The student has used an inequality where an equation is required.
(この発言は正しくない。\(k < \dfrac{15}{4}\) なら判別式 \(4k-15\) は負なので、\(x^{2}+x+4-k = 0\) に実数解はなく、直線と曲線はまったく出会わない。tangent(接線)は曲線とちょうど \(1\) 点で接するので \(\Delta = 0\) が必要であり、それが起こるのは \(k = \dfrac{15}{4}\) というただ \(1\) つの値のときだけである。この生徒は、方程式であるべきところに不等式を使っている、という意味です。)
検算((a) について)。 \(k\) に \(1\) つ値を入れて、出た \(x\) で直線と曲線の \(y\) が一致するかを見ます。 \(k = 6\) とすると \(x^{2}+x-2 = (x+2)(x-1) = 0\) で、\(x = -2\) と \(x = 1\) です。
- \(x = 1\):直線は \(y = 2(1)+6 = 8\)、曲線は \(y = 1+3+4 = 8\) ✓
- \(x = -2\):直線は \(y = 2(-2)+6 = 2\)、曲線は \(y = 4-6+4 = 2\) ✓
どちらの点でも \(y\) が一致しました。
検算((b) について)。 接点を実際に求めて、\(1\) 点だけになるかを見ます。 \(k = \dfrac{15}{4}\) のとき
\[ x^{2}+x+4-\frac{15}{4} = x^{2}+x+\frac{1}{4} = \left(x+\frac{1}{2}\right)^{2} = 0 \]
\(x = -\dfrac{1}{2}\) だけになりました ✓
検算((c) について)。 範囲の中と外で、\(1\) つずつ試します。 \(k = 0\)(範囲の中)なら \(x^{2}+x+4 = 0\) で \(\Delta = 1-16 = -15 < 0\) ✓ 出会いません。\(k = 5\)(範囲の外)なら \(x^{2}+x-1 = 0\) で \(\Delta = 1+4 = 5 > 0\) ✓ \(2\) 点で交わります。
(a) \(x^{2}+3x+4 = 2x+k\) \[x^{2}+x+4-k = 0\]
(b) \(\Delta = 1 - 4(4-k) = 4k-15 = 0\) \[k = \frac{15}{4}\]
(c) \(4k - 15 < 0\) \[k < \frac{15}{4}\]
(d) Not correct: \(k < \dfrac{15}{4}\) gives \(\Delta < 0\), so the line misses the curve. A tangent needs \(\Delta = 0\), that is \(k = \dfrac{15}{4}\) only.
TI-Nspire CX II に solve( はありません。menu → Algebra → Polynomial Tools → Find Roots of Polynomial を使うと、次数と係数を入れて \(2\) つの解が小数で返ります。
このサイトは TI-Nspire CX II を前提にしています。 ほかの機種を使う場合、試験に持ちこめるかどうかは学校の DP コーディネーターに確認してください。IB は、承認された電卓の一覧を Programme Resource Centre (PRC) の calculator の項に置いています(学校からアクセスします)。ここに書いていない機種の可否は、推測しないでください。
不等式は、式のままでは解けません。 Graphs 画面に \(y = f(x)\) をかき、menu → Analyze Graph → Zero で \(x\) 切片を出してから、グラフが \(x\) 軸より上か下かを見て区間を決めてください。
Paper 1 では使えません。 このページの例題と演習は、すべて手で解ける形にしてあります。解の公式は、公式集を見ながら手で使えるようにしておいてください。
Show that と書かれている設問では、電卓で答えだけ出しても、求められていることをしたことになりません。
TI-Nspire の Calculator 画面で、\(a\)、\(b\)、\(c\) に値を入れてから b^2-4*a*c と打てば値が出ます。値を入れていない変数は、そのまま文字として返ってきます(b^2-4*a*c という式が出るだけです)。まず 1 sto→ a のように入れてください。
\(k\) を含む判別式を、電卓に解かせることはできません。 値の入っていない文字が残るからです。文字を含む問題は手で解きます。
Graphs 画面にグラフをかいて、\(x\) 軸との交わり方を見るのも早い確かめ方です。ただし、\(\Delta\) が \(0\) にとても近いときは、画面では見分けられません。 そのときは式で確かめてください。
Paper 1 では使えません。 このページの例題と演習は、すべて手で解ける形にしてあります。
Why it works
なぜ、\(AB = 0\) から「\(A = 0\) または \(B = 0\)」が言えるのでしょうか。
\(A \neq 0\) だとします。すると両辺を \(A\) で割れて、\(B = 0\) が出ます。つまり、\(A\) が \(0\) でないなら \(B\) が \(0\) です。\(A\) が \(0\) の場合も合わせると、「少なくとも一方が \(0\)」になります。
これは \(0\) だから言えることです。 \(AB = 6\) なら、\(A = 2, B = 3\) でも \(A = 12, B = \frac{1}{2}\) でも成り立ち、どちらの数も \(0\) ではありません。\(AB = 0\) になる \(2\) 数の組み合わせも無数にありますが、そのどれもが「少なくとも一方は \(0\)」を満たします。 ここだけが \(0\) の特別なところで、\(6\) や \(2\) にはこの性質がありません。
なぜ、解の公式が出るのでしょうか。
SL 2.6 で見たとおり、平方完成すると
\[ ax^{2}+bx+c = a\left(x + \frac{b}{2a}\right)^{2} - \frac{b^{2}}{4a} + c \]
です。これを \(0\) とおいて、\(\left(x + \dfrac{b}{2a}\right)^{2}\) について解きます。
\[ a\left(x + \frac{b}{2a}\right)^{2} = \frac{b^{2}}{4a} - c = \frac{b^{2}-4ac}{4a} \]
\[ \left(x + \frac{b}{2a}\right)^{2} = \frac{b^{2}-4ac}{4a^{2}} \]
右辺が \(0\) 以上のとき、つまり \(b^{2}-4ac \ge 0\) のとき、両辺の平方根をとれます(\(\pm\) が要ります)。\(\sqrt{4a^{2}} = \lvert 2a \rvert\) ですが、\(\pm\) が付いているので \(2a\) と書いても出てくる \(2\) つの値は同じです。
(\(b^{2}-4ac < 0\) のときは平方根がとれません。その場合に何が起きるかは SL 2.7b で見ます。)
\[ x + \frac{b}{2a} = \frac{\pm\sqrt{b^{2}-4ac}}{2a} \]
\[ x = \frac{-b \pm \sqrt{b^{2}-4ac}}{2a} \]
解の公式は、平方完成を一般の \(a\)、\(b\)、\(c\) でやっただけです。だから \(2\) つは必ず同じ答えを出します。
なぜ、\(a > 0\) の不等式では「外側」が正なのでしょうか。 \(f(x) = a(x-p)(x-q)\) と書けるとき(\(p < q\))、
- \(x > q\) なら、\(x-p\) も \(x-q\) も正。積は正。
- \(p < x < q\) なら、\(x-p\) は正、\(x-q\) は負。積は負。
- \(x < p\) なら、\(x-p\) も \(x-q\) も負。積は正。
\(a > 0\) なら、これがそのまま \(f(x)\) の符号です。\(a < 0\) なら、すべて逆になります。
なぜ、\(\Delta\) の符号で解の個数が決まるのでしょうか。
解の公式は
\[ x = \frac{-b \pm \sqrt{\Delta}}{2a} \]
でした(SL 2.7a)。ここで \(\Delta\) の符号ごとに見ます。
- \(\Delta > 0\)。 \(\sqrt{\Delta}\) は正の実数です。\(-b + \sqrt{\Delta}\) と \(-b - \sqrt{\Delta}\) はちがう数なので、解は \(2\) つです。
- \(\Delta = 0\)。 \(\sqrt{0} = 0\) なので、\(\pm\) を付けても同じ \(x = -\dfrac{b}{2a}\) です。\(2\) つの解が重なって、\(1\) か所になります。
- \(\Delta < 0\)。 \(2\) 乗して負になる実数はないので、\(\sqrt{\Delta}\) は実数になりません。実数の解はありません。
なぜ、\(\Delta = 0\) で \(x\) 軸に接するのでしょうか。
SL 2.6 で、平方完成すると
\[ ax^{2}+bx+c = a\left(x + \frac{b}{2a}\right)^{2} + c - \frac{b^{2}}{4a} \]
になることを見ました。頂点の \(y\) 座標は
\[ c - \frac{b^{2}}{4a} = \frac{4ac - b^{2}}{4a} = -\frac{\Delta}{4a} \]
です。頂点は、\(a > 0\) ならグラフのいちばん低い点、\(a < 0\) ならいちばん高い点です(SL 2.6)。だから頂点が \(x\) 軸上にあるとき、グラフが \(x\) 軸に届くのはその \(1\) 点だけで、横切らずに接します。頂点が \(x\) 軸上にあるのは、この値が \(0\) のとき、つまり \(\Delta = 0\) のときです。
同じ式から、\(\Delta < 0\) のときのことも分かります。\(a > 0\) なら \(-\dfrac{\Delta}{4a} > 0\) で、頂点が \(x\) 軸より上にあります。下に凸なので、グラフ全体が \(x\) 軸より上です。\(a < 0\) なら、すべて逆になります。
なぜ、直線と曲線でも同じ話になるのでしょうか。 \(f\) が \(2\) 次関数なら、\(f(x) = mx+c\) を片側に集めると、\(x\) についての \(2\) 次方程式になります。その解の個数が、そのまま出会う点の個数です(SL 2.3)。だから、その方程式の \(\Delta\) を見ればよいことになります。
Common errors
\(x\) で割れるのは \(x \neq 0\) のときだけです(第 2 節)。
共通因数としてくくり出せば、\(x = 0\) も残ります。
\((x+h)^{2} = k\)(\(k > 0\))から出る解は \(2\) つです(第 3 節)。
\(x^{2} = 49\) の解も \(x = 7\) だけではなく、\(x = \pm 7\) です。
\(-b\) の符号(\(b\) が負なら \(-b\) は正)と、分母の \(2a\) が分子全体にかかることに気をつけてください(式 2)。
\(b^{2}-4ac\) では、\(a\) と \(c\) の符号がちがうと \(-4ac\) が正(足し算)になります。同符号なら負です。
\(x\) 切片が \(2\) つあり \(a > 0\) なら、\(f(x) > 0\) は外側、\(f(x) < 0\) は内側です(第 7 節)。
\(a < 0\) なら逆になります。迷ったら、数を \(1\) つ入れてください。
\(3 < x < -2\) のようには書けません(第 7 節)。or で結んで \(2\) つ書きます。
つながった \(1\) 区間のときだけ、\(-2 < x < 3\) の形が使えます。
\(kx^{2} + \ldots\) の形では、\(k = 0\) だと \(2\) 次方程式ではありません(第 8 節)。
判別式を使う前に、\(a\) が \(0\) でないことを書いておくと安全です。
two real roots と two distinct real roots を取りちがえる
distinct があれば \(\Delta > 0\)、なければふつう \(\Delta \ge 0\) です(第 6 節)。
問題文の語を、そのまま条件に写すつもりで読んでください。
\(c\) が負なら \(-4ac\) は足し算です(第 8 節)。\(a\)、\(b\)、\(c\) を符号ごと書き出してから代入してください。
\(b\) が負でも、\(b^{2}\) は正です。
正確には「実数の解がない」です(第 6 節)。答案では no real roots と書いてください。
Exercises
1 Solve \(x^{2} + 5x + 6 = 0\).
日本語訳
\(x^{2}+5x+6 = 0\) を解きなさい。
\[(x+2)(x+3) = 0\]
\[x = -2 \quad \text{or} \quad x = -3\]
かけて \(6\)、足して \(5\) になる \(2\) 数は \(2\) と \(3\) です。どちらも正なので、かっこの中は \(+\) です。
検算。 出した \(2\) 数を、もとの式に入れ直します。\(4-10+6 = 0\) ✓ \(9-15+6 = 0\) ✓
符号の見当も付きます。 実数解をもつ場合、定数項が正なら \(2\) 解の符号は同じで、\(x\) の係数も正ならどちらも負のはずです ✓ (実数解があるかどうかは、これでは分かりません。)
2 Solve \(x^{2} = 9x\).
日本語訳
\(x^{2} = 9x\) を解きなさい。
\[x^{2} - 9x = 0\]
\[x(x-9) = 0\]
\[x = 0 \quad \text{or} \quad x = 9\]
\(x\) で割らないでください(第 2 節)。右辺を \(0\) にしてから、共通因数をくくり出します。
検算。 もとの形(両辺のある式)に入れます。 \(x = 0\) では左辺 \(0\)、右辺 \(0\) ✓ \(x = 9\) では左辺 \(81\)、右辺 \(81\) ✓
\(x = 9\) だけ答えていたら、\(x\) で割って \(x = 0\) を落としています。\(2\) 次方程式の実数解は多くても \(2\) つです。\(1\) つ見つけたら、もう \(1\) つがないかを必ず確かめてください。
3 (a) Write \(x^{2} - 4x + 1\) in the form \((x-h)^{2} + k\).
(b) Hence solve \(x^{2} - 4x + 1 = 0\), giving your answers in the form \(p \pm \sqrt{q}\).
日本語訳
(a) \(x^{2}-4x+1\) を \((x-h)^{2}+k\) の形で書きなさい。
(b) それを使って \(x^{2}-4x+1 = 0\) を解き、答えを \(p \pm \sqrt{q}\) の形で書きなさい。
(a) \[x^{2}-4x+1 = (x-2)^{2} - 4 + 1 = (x-2)^{2} - 3\]
(b) \((x-2)^{2} = 3\) \[x = 2 \pm \sqrt{3}\]
\(x\) の係数 \(-4\) の半分は \(-2\) です。\((x-2)^{2} = x^{2}-4x+4\) なので、\(4\) を引きます。
検算((a) について)。 展開して、もとの式に戻るかを見ます。\((x-2)^{2}-3 = x^{2}-4x+4-3 = x^{2}-4x+1\) ✓
検算((b) について)。 解の公式でも出します。 \(a=1\)、\(b=-4\)、\(c=1\) なので
\[ x = \frac{4 \pm \sqrt{16-4}}{2} = \frac{4 \pm \sqrt{12}}{2} = \frac{4 \pm 2\sqrt{3}}{2} = 2 \pm \sqrt{3} \]
一致しました ✓
4 Solve \(x^{2} + 3x - 5 = 0\), giving your answers in the form \(\dfrac{p \pm \sqrt{q}}{r}\).
日本語訳
\(x^{2}+3x-5 = 0\) を解き、答えを \(\dfrac{p \pm \sqrt{q}}{r}\) の形で書きなさい。
\(a = 1\), \(b = 3\), \(c = -5\)
\[x = \frac{-3 \pm \sqrt{9 + 20}}{2}\]
\[x = \frac{-3 \pm \sqrt{29}}{2}\]
答えの形が指定されているので、解の公式です(表 1)。\(c = -5\) なので \(-4ac = +20\) になります。
検算。 \(+\) のほうの解を、もとの式に入れ直します。 \(x = \dfrac{-3+\sqrt{29}}{2}\) のとき \(x^{2} = \dfrac{9-6\sqrt{29}+29}{4} = \dfrac{19-3\sqrt{29}}{2}\)、\(3x = \dfrac{-9+3\sqrt{29}}{2}\) なので、足すと \(\dfrac{19-3\sqrt{29}-9+3\sqrt{29}}{2} - 5 = 5 - 5 = 0\) ✓ \(\sqrt{29}\) が消えました。
\(\sqrt{29}\) はこれ以上簡単になりません。 \(29\) は素数なので、根号の外に出せる因数がありません。\(-3\) と \(2\) にも共通の因数がないので、分数の約分もできません。\(\dfrac{-3 \pm \sqrt{29}}{2}\) が最終形です。
5 Solve the inequality \(x^{2} - 2x - 8 < 0\).
日本語訳
不等式 \(x^{2}-2x-8 < 0\) を解きなさい。
\((x-4)(x+2) = 0\) gives \(x = 4\) and \(x = -2\)
\(a > 0\), so the graph is below the axis between the roots
\[-2 < x < 4\]
まず \(= 0\) として解き、それから向きを決めます(第 7 節)。\(a = 1 > 0\)、\(< 0\) なので内側です。
検算。 \(3\) つの区間から \(1\) つずつ入れます。 \(x = -3\):\(9+6-8 = 7\)(成り立たない)\(x = 0\):\(-8 < 0\) ✓ \(x = 5\):\(25-10-8 = 7\)(成り立たない)内側だけが成り立ちました。
\(<\) なので、端は入りません。 \(x = -2\) では \(4+4-8 = 0\) で、\(< 0\) にはなりません。
6 Solve the inequality \(x^{2} \ge 16\).
日本語訳
不等式 \(x^{2} \ge 16\) を解きなさい。
\(x^{2} - 16 \ge 0\), and \((x-4)(x+4) = 0\) gives \(x = \pm 4\)
\[x \le -4 \quad \text{or} \quad x \ge 4\]
まず右辺を \(0\) にします。 \(a > 0\) で \(\ge 0\) なので、外側(端を含む)です。
検算。 \(x = -5\):\(25 \ge 16\) ✓ \(x = 0\):\(0 \ge 16\) は成り立たない ✓ \(x = 5\):\(25 \ge 16\) ✓ 端の \(x = 4\) では \(16 \ge 16\) で、成り立ちます ✓
「\(x \ge 4\)」だけにしていたら、負のほうが抜けています。\(x = -5\) も \(x^{2} = 25 \ge 16\) を満たします。\(2\) 乗すると符号が消えることを思い出してください。
7 Find the discriminant of \(x^{2} + 5x + 2 = 0\) and state the nature of the roots.
日本語訳
\(x^{2}+5x+2 = 0\) の判別式を求め、解の種類を述べなさい。
\[\Delta = 5^{2} - 4(1)(2) = 25 - 8 = 17\]
\(\Delta > 0\), so there are two distinct real roots.
\(a = 1\)、\(b = 5\)、\(c = 2\) を 式 3 に入れるだけです。
検算。 判別式を使わずに、符号の変わり方で見ます。 \(f(x) = x^{2}+5x+2\) とすると \(f(0) = 2 > 0\)、\(f(-1) = 1-5+2 = -2 < 0\)、\(f(-5) = 25-25+2 = 2 > 0\) です。\(-1\) の左と右で符号が変わるので、\(x\) 軸を \(2\) 回横切ります ✓
\(17\) は平方数ではありません。 ですから解は根号を含む形になり、因数分解では出せません。
8 The equation \(x^{2} + kx + 25 = 0\) has two equal real roots. Find the possible values of \(k\).
日本語訳
方程式 \(x^{2}+kx+25 = 0\) は、等しい \(2\) 実解をもちます。\(k\) のとりうる値を求めなさい。
\[\Delta = k^{2} - 4(1)(25) = k^{2} - 100\]
\(k^{2} - 100 = 0\)
\[k = \pm 10\]
文字が入っていても、やることは同じです。
- \(a\)、\(b\)、\(c\) を、文字を含んだまま書き出す。 ここでは \(a = 1\)、\(b = k\)、\(c = 25\) です。
- \(\Delta\) を作る。 \(\Delta = k^{2} - 4(1)(25) = k^{2} - 100\)。
- 条件を、\(\Delta\) についての式にする。
two equal real rootsなので \(\Delta = 0\) です(表 2)。 - 解く。 \(k^{2} = 100\) から \(k = \pm 10\)。
- \(a \neq 0\) を確かめる。 ここは \(a = 1\) なので、確かめることはありません。文字が \(a\) の位置に来ているときだけ、この手順が必要になります(演習 \(9\) のあとの注意)。
検算。 両方の \(k\) で、実際に等しい \(2\) 実解になるかを見ます。 \(k = 10\) なら \(x^{2}+10x+25 = (x+5)^{2} = 0\) で \(x = -5\) ✓ \(k = -10\) なら \(x^{2}-10x+25 = (x-5)^{2} = 0\) で \(x = 5\) ✓
\(k = 10\) だけ答えていたら、\(\pm\) を落としています。\(k^{2} = 100\) の解は \(2\) つです。
9 The equation \(2x^{2} + 3x + c = 0\) has no real roots. Find the set of values of \(c\).
日本語訳
方程式 \(2x^{2}+3x+c = 0\) は実数解をもちません。\(c\) の値の範囲を求めなさい。
\[\Delta = 3^{2} - 4(2)(c) = 9 - 8c\]
\(9 - 8c < 0\)
\[c > \frac{9}{8}\]
演習 \(8\) と同じ \(5\) つの手順です。 ちがうのは、条件が等式ではなく不等式になるところだけです。
- \(a = 2\)、\(b = 3\)、\(c = c\)。
- \(\Delta = 3^{2} - 4(2)(c) = 9 - 8c\)。
no real rootsなので \(\Delta < 0\)。- \(9 - 8c < 0\) を解きます。\(-8c\) を右辺に移すと \(9 < 8c\) になり、不等号の向きは変わりません(負の数で割るときだけ向きが変わります)。
- \(a = 2\) で、文字は入っていません。
もし \(a\) の位置に文字があったら、たとえば \(kx^{2}+3x+1 = 0\) なら、\(k = 0\) のとき \(3x+1 = 0\) という \(1\) 次方程式になり、解が \(1\) つあります。\(\Delta\) の話ではなくなるので、\(k \neq 0\) を最後に書き添えてください。
検算。 境目の両側で試します。 \(c = 2\)(範囲の中)なら \(\Delta = 9-16 = -7 < 0\) ✓ \(c = 1\)(範囲の外)なら \(\Delta = 9-8 = 1 > 0\) で、実数解が \(2\) つあります ✓ 境目の \(c = \dfrac{9}{8}\) では \(\Delta = 0\) で、等しい \(2\) 実解です ✓
向きをまちがえて \(c < \dfrac{9}{8}\) としていたら、\(c = 0\) を入れると \(2x^{2}+3x = 0\) で、解が \(2\) つ出てしまいます。
10 A student is asked to find the values of \(k\) for which \(x^{2} + kx + 4 = 0\) has two equal real roots, and writes
\[ k^{2} - 16 = 0, \qquad k = 4 \]
Identify the error in the student’s answer, and write down the correct values.
日本語訳
ある生徒が、\(x^{2}+kx+4 = 0\) が等しい \(2\) 実解をもつ \(k\) の値を求めるように言われ、上のように書きました。
生徒の答えの誤りを指摘し、正しい値を書きなさい。
The discriminant is correct, but \(k^{2} = 16\) has two solutions, not one.
\[k = \pm 4\]
Identify the error なので、どこが違うのかを名指ししてから、正しい答えを書きます。
\(\Delta = k^{2}-16\) までは正しく、\(k^{2} = 16\) も正しい。落ちているのは \(k = -4\) です(SL 2.7a)。
検算。 落ちた値でも、条件が成り立つかを確かめます。 \(k = -4\) なら \(x^{2}-4x+4 = (x-2)^{2} = 0\) で、\(x = 2\) の等しい \(2\) 実解 ✓ たしかに条件を満たします。
\(k = 4\) のほうも確かめます。 \(x^{2}+4x+4 = (x+2)^{2} = 0\) で \(x = -2\) ✓ 生徒の答えは「まちがい」ではなく「不足」です。
試験ではこう書く
The discriminant \(\Delta = k^{2} - 4(1)(4) = k^{2}-16\) is correct, and setting it to zero gives \(k^{2} = 16\).
The error is in the last step: \(k^{2} = 16\) has the two solutions \(k = 4\) and \(k = -4\), and the student gave only the positive one.
Both values work: \(k = 4\) gives \((x+2)^{2} = 0\) and \(k = -4\) gives \((x-2)^{2} = 0\), each with two equal real roots.
So \(k = \pm 4\).